以前、文化庁が製作した動画に「ことば食堂」がありました。
この動画は「国語に関する世論調査」から、言葉の意味を尋ねる問題を解説しているものです。
今日はその中から「奇特」という言葉についてご紹介します。
動画の内容は次のようなものです。
「動画の内容」
ある家庭の母と娘の会話です。
娘の友達が新聞配達して大学の学費を稼いでいるという話題になり、
母:「今どき奇特な若者ね」「あんたも見習いなさいよ」
娘:「へー、人と変わっていることって見習ったほうがいいんだあ~」
と言い、母と娘の間で「奇特」の意味に食い違いが生じたのです。
「奇特」の意味について、皆さんは次のどちらだと思いますか?
(ア) 「優れて 他と違って感心なこと」でしょうか?
(イ) 「奇妙で珍しいこと」でしょうか?
それでは文化庁の動画「ことば食堂へようこそ!」をご覧ください。
動画が解説しているように『奇特』 とは、本来 『優れて ほか と違って感心 なこと 』という意味なのです。
広辞苑でも、特に優れて珍しいこと。また、心がけや行いが優れてほめるべきものであること。と説明しています。
このように奇特の意味は、(ア)の「優れて、他と違って感心なこと」なのですが、「平成 14 年度の『国語に関する 世論調査 』 でその意味を聞いたところ、本来の意味ではない 『奇妙で珍しいこと 』と回答した 人の割合は 約 25.2%、本来の意味の(ア)と回答した人は49.9%でした。
ところが、年代別では、16歳~19歳は45.5%の人が、20歳代では42.7%の人が(イ)の本来の意味ではない「奇妙で珍しいこと」と回答しており、若い人の間で誤解している人が多い結果となっています。
『奇特』という言葉が『奇妙で珍しいこと』として使われている理由としては、『奇』という字が『奇妙』のほかに、『奇抜』『奇怪』という言葉や『奇をてらう=(一風変わったことをして見せる)』といった言い方でもよく使われることから、これらの言葉の意味が影響していることなどが考えられるということです。
『奇特』の本来の意味は、『優れて ほか と違って 感心なこと 』です。
間違って使用しないように気をつけたいものですね。