家をプランするときに一般的にわかりやすいのは
間取りを先に考えて、固めてから施工の手法を考えていくというスタイル。
確かにわかりやすい考え方だと思う。
しかし、そうすると性能を考えた家づくりとしては
無駄の多い建築にならざるを得ない場合が多い。
上の写真のような住宅が典型。1階の計画がまずあって、
「あと、2階には6畳の部屋がふたつかなぁ・・・」っていうような間取り。
2階は付け足しのような存在なので、ごらんのような
1階部分と2階の取り合いになるケースが多い。
この場合、1階は「下屋」的な作り方になる場合が多い。
傾斜屋根と相まって、1階2階の「逓減」的なプロポーションも特徴的。
そうすると室内はこんなふうな「気密化」状況になる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/61/786a1ce8d446666ce9b1e137075e8cd2.jpg)
1階の天井・小屋裏と2階の壁面の断熱と気密が
複雑になって、ここで気密が切れてしまいやすくなる。
この家では、丹念に気密施工されているので問題はないだろうけれど、
業者さんの施工能力に大きく依存せざるを得ない。
たぶん、こうした気密化処理がどうしてこうなのか、
理解できる施工者は、本州地域では少ないと思う。
「こんな面倒なビニール処理なんて、やっていられるか」
というような大工さんの声がこだましてくるように思います。
逆に北海道では、あんまりこういう外形の家は見られなくなってきた。
施工の合理性への認識が一般的にも普及しているので、
適正でシンプルなボックスの方が、好まれる傾向にある。
なにより、間取り計画の考え方がだいぶ違いがある。
間取りは建物の全体計画に従属していて、
なるべくシンプルな外皮になるように計画して、
その範囲内で、内部空間を利用用途に仕切っていく、という考えに近い。
そうすると断熱や気密化の施工がきわめて合理的になっていく。
もし「残余」の空間が出来たとしても、それは吹き抜けにしたりして
内部気候の調整要素として利用して行く考え方になる。
こういうような大きな違いに気付くわけですが、
本州地区でも、古民家などを見ていると、
間取りについて言えば、北海道の現代の考え方にきわめて近い。
大きな断熱外皮である茅葺き屋根がシンプルな形状を覆うように施工され、
外観的にはまったく無駄のない形になっている。
間取り優先か、メンテナンスもしやすい合理的形状か、
もうちょっと、家づくりで論議を深めてほしいものだと思っています。