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三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【北海道神宮「西鳥居」貫工事完了】

2019年06月20日 07時28分57秒 | Weblog
本日も総歩数4000歩超の散歩から帰還。
で、きのうの北海道神宮「西鳥居」を興味深く建築工事観察。
きのうの状況は以下のようでした。

<昨日の写真に若干の画像補正しています>

違いが明らかなのは「貫」が入れられたことです。
上部の「笠木」と2本の柱だけだった昨日から、
この貫が加えられたことで、目にも見慣れた鳥居の外観。
貫というのはWikipediaで見ると
「貫(ぬき)とは木造建築で柱等の垂直材間に通す水平材。
日本には鎌倉時代の俊乗坊重源が中国から大仏殿建造のための
最新技術として伝え、その構造の強固さから急速に日本全国に広まった。
木造建築では、水平方向の固定に用いる。」とされている。
次の写真は貫と柱の接合部のアップです。


貫はそれこそ柱に「貫通」させるので、
柱間よりも長さが長いことになる。
それを柱に予め穴を空けておいてから、貫入させる。
木の貫を入れる場合には木材を曲げたり滑らせたりして
なんとか施工するのでしょう。
こちらの北海道神宮の西鳥居は鉄柱素材なので、
さてどうやって貫入させたのか、興味深く感じた。
工事の終わった今朝の段階では、クローズアップで見ると
1箇所に「コミ栓」のようなものを確認することができました。
これがどういうことであるのか、
やがて取り払われるのだと思われますが、
この施工のプロセスをなにか暗示しているように思われる。

現代の建築の構造の考え方では、
この貫は建築力学的に整合性を持って説明されないとされます。
鎌倉時代の重源さんという人物は、
平家の焼き討ちで灰燼に帰した奈良の東大寺大仏殿を再建すべく、
頼朝など全国の有力者から資金を勧進してみごと再建した方ですが、
そういったいわば、プロデューサーであると同時に
この貫について、最先端技術として中国から導入したというのは
初めて知った。建築者として語られ続けるべき人物だと。
まぁこれは一個人のスーパーマン的な活躍ということではなく、
この時代の建築のすべての先端的なひとびとの協働の結果なのでしょう。
戦乱からの復興に於いて、それがまた新技術の発展につながっている。
ニッポンの先人の知恵と努力の上で
今日のわたしたち社会が存在するのだと強く感じさせられますね。
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【日本建築の基本「掘立」 in 北海道神宮西鳥居】

2019年06月19日 07時23分08秒 | Weblog


朝、目が覚めたら新潟山形で大きな地震のニュース。
昨日は会食があってお酒が入り、その後就寝していたので
まったく気付きませんでした。現地のみなさんのご無事を祈念します。

本日朝、先週末から東北に出張で帰ってきて北海道神宮に帰参。
で、いつものように駐車場にクルマを止めて境内に入ろうとして
ふと、なにか雰囲気の違いを感じた。
そうなんです、あちこちに工事看板や遮蔽囲いなどがあって、
見上げたら、なんと鳥居が新築工事中のようなのです。
北海道神宮にはかねてから神域入り口北向きに大鳥居があり、
そのほか南側、東側にも鳥居がある。
まぁ、北1条通りには2箇所大鳥居が別にありますが、
この「西側」にはこれまでなかったのであります。
工事標識を見ると6.18から「夜間通行止め」と表示されていたので
ひょっとすると、きのう工事が行われて立ち上げられたのかも。
そうすると、この鳥居はまだ立ち上がったばかりの可能性。
鳥居という建築は、
「神社の入口に立てる門。普通のは二本の柱の上に笠木(かさぎ)
(=柱の間隔より長い横木)を渡し、
その下に貫(ぬき)(=柱をつなぐ横木)を入れる。」
というものですが、このいまの状態で言うと笠木は乗っているけれど、
まだ「貫」が入れられていない状態のようです。
よく見ると左の柱に上部に縦長の穴が見えているので、
ここに貫が貫通するのではないかと想像できる。
掘立建築は日本建築の基本だと思っています。
三内丸山遺跡の6本柱の掘立からはじまって、神社建築に遺構が残る。
で、上の記述では地面から上のことだけしか記述がありませんが、
本当は柱を支持する地中埋没部分が肝要。
ということで2枚目の写真であります。
この北海道神宮は日本でも最新の大社ということで
建築としてはこだわりなく鉄製で構造が構成されている。
見た感じでは1m程度地盤面を掘り下げて、そこにコンクリート路盤。
そこを基盤にして鉄柱を立てて、回りをコンクリートで固めるべく
型枠工事をしている様子が見て取れた。
札幌の凍結深度は60cmなので1mという深さには万一への備えも感じる。
いま見えている外側の木の部分が「型枠」を構成して
この全体にコンクリートを流し込むのではないかと思います。
鉄柱の地盤面近くに白い部分が見えますが、腹巻きのようですね(笑)。
想像では断熱材のような気もします。
60cmまでの地盤面で凍結した場合でも、鉄柱とは熱的に
「縁を切っておく」という仕掛けのような見え方。

長久な時をこの地で刻んでいく建築として
しっかりした工事が行われることを祈念しております。合掌。
1週間以上は札幌にいるので工事進捗、報告します(笑)。
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【Replan北海道最新号「住む・働く」住宅特集】

2019年06月18日 07時15分43秒 | Weblog
さてReplan北海道の最新号紹介です。
住宅建築と店舗事務所建築のコラボ、
2用途の住宅についての特集を組んでみました。
「住む」ということと「働く」ということの
どちらにもしっかりと計画された住まい。
人間活動の2大要素ともいえるかもしれませんね。

【特集】 暮らしも仕事もうまくいく家 住む⇄働く
共働き、ノマドワーク、フリーランス、二拠点居住・・・
住まう人の働き方と暮らし方が多様化するなか、
住まいにも働き方に寄り添う工夫が求められるようになりました。
「住む」と「働く」が密接なご家族の住まいのプランや、
「仕事」と「暮らし」を切り替える、又は、繋ぐ工夫を知ることで、
豊かな日々のヒントが得られるかもしれません。
今回は、鞄職人のご主人と事務作業を一手に引き受ける
奥さんのアトリエ兼住宅、
労務士事務所を建物内に併設したご家族の住まい、
日本酒専門の酒店を営むご夫婦ふたりの住まい、
それぞれの住まいに隠された、職住スイッチのオンオフを覗いてみましょう。
Case.01 
創作意欲を引き出す職と住の関係性/設計:ミズタニテツヒロ建築設計
Case.02 
動線を完全分離した森のオフィス住宅/設計:ATELIER O2
Case.03 
カーブが導く新しく豊かな店舗と住まい/設計:五十嵐淳建築設計

Contents
●巻頭特集/暮らしも仕事もうまくいく家 住む⇄働く
●巻頭特集連動企画/住む×働く=家の実例バリエーション
●[巻頭&WEB連動企画]カフェが、お手本! 暮らしのアイデア
●リノベーションで暮らし、広がる。
●家づくりのアイデア「タイルが映える、明るい洗面台のつくり方」
●家づくりの基本「スキップフロアのメリットと、計画性の注意点」
●連載 Q1.0住宅デザイン論 〈新住協 代表理事・鎌田 紀彦〉
●連載 いごこちの科学 NEXTハウス18 〈東京大学准教授・前 真之〉
●新築ルポー住まいのカタチー
●北の建築家
 「シュンデンタルクリニック」 弘田 亨一

Replan北海道VOL.125
2019年6月28日発売
2019年6月28日発売・2019年夏秋号・A4版
本体価格463円(税込:500円)

6月17日~21日までにご購入された方は、一部地域の方を除いて、28日までに配送致します。
Replan北海道版125号の書店発売は、6月28日です!
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【挑戦的試行が不思議に調和の外観デザイン】

