三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

国泰寺・唐破風

2009年12月04日 06時00分45秒 | Weblog



きのうの続きであります。
国泰寺の本堂入り口と思われる様子であります。
どうも、本堂は風雪に耐えきれず、建て替えられたようでして
外壁などに新建材の類なども使用されているようです。
「史跡」の指定は受けているようですが、
この場合には十分な保護施策ができないと言うことなのでしょうか。
そもそも北海道にはこういった保護されるべき歴史的遺物が少なく、
国宝に至っては、縄文の土偶1点を除いて
なにもないのですね。
建築で今後、国宝に指定される可能性があるのは道庁赤煉瓦庁舎か
札幌時計台くらいなのでしょうね。
まぁ、それだけ新開発地であって、人間痕跡に乏しいということなのでしょう。
この国泰寺は重要ではあるけれど、
そこまで保護を加える必要までは認めていないのでしょう。
やや残念な状態なのですが、写真は唐破風正面。
唐破風というのは、その名から類推できるように
中国から伝わってきた屋根のデザイン技法でして
ごらんのような優美なカーブを見せるものです。
こういった建築は宗教的な視覚体験を建築技術に対して要求するので
宮大工はいろいろな古例格式を検討して、デザインを考えるのでしょう。
この寺の場合、禅寺と言うこともあって、こういうデザインを強調したのでしょうか。
しかし、看板的な「せり上がり」の木組み表現など、
やはり重厚感には乏しい仕上げになっています。
徳川幕府11代将軍の時期と言うことで、
幕府の国家財政も破綻している状態の中での、しかも北方での工事。
資材も北前船航路で運搬されてこの地まで運ばれてきたのでしょうから
この看板的せり上がりのように、簡易な建築手法が考えられたものと推測できます。
屋根もカラー鉄板という寂しさでして、
たぶん、創建時はどういった素材だったものか、
銅板葺きまで立派だったかどうか、不明です。
まぁ、それでも唐破風のデザインという古建築がこの地に残っているというのは
やはり当時の日本建築技術と北方圏との関わりの中で貴重。
北海道内では、現在、函館五稜郭内で「函館奉行所」復元工事が行われています。
江戸期の復元工事であり、主たる施工業者は石川県の会社が受注し、
地元北海道の会社は参加できなかったようですが、
できるだけ、北海道にもこういう古建築、残していきたいものだと思います。






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