大人と同じ、一人の人間として子どもの人権を認める−。一九八九年の国連総会で採択され、日本も批准した「子どもの権利条約」の概念に沿っていると言えよう。
法相の諮問機関、法制審議会の部会が、親が子どもを戒める「懲戒権」を民法から削除するとの答申案をまとめた。懲戒権は「しつけ」と解釈され、体罰をも許容すると受け止められてきた。
児童相談所が把握した虐待件数は一九九〇年代から増加し続けている。懲戒権が児童虐待を正当化する口実になっているとの指摘を受け、民法は二〇一一年に改正された。懲戒は「必要な範囲内で」から、「子の利益のため」「監護及び教育に必要な範囲内で」許されると改められた。
しかし、その後も東京・目黒の五歳女児虐待死や千葉県野田市の小四女児虐待死など多くの痛ましい事件で、「しつけ」と称した暴力、虐待は続いた。コロナ禍の二〇年度、児童虐待は過去最多の二十万五千件に上った。親子が一緒に過ごす時間が増えたことが影響したとみられている。
懲戒とは、不正や不当な行為を繰り返さないよう罰を加えるとの意。礼儀作法や社会のルールを子どもに教える、いわゆる「正当なしつけ」は当然、否定されるべきではない。とはいえ、体罰を容認する風潮の背景になっている面がある以上、明治期以降の民法が認めてきた懲戒権を丸ごと削除しようという答申案は妥当だ。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(東京)が二一年、二十歳以上の二万人にアンケートしたところ、四割強が「しつけのための体罰を容認する」と答えた。学校教育法で明確に体罰が禁じられている学校現場でも二〇年度、十年前から一けた減ったとはいえ、四百八十五件の体罰が報告された。
日本では子どもを親の所有物と考えるきらいもあり、例えば子どもを道連れにした心中などは、海外ではほとんど例がないという。民法を改正して懲戒権を削除することは、体罰を決して認めないという強いメッセージになる。ひいては子どもの権利条約の理念が浸透することにもつながる。
わが子を思って、ついつい感情的に声を荒らげたり、強く当たりすぎた苦い経験は誰にでもあるだろう。だが、いかなる時も、心や体への暴力は許されない。その意識を社会全体で広く共有したい。
自民候補 共産党に中傷ツイート
「まず綱領を読んで」党県委の批判文に反響
岩手
自民党の広瀬めぐみ参院岩手選挙区候補(弁護士)が日本共産党を誹謗(ひぼう)中傷したツイッターの投稿(4日朝)に対し、共産党県委員会がツイッターで抗議文を発表(7日)したところSNS上で県内外からアクセスがあるなど反響を呼んでいます。
広瀬氏は、ツイッターで「個人の資本を否定する共産党」「自分や他人が稼いだものすべてを党が管理し、分配する共産主義」「本質は個人の自由を認めない共産主義」と発言。共産党員から「まず綱領を読むべきでは」と批判されると、「拝見します」と返事をしたものの、4日夜には全文を削除しました。
抗議文では、綱領は生活手段について「社会発展のあらゆる段階を通じて私的財産が保障される」と明記しており、「個人の資本を否定する」は暴論で、そのような用語もないと指摘しています。
共産党がめざす社会主義・共産主義は、人間の自由と全面的な発展が保障される社会だと強調。戦前の絶対主義的天皇制の下で平和と民主主義を掲げて不屈にたたかい、戦後も同じ党名で活動することができ、今年で創立100周年を迎えると述べています。
斉藤信副委員長は7日、文書にした抗議文を自民党県連の岩崎友一幹事長に手渡しました。岩崎氏は「ツイッターは知らなかった。本人と協議し、県連会長にも伝える」と答えました。
2022年2月10日(木)
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