三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

札幌の戸建て=「シアワセの請負産業」競争

2016年01月09日 08時47分45秒 | Weblog
注文戸建て住宅市場での、各社間競争は激烈。
とくに札幌の場合、断熱気密といった性能面では、差別化はつきにくい。
もちろんそれを無視すれば、即座にクレームになって
市場からの退場を迫られるという厳しさはあるので、
住宅性能で品質を落とすことは絶対にできない市場構造が形成されている。
全国メーカーについてはその宣伝イメージで
低レベルの性能でも押し込めるユーザー層はある程度は存在するけれど、
地域に根ざして逃げ場のないスタンスで戦っている
地域工務店・ビルダーにとって、住宅性能要件は必須の必要条件。
しかし、それが十分条件ではないところから札幌での競争はスタート。
ユーザーの肌身の感覚としての「あたたかさ」はすでに常識化していて、
さらにその上の市場競争が求められている。
無暖房レベルまで性能面を強化したとしても、それだけでは
ユーザーの、家にもとめる幸福感・願望には訴求しにくい。
「それだけじゃ、面白くないっしょ」と一蹴される。
マンションでもなく、建売住宅でもない、注文戸建て住宅マーケット。
ユーザーの「シアワセの請負産業」企業としての
住宅企業への競争圧力は札幌ではレベルが高く、きびしい。

そんなある企業の最新モデル住宅を見学した。
さすがにきびしい競争を反映して、
「写真撮影はご遠慮ください」というさりげないPOP。
ということなので、慮って室内の写真や、外観写真は掲載を避けます。
性能要件での,札幌のユーザーの「満足レベル」というものは、
国の基準レベルなどとは別のレベルで、確実に存在する。
これは、毎日きびしい戦いを繰り広げているビルダーさんたちは、
それこそ肌身に感じながら、ギリギリのポイントとして感受している。
本州他地域とは違って、札幌では住宅性能は質的にも量的にも
あるレベルが面的に実現されてきているので、
その見切りが鋭いのだと思われます。
ではデザイン的な部分ではどうであるのか、
この部分がやはり一番強く興味をそそられる。
そして、そこでもユーザーの選別眼はかなり明瞭に見えてきている。
ハイエンドから上クラス、中の上クラスの注文戸建て市場を
狙っていくなかで、どういったデザインマーケティングが有効なのか、
詳述はできないけれど、まことに先端的な戦いだと思います。

当社では、「北のくらしデザインします」という
建築家住宅選集のような別冊企画を市場に提案し、
ユーザーが求める性能要件レベルを満たしながら、
あらたに「満足できる生活デザイン」という価値提案を
北海道の住宅市場に対して仕掛けた経験があります。
それ以降の流れを十分に把握しながら、
次のステップに向かっていく必要があるのだと、実感させられた次第です。
いずれにせよ、住む人の「シアワセの請負産業」という本質は、
深まりこそすれ、絶えていくことは絶対にない、そう思います。





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