中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

朱家角

2008-02-01 17:27:42 | 中国のこと
 朱家角(チュチャチャオ)は上海に一番近い水郷古鎮である、と言うよりもこの水郷は上海市内にある。

 普通上海と言われてイメージするのは高層ビルが林立したり、建物がライトアップされたりしている光景だが、これはいわゆるオールドシャンハイとその対岸の上海の象徴のようになっているテレビ塔(東方明珠塔)のある浦東新区あたりのもので、広く上海市と言うとその周辺に広がる地域も含めている。この上海市は18の区と1つの県に区分されていて、このうちの9区ほどが狭義の上海を構成している。朱家角は上海市の中心部から西方約50キロ、車で1時間ほどの所にあり、青浦区に属する。

 朱家角の歴史は古く、三国志で知られる約1500年前の魏、蜀、呉の三国時代に遡ると言う。上海のあたりは呉であった。

 町に入ると、細い道の両側に間口の小さい店が並んでいる。どれも観光客相手のものだ。さまざまなものが目を惹く。








 ちまき(粽子)。名物らしい。豚肉入りと、豚肉と卵入りがある。




 玉蜀黍のