米、オスプレイ飛行許可
デニー知事「再開許されない」
段階的に運用へ
【ワシントン=島田峰隆】米海軍航空システム司令部(NAVAIR)は8日、垂直離着陸機オスプレイの飛行許可を出したと発表しました。鹿児島県屋久島沖で昨年11月に発生した墜落事故を受け、世界全域で同機の飛行を一時停止していましたが、「米国の防衛に不可欠」などと主張して約3カ月ぶりに解除しました。(関連記事)
屋久島沖では米空軍横田基地(東京都)所属のCV22オスプレイが墜落し、乗組員8人全員が死亡しましたが、事故原因はいまだ特定されていません。NAVAIRは報道発表で「事故を起こした部品の不具合を特定するための米空軍の調査に協力した」と述べるにとどまり、具体的な部品名にも、事故原因にも一切言及していません。これに関して、オスプレイの拠点である米軍普天間基地を抱える沖縄県の玉城デニー知事は9日、「事故原因が究明されない中での飛行再開は許されない」との声明を発表しました。
実際の運用再開の時期は各軍に委ねられます。米空軍と海兵隊の報道発表によれば、いずれも運用再開までの3段階の計画を立てており、空軍は期間を「数カ月」、海兵隊は「晩春または初夏」までとしています。ただ、期間中の訓練飛行の可能性は排除されません。米軍事ニュースサイト「ブレイキング・ディフェンス」によれば、計画完了の期間について、空軍は3カ月との見通しです。一方、海兵隊は30日で完了するとしています。
防衛省、米軍発表うのみ「安全に運用再開できる」
防衛省は8日夜、「(事故の原因となった部品の)不具合に対する各種の安全対策の措置を講じることで、安全に運用を再開できる」などとした声明を発表。米軍の発表をうのみにしてオスプレイ飛行再開を容認しました。日本政府は屋久島沖での事故後も、米側に飛行停止を要請せず、住民の懸念をよそに国内での飛行を野放しにしてきました。
米のオスプレイ飛行許可
屋久島事故 闇の中へ
米軍・防衛省は8日、垂直離着陸機オスプレイの飛行停止を解除して早期の運用再開にかじを切りました。しかし、飛行停止の契機となった昨年11月の鹿児島県屋久島沖でのCV22オスプレイ墜落をめぐり、事故原因も、事故を引き起こした部品の不具合の具体的な状況も、一切明らかになっていません。
「状況や原因、安全対策について、前例のないレベルで情報提供を受け、合理的と評価した」。木原稔防衛相は9日の記者会見で、飛行停止解除をめぐる米側の対応を高く評価しました。
しかし、米軍事ニュースサイト「ブレイキング・ディフェンス」などによれば、米国防総省のオスプレイ担当者は、CV22の残骸は長く海中に沈んでいたため腐食しており、事故原因の調査が困難だと指摘。ある高官は、「国防総省は決して立証できないかもしれない」として、事故原因を特定できないまま調査を終える可能性に言及しています。これが事実であれば、米側は屋久島沖での事故原因究明を闇に葬り去り、見切り発車したと言わざるをえません。
木原氏は、国内での飛行再開に先立ち、同省の職員を関係自治体に派遣する考えを示しました。しかし、事故の詳細は「米国内法の制限」がかかっており、その範囲内での説明にとどまるとしています。公式発表以上の説明ができなければ、およそ自治体・住民の理解が得られるとは考えられません。
米でも批判
オスプレイの飛行再開をめぐっては、米国内でも疑問や批判の声が相次いでいます。屋久島沖での事故直後から、調査に着手した米下院監視委員会のコマー委員長は6日、オスプレイの飛行停止が近く解除されるとの説明を受けたとした上で、「監視委員会はいまだに適切な情報を受け取っていない」として、国防総省を厳しく批判。今後も調査を継続するとしています。
米国内でオスプレイへの懸念の声が高まっている最大の要因は、22年から23年の2年間で20人が死亡するなど、事故による死亡が相次いだことにあります。開発段階の1990年代を含めると、これまでに57人が事故で死亡しています。
米軍予備役の支援団体、「リザーブ・オーガニゼーション・オブ・アメリカ」(ROA)は2月14日、「性急な飛行再開は乗組員の命を危険にさらす」とした声明を発表し、警鐘を鳴らしています。
即時撤去を
しかし、日本で危険にさらされるのは乗組員だけではありません。日本には自衛隊を含め44機が配備されています。米軍は昼夜問わず市街地上空を平然と飛行し、日本政府は航空法の最低安全高度をはるかに下回る高度60メートルの超低空飛行まで容認。米軍の無法を野放しにし、住民を危険にさらしています。構造的欠陥機オスプレイは即時撤去以外にありません。
東京都が1990年代に収録し、長く封印してきた東京大空襲など戦争体験者の証言ビデオが、2月末からようやく公開された。一歩前進も、開催中の東京空襲資料展でしか現状では見られず、公開は収録した330人のうち同意を得た122人分にとどまる。「戦争の惨禍を語り継ぎ、都民の平和への願いを世界に向けて発信する」。都は収録の際に趣旨をそう伝えていた。「原点」を忘れず、歩みを止めてはならない。(井上靖史)
◆平和祈念館計画のとん挫で宙に浮いた証言ビデオ
◆「なぜもっと早く再確認しなかったのか」
◆東京の歴史を伝える拠点整備、本気で考える時
公明党の石井啓一幹事長
【LIVE】山本太郎とおしゃべり会 2024年3月10日(京都府・京都市)