っていう、すごいネーミングの集会が札幌で開催。
大丈夫なんだろうかと、ちょっと不安に駆られましたが、
ここでもけっこう紹介している北総研の研究発表なのです。
年に2回、旭川と札幌で開催されているものですが、
ことしは、ちょっと趣向を凝らして、上記のようなタイトルのセミナーとなった次第。
午前中は北総研の研究発表が行われまして、
午後からは、写真のメンバーをパネラーにしたディスカッション。
建築家の五十嵐淳さん、
施工者として、武部建設・武部社長。
さらに研究者として、北総研・鈴木大隆さん。
進行役に北大工学部の瀬戸口先生。
コメンテーターとして、京都大学名誉教授の巽和夫先生です。
建築家の五十嵐さんと、研究者のみなさんって、
まぁ、異種格闘技戦に近い取り合わせ。
さて、どういう展開になるものやら、ハラハラしながら取材見学しておりました。
なかなか、論点整理も難しいテーマ。
瀬戸口先生は大変な役回りだろうなぁと。
時間も1時間程度しかないわけで、まぁ、まとめまでは無理がありましたね。
でも、積極的に五十嵐さんが問題提起して、
かなりいろいろなテーマも浮かび上がってきたと思います。
五十嵐さんは、その発表の中で、
内モンゴルでのコンペと、先般の美幌町の環境省エコ住宅コンペの
両方を題材に、2重入れ子状の建築を提案していました。
かれが制作テーマとしている「バッファーゾーン」
まぁ、内でも外でもないような中間領域、極言すれば縁側的空間のことですが、
そういう緩衝地帯的な領域を積極的に現代建築に導く方向を目指しています。
発表でも、そういう志向性が明確だったと思います。
そういう意味で、建物内部だけの環境コントロールではない、
あらたな北海道的な建築的問題意識を提起している。
北総研や北海道が目指してきた室内環境の性能的向上努力の
さらにその次の方向性を考えているということは出来る。
そういう志向性と、武部さんが取り組んできた日本的伝統の
木造工法の存続可能性の追求というものが、
さて、どのようにからんでいくのか、いかないのか、
比較的、問題点や論点の整理がかいま見えたあたりで時間切れになったのは
大変残念至極という感じがいたしました。
まぁ、でもそういう問題点というか、テーマの絞り込みができたと言うだけでも
大いに意義があったと思います。
建築の可能性という意味では、
五十嵐さんの提案にはいろいろな側面があります。
そのひとつは、2重入れ子状の建築外皮の作り方の問題。
マイナス30度くらいまで外気温が下がる美幌で
冬期間、おおらかな気温調節装置として機能するわけですが、
そういう内部ではたぶん、ほどほどの気温空間が実現する。
そしてその装置的なものはほぼ自然エネルギーで実現させる、という考え。
そうして作られる空間は、たぶん、零下にはならない。
一方で2重の内部では、より保温性を高めた建物を造ればいい。
そういうことで、農家住宅という特殊性はあるけれど、
面白い北海道的な建築の可能性を見せている。
まぁ、言ってみれば北総研に対して、
というか、多くの住宅関係者に対して、北海道の住宅が今後とも、
環境に対して、閉じ続けて行く方向で行くのか、
それとも開放させていく方向性で行くのか、
その中間的なものを目指すのか、
論点はどうもそのあたりのような気がしました。
そのときに、建築の基本としてあり続けるだろう
木造という生産形態が、どのように伝統を紡いでいくのかどうか、
まぁ、大変面白い展開でしたので、
今後、わたし自身も考え続けていきたいなぁと思った次第です。
パネラーのみなさん、大変お疲れさまでした(笑)。
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