2019年06月16日 08時54分02秒 | Weblog
写真は旭川で見学したファミリー家具屋さん。
自宅に隣接した、面白い外観を見せる家内手工業的アトリエ。
アトリエなので、デザイン的には凝りたい。
っていうか、周辺からは「あれなに」的に目立たせたい。
「おお、こういうセンスなら相談したい」みたいな期待を込めた。

家具屋さんらしく、ブラインドに隠れた正面のガラス窓は
ガラスだけを仕入れて、窓枠は自分でDIYで作ったのだという。
手作り木製サッシなのですね。
なので水仕舞が心配なこともあってか、軒の出を張り込んだ(笑)。
外皮側には「外付けブラインド」を仕込んだ。
秋田の西方さんが使っているような輸入物を使用した。
それはまだ日本で一般的ではないものを積極的に取り入れて
「先進性」をアピールするという意味が高いのでしょう。
しかし、ここは秋田ではなく北海道旭川。
積雪は年間7mくらいになるし、屋根の堆雪も常時1mを覚悟する。
したがって軒の出については頑丈最優先にしたい。
っていうか、このあたり本来はあんまり挑戦的にはしたくない。
危険回避型で当たりたいけれど、
前述の心理から、これもまた2×12くらいの材料を使って
大きく張り出させています。
その陰影感がブラインドにも降りてきてタテ横のストライドで
デザインコンセプトとしている。
そしてさらに、手前側の枕木と芝生の縞々模様が、
こういったデザインコンセプトを、より強調させる働きをしている。
まぁ、これでどうだ、とでも言わんばかりのアピール。
こういったプロセスを聞いていて、そういう作り手の心理に
大いに共感を持った次第。

そもそもこの建物は既存のごく一般的な中古2階建て住宅を
購入して、店舗使いにリノベしている。
2階部分はきれいさっぱり解体して平屋としたものだそうです。
残せるモノは使って、あとはかなり自由な挑戦をしている。
なにか、全体として「遊び心」がビンビンと伝わってくる。
こういう若々しさが年寄りには羨ましくなってくるのですね(笑)。
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【世界で60位と6位 ニッポンの面積】

2019年06月15日 06時05分51秒 | Weblog


本日はすこし住宅を離れた話題。
安倍さんがイランを訪問して米ーイラン関係の和平工作を行っている
そのちょうど最中に、ホルムズ海峡で
日本の会社が運行しているパナマ船籍のタンカーが攻撃を受け炎上した。
幸い乗組員には大きな被害がなく、輸送されていた内容物にも
被害が及ばずに、積み荷の入れ替え作業などに着手しているとのこと。

この民間輸送タンカー攻撃を巡って、
イランが仕掛けたのだと断定的に情報を流すアメリカと
乗組員を救助して「攻撃者を特定する」とアナウンスして
アメリカによるフレームアップをはねのけようとするイラン。
奇しくも日本というキーワードで情勢がうねってきている。
ふたたび中東を通ってエネルギー源が運ばれてきている
日本のエネルギー事情が浮き彫りになってきている。
帰国早々にトランプさんと「電話会談」をこなした後、
安倍さんは注意深く言葉を選んだステートメントを発表した。
いまのところ、アメリカの言う通りの意見を発出せず、
政府見解として菅官房長官は
「ご指摘の事案の詳細については、引き続き情報収集中であり、
その背景を含めて、予断を持って発言することは控えたい。
いずれにしろ、今回の安倍総理のイラン訪問については
イラン側も高く評価しており、地域の緊張緩和の観点から有意義だった」
と努めて冷静な姿勢を発出しているという段階。
今後、ことの推移がどうなっていくか、予断は許されないでしょうね。
安倍さんのイラン訪問というタイミングで起こったということは、
その「一石」の意味を巡っても国際的なパワーバランスが動く
そういう安全保障環境にニッポンがいることが明瞭に示された。

