共産党は、天皇制や自衛隊についての党の考え方を有権者に説明する冊子を作製した。昨秋の衆院選では、党綱領を理由に与党などによる野党共闘への攻撃があったことを踏まえ、「与党になったら天皇制は廃止? そんなことは絶対にしません」と明記した。
「安保条約、自衛隊、天皇、共産主義…あなたの『?』におこたえします」と題する冊子を約400万部作製。夏の参院選の支持拡大に向け、党集会などで配布する。疑問が寄せられることが多いという計10テーマについて「いますぐ自衛隊をなくそうなどと考えていません」「(日米)安保条約の是非を脇において」安全保障上の課題解決を目指すなどと解説している<picture></picture>
批判があった立憲民主党との「限定的な閣外からの協力」合意など、共闘の意義も掲載した。小池晃書記局長は「支持を広げる時に『共産(綱領)のここがちょっと気になる』という声が出ることも多い。誤解を払拭(ふっしょく)したい」と語った。【田所柳子】
歴史に向き合い誤り認めよ
佐渡金山世界遺産推薦 宮本議員が質問
衆院予算委
日本共産党の宮本徹議員は3日の衆院予算委員会で、政府が「佐渡島(さど)の金山」(新潟県)の世界文化遺産の推薦を閣議了解したことについて、「推薦に値する」としたうえで、歴史の事実に謙虚に向きあうよう求めました。
宮本氏は、長崎県の端島(通称・軍艦島)を含む「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録(2015年)の際に出した政府のステートメント(声明)が「意思に反して連れて来られ、厳しい環境下で働かされた多くの朝鮮半島出身者がいたこと」について「理解できるような措置を講じる」としたにもかかわらず、現在の展示資料は1939年以降の徴用による労働者の証言がないと指摘。世界遺産委員会が昨年、強い遺憾を示し、約束の実行を求める決議を採択したとただしました。
野田聖子地方創生担当相は「わが国は世界遺産委員会の決議を誠実に履行している」などと開き直りました。
宮本氏は「ひとりよがりの立場は、国際社会に全く受け入れられていない」と批判。「国際社会との約束を履行しない姿勢を取り続ければ、結果として佐渡金山の世界遺産登録のコンセンサス(合意)を得る障害にもなる」と指摘しました。
その上で宮本氏は、新潟県がまとめた『新潟県史』や旧相川町が編さんした『佐渡相川の歴史』などに、朝鮮人労働者の強制労働の事実が克明に記録されていると強調。「こうした事実を認めるか」とただしました。末松信介文部科学相は「さまざまな議論がある」「定かであるかは確認していない」「もう一度調査する」などと述べ、強制労働の事実を認めませんでした。
宮本氏は、安倍晋三元首相が新たな「歴史戦チーム」を立ち上げ、日本の名誉と誇りを守り抜いてほしいと述べたことを指摘。政府のタスクフォース(作業部会)は「政権の認識に基づいてそれに合う事実だけ集めるのか」とただしました。
松野博一官房長官は「客観的事実に基づいて、国際社会で正しい歴史認識が形成されることを重視する」などと答弁。宮本氏は「負の側面も謙虚に認めることで、遺産の価値が世界遺産としての価値を持っていく」と述べ、日本による植民地支配と侵略への反省とおわびを表明した村山首相談話(1995年)の立場に立って歴史に謙虚に向き合うよう求めました。
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リテラ > スキャンダル > 差別 > 石原慎太郎の差別丸出し発言を朝日までが“石原節”と称える異常!
石原慎太郎Twitterより
2月1日に死去した石原慎太郎・元東京都知事をめぐり、またぞろ「不謹慎」「死者への冒涜だ!」といった声が噴出している。
たとえば、政治学者の山口二郎・法政大学教授が訃報を受けて〈改めて、彼が女性や外国人など多くの人々を侮辱し、傷つけたことを腹立たしく思う。日本で公然とヘイトスピーチをまき散らしてよいと差別主義者たちを安心させたところに、彼の大罪がある〉とツイートすると、共感する意見が集まった一方で、〈亡くなったばかりの人に言うことではない〉〈人間の屑〉〈死者を侮辱〉〈日本人の感覚とは、かけ離れている〉などという非難も殺到。挙げ句、自民党の長島昭久衆院議員にいたっては〈こういうのこそヘイトスピーチと言うのではないか〉とまで言い出した。
辟易するほかないが、ヘイトスピーチとは人種、民族、国籍、性などの属性を有するマイノリティの集団もしくは個人に対してその属性を理由とする差別的表現のことであり、山口氏のツイートはヘイトスピーチでもなんでもない。山口氏が指摘するように、生前、ヘイトスピーチをはじめとする数々の差別発言を連呼しつづけてきたのが石原氏だ。そんな当たり前の指摘をしただけで「死者への冒涜だ!」と騒ぎ立てるほうがどうかしているだろう。
しかし、このような筋違いの非難が起こるのもある意味当然かもしれない。というのも、肝心の大手メディアの報道自体、石原氏が繰り返してきた差別発言をほとんど取り上げず、ワイドショーだけではなく大手新聞やニュース番組までもが「石原節」などと報じているからだ。
実際、1日夜の『報道ステーション』(テレビ朝日)では、「歯に衣着せぬ石原節が人々の心を掴んだ」などと表現。新聞も同様で、2日の朝刊では朝日新聞が「石原都政、直言も放言も」、毎日が「「石原節」物議醸す」、東京新聞までもが「硬軟巧み 慎太郎流」などと伝えた。
いや、それどころか、朝日新聞デジタルにいたっては、1日夕方に「「外国人が凶悪な犯罪」「参拝して何が悪いの」数々の石原節」として記事を配信。「外国人が凶悪な犯罪」という石原氏の発言はヘイトスピーチそのものだが、それを「石原節」などと表現したのである。
この朝日の記事は批判が集まったためか、その後、「数々の石原節」という部分が「主な発言」と修正されたが、このように大手メディアの報道では、石原氏の差別発言が「差別」としてほとんど検証・批判されていないのだ。
本サイトでは繰り返し指摘してきたが、政治家や学者、芸術家らが鬼籍に入っても、過去の言動や表現、作品をきちんと検証・批判するのは当然の行為だ。とりわけ石原氏は「芥川賞作家で昭和の大スター・石原裕次郎の兄」として脚光を浴びてきただけでなく、その抜群の知名度を活かして政治の世界に進出し大臣を歴任したほか、13年ものあいだ東京都知事を務めた公人中の公人である。
そして、政治家による差別発言は差別を許容・肯定していいものだという社会の認識を生み出すものであり、その意味でも石原氏の生前の発言は悪質極まりなく、亡くなったからといって免罪されるものではない。むしろ、訃報に際してその功罪はしっかり検証されなければならないものだ。にもかかわらず、よりにもよって差別発言を「歯に衣着せぬ石原節」「放言」と矮小化するとは……。