つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡の片隅で、ひっそりと朽ちてゆく美。

2011年05月16日 05時52分17秒 | 日記
「今日の一枚」は、先日の散歩の折に出遭った、廃車のスナップである。
臙脂色の車体は、トヨペット・クラウン。
1960年代の名車だ。
この車は、いつ打ち捨てられて、一体いつからここに佇んでいるんだろう?
決して短い時間でない事は確か。
何らかの価値を纏った「遺跡」となるには、まだまだ時が必要。
熟成には程遠いが、半ば草に覆われて朽ちてゆく様子は、やはり美しい。

僕は、こうした景色を見るたび、行ってみたくなる場所がある。
カンボジアの「アンコール」だ。

今から1200年前の東南アジアにあった王朝「アンコール」。
最盛期には、東南アジア一帯を治め、数々の都市を建築したが、
それらは王朝の滅亡と共に放棄され、ジャングルの中に埋没。
歴史の表舞台からフェードアウトしていった。
現在、ユネスコの世界遺産として知られる「アンコールワット」も、
元を正せば、そんな廃墟の1つだったと聞く。

近くに住む仏教徒が、時折、足を運ぶ意外は、ひっそりとした時間を過ごしてきた。
それが19世紀の半ば、あるフランス人の学者が、偶然遺跡に辿り着き、
突然、脚光を浴びる事になる。

密林の中、突如目の前に現れた、5本の塔を持った、石造りの寺院。
東西1500メートル、南北1300メートル。
中央の一番空に近い塔の高さは、20階建てのビルに相当する65メートル。
3万人の労働力と30年の歳月をかけて建築された巨大なモニュメント。

再発見者は、さぞ驚いただろう。
彼は、本の中でこう紹介したそうだ。

『この寺を見ていると魂は潰れ、創造力は絶する。
 ただ眺め、驚嘆し、頭の下がるのを覚えるのみで、言葉さえ口に出ない…。』

残念ながら、その驚きを共有する事は叶わないが、追体験くらいはしてみたい。
コメント
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