しかしエネルギーということではニッポンの安全保障、
きわめて危うい現実が端的に露見したといえるでしょうね。
図はニッポンの領海+排他的経済水域での海底資源分布推定。
明治の開国以降、日本は常にエネルギー資源確保の国策に
対外的精力を使い尽くさなければならない構造。
図のような潜在的な海底資源が活用出来るようになれば、
国家戦略は大きく変化していくのでしょうね。
国土面積は世界で60番目の弱小国家。
一方で領海+排他的経済水域を含めた面積では世界で6番目の広域国家。
技術力をさらに磨いて、こういう資源活用を急げないものか。
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【家具高さ調整アジャスターの逆転発想?】

2019年06月14日 05時50分15秒 | Weblog
家具屋さんと建築業界というのは、切っても切れない関係。
しかし自ずと技術方向が微妙に違う部分がある。
旭川は「家具の街」ということから、
いろいろ見ていると新発見があったりします。

テーブル選びではまずは面材が、家具嗜好要素の基本ではあるでしょう。
さらにテーブルはなんらかの「脚」をつけてテーブル面の高さを
その使う人の最適な高さに調整する機能がついている。
その面材をどう乗っけるかの脚についても
機能性とデザイン性の双方からあれこれと趣味が分かれていく。
そのなかで驚いたのが写真の「高さ調整アジャスター」。
テーブル脚の高さ調整アジャスターというのは、
てっきり脚の「下部」にあるものと思い込んでいた。
そういうなかば「常識」をひっくり返しているのがこの金具。
面材と脚の中間にあって面材の直下にある。
実際に手で触れて調整してみると
テーブル面の方が微妙にゆれ動いて高さ調整できていた。
形状が逆三角錐型で、テーブル面に対して荷重を受けつつ、
けっこう軽い操作性で調整することができていました。

たしかに脚の下部でも、このように面材の直下でも、
荷重としては大して変わらないだろう、いやむしろ脚の自重も
そこに加わるからこっちの方が合理的とも言えるのかも知れない。
面材の木はそこそこ薄く仕上げられていたので、
「ちょっと浮かせて」作業するのは脚下よりも距離が近い分、
操作が軽快になるかもしれない。
こういった工夫というのはわたしが知らなかっただけで
ごく一般的に知識としてあるのかも知れませんが(笑)
多くの住宅建築専門家のみなさんも面白がっていたところを見ると
あながちそうとも言えないのだろうと観察していました。
家具と建築、木を加工するという別領域間で、
知恵と工夫のシンクロする現場をたのしく拝見しておりました。
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【IoT モノのインターネットと住宅の現在】

2019年06月13日 07時34分03秒 | Weblog


モノのインターネット、IoTというものが
「急速に普及する」と言われてきている。
で、そのキー端末として「スマートスピーカー」の出荷が挙げられる。
いまのところ、下の写真のような端末をリビングなどに置いて
「今日の天気は?」とか聞くと、WEB経由での情報を答えてくれたり、
「きょうの日経新聞を読んで」というと、
アプリ(スキルと呼ばれているそうです)を契約していれば、
朝の忙しい時間に、「米中貿易摩擦は・・・」などと
音声で知らせてくれたりする、というのが一般的な使われよう。
家庭内で音声登録した家人がWEBに溜め込まれたデータを
「音声」を使って呼び出して生活利便性を高める、というのが
基本的な定義ということになるようですね。
昨日、そういう講演を聞いておりました。

昨年のクリスマス商戦でAmazonの端末がバカ売れして
アメリカでの「世帯普及率」が急速に高まったとされていた。
techcrunch.comというインターネットメディア調査では、
「アメリカのスマートスピーカーの世帯普及率は2018年に41%に達し、
2017年の21.5%に比べて倍近い増加だ。」とされる。
たしかにパソコンやスマホで「検索して情報を摂取する」という
人間動作をキャンセルして声で代替するというアイデアは
悪くはないのかも知れない。
しかし現状では家電などの操作を声で代替する、というような
利便活用が考えられている程度の段階。
それも家電機器を買い換えるときに、ようやく対応できるようになる、
とされている。既存家電が対応できるワケではないし、
今後の需要をにらんで、家電メーカーもそういう仕様を
製品に搭載して価格上昇させ、それで売れるメリットがあるかどうか
まぁ「様子見」というのが現実のメーカーの姿だろうと思います。
いまいまのアメリカ消費者の「もっとも利用されているスキルは?」
という質問への答は、Amazonプライムサービス関連とのこと。
自社のビジネス領域での「最適」なゲート機能を果たさせている。
端的に言えば、特定企業の「ユーザー囲い込み」ツールではないか。
いまのところ、AmazonとGoogleがシェアを分け合って、
Appleも苦戦しているとされている。

講演された方は、このスマートスピーカーに特化した
サービスを展開されているというバイアスが掛かった考え方でしたが
どうも「IoT」がそのまま、スマートスピーカー利用のものだけなのか、
まだわからないのが実際ではないのだろうかと思われました。
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【最北の住宅最前線 旭川現場見学】

2019年06月12日 06時21分54秒 | Weblog


きのうと今日、2日間日程で旭川での地域工務店グループ・アース21例会。
地域工務店は各社ごとにそれぞれに戦略を立て、
その地域の中での生き残りを図っていく存在ですが、
やはり一番の武器は「情報力」だろうと思います。
それぞれが自社で戦い方を考えていくのはもちろんですが、
そういった動きを相互に確認して、情報交流することの意味は
相当に価値が高いと思います。
それも実際の建物の中でどのように実践しているのか、
現場見学でナマの形で摂取していくことの意味合いが高い。
そういうことで、現場見学会がきわめて重要だと思います。

きのうの1日目は午後からの見学スタートでしたが、
なんと6件の住宅現場を見学させていただきました。
そしてその各所からの移動の時間の間にも
バスの車中で見学先での気付いたポイントについて
活発な意見交換がされていた。各所でいろいろな見どころがありましたが、
きょうは1つだけご紹介します。
写真は最近施工例がたいへん増えてきている「モールテックス」。
この写真は洗面スペースの様子ですが、
この洗面は加工しやすい木で形状が造作されたものに対し、
表面仕上げとして薄く左官仕上げされるだけで、
十分な防水性、デザイン性が獲得されています。
従来はこの全体をモルタル仕上げする必要があったけれど、
表面仕上げするだけで水回りの仕上げが可能になっている。
海外住宅と日本の住宅の作られようでいちばん違いがあるのは
「水回り」だと思います。海外では施工が非常にカンタンだけれど、
日本は重厚な防水仕上げが求められるのが一般的。
簡略化することの意味合いは現場的に非常に大きいと思います。
いろいろな会社でこの素材のことについて聞いていましたが、
今回、施工例として実際に手に触れ、取材することができました。
東北でもつい最近、こうした施工例を確認していたので
参加されたみなさんと話題にしていたら、
はじめて施工例を見たというみなさんも多く、
その現場でさっそくいろいろな意見交換会が展開していた(笑)。
こちらの施工例は美容院兼用住宅ということで、
施主さんの感度が高く、インテリア全般についてのこだわりも強いので
いろいろな素材使いにおいて面白い発見がありました。
2枚目の写真はこのモールテックを使って
居間のティッシュボックスまでオリジナルで作ったもの。
施主さんがこの仕上げについて深く興味を持った様子が
自ずと伝わってきました。
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【構造木組み経年美=リノベにしかない魅力価値】

2019年06月11日 06時21分50秒 | Weblog
写真は先日見学したリノベの「モデルハウス」。
山形県米沢市の「アジリノベース」です。
新築でのモデルハウスというのはふつうにあるけれど、
リノベでは、なかなかないと思います。
古い家を現代的な「使い勝手のいい家」に改装するだけであれば、
そのモデルとしてのコンセプトは新築住宅と変わらない。
フルリフォームであっても展示内容にはあまり個性はない。
リノベであることが明確であるモデルハウスというのは、
なかなか表現が難しいのではないか、と思っていました。

その悩みどころの末に行き着いたのがこのモデルハウスでの手法。
写真に見えているのは、屋根の架構を支える木組みを
既存では天井板で見せないように仕上げていたものを
その天井板を取り外し、構造素地を露わにした。
そうするとこの建物は築40年ということなので、
それほど日射で褪色していない木肌がそのままの経年ぶりであらわれた。
コントラストを強調するように背景の壁や天井は
プラスターボード張り+塗装としてシンプルに白く仕上げた。
40年間、屋根雪の重みに耐えるべく、複雑に組み上げられた木組みは
左右幅が2間と短いので中間に柱がなく、
ところどころに火打ち梁が補強的に加えられている。
モデルハウスの作り手側からすると、
この木組みの力感、40年この建物を支えてきた価値感を
そのままユーザーに「デザインと構造美」として伝える仕掛け。
もっといえば、リノベであることの価値感とは
新築住宅の価値感とは自ずと異なり、
そういった経年ぶりをむしろ「価値」としてわからせることが
必要だということを感じさせられる。

新築時には白木の美しさが壁やボードで塞がれていたけれど、
建築側がユーザーに訴求する「経年美」として
白木からのくすんだ褪色ぶりにこそ価値を見出したということ。
こういう価値転換を仕掛けて提案している側が、
むしろまったくの建築のニューウェーブ・30代の作り手であり、
さらにそれに共感を持つ世代もそういう世代だという。
・・・しかしわたしのような年代でも十分に好感を持てました(笑)。
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【好きな東北の神社 「金蛇水神社」再拝】

2019年06月10日 07時19分03秒 | Weblog
北海道とそのほかのどこかを往復する日々。
そういうなかでもやはり東北の機会が圧倒的に多い。
飛行機の時間などでちょっとした隙間時間ができたら、
高齢者としての自然な成り行きから神社仏閣の空間が恋しくなる。
札幌にいるときには家から遠くないこともあって、
「蝦夷国新一の宮」として、ブログによく書く北海道神宮に毎朝参詣しています。
そういう近場の「一の宮」が仙台にはない。
国府がながく置かれていた「多賀城」に隣接する港湾である
塩釜にある鹽竈神社が陸奧国一の宮とされていますが、
いやそうではなく福島県棚倉町という南端にある都々古別神社(つつこわけじんじゃ)が
本来の一の宮であるともされています。
古代国家の範囲が白河の関をもって国境と考えて
その国境線がどんどん「征夷」の結果、北上していったので
やがて塩釜がその位置に据えられていったということなのでしょう。
いずれにせよ、仙台からは遠いし縁も薄く感じる。
仙台ではその仮想的な「一の宮」として大崎八幡さんが位置しているのか。
伊達家は仙台城下町を開発しこちらの武神を総鎮守にしたとされる。
東北ではどうもこういう社格についての階層感が薄い。
まぁ北海道神宮の圧倒的な地域一の宮性のほうが珍しいのでしょうか。

ということで、いつも参詣先を迷うことが多いのです。
なんですが、どこ行こうかなと考えたら、
ちょっとした時間のあるときには、この金蛇水神社に縁を感じる。
名前が「かなへびすい」と呼ぶのですね。
どうして最後だけが音読みになるのか、不明。
社格としては「無格社」ということで縁起を見ても有名人はいない。
天皇から刀制作を受注した鍛冶さんがここの水の清らかなるをみて
感動してここに参籠して刀を仕上げたとされる。
ゲロゲロとカエルたちがうるさかったので、ヘビの置物を作ったら
ピタリと鳴き止んだとされて、金とヘビ、そして水の3字が縁起となり
そのまま神社名になったとされているのです。
まぁ、民間信仰、現世利益そのものが発現したように思う。
商売繁盛、金運向上などのそのものズバリの験掛けに最適。
「タマに行くならこんな神社」(笑)っていう宗旨とでもいえる。
季節はちょうど梅雨入りなので、いかにも水に縁のある風情。
さて御利益やいかに(笑)。
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