ロビンソン本を読む

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地中のディナー

2021-07-25 16:50:27 | 読書
 ネイサン・イングランダー『地中のディナー』




 カバーのイラストと帯の文言が、ミステリアスなスパイものを想像させた。

 確かにスパイが登場し、周りの人間がみな怪しく見えるミステリアスな雰囲気で始まる。


 物語は、異なる時代、場所、人物を、相互の繋がりがわかりにくい形で描いていて、なかなか全体像がつかめない。

 主軸となるのはイスラエルとパレスチナ。どちらが悪という書き方ではなく、読んでいてどちら側にも肩入れができない。

 パレスチナ問題に関するぼくの大雑把な知識と、断片的に触れるニュースだけでは、この物語を十分に理解し、「楽しむ」ことができるのか不安だ。

 酷い爆撃の映像だけが記憶に残っているためか、和平なんて望めるものなのか、ましてや敵国の人間を愛せるものなのか疑問に思う。

 徐々に収束していく物語は、小説としての面白さを感じるものの、どうしても現実から遠く離れているように思えてしまう。


 装画はササキエイコ氏、装丁は中村聡氏。(2021)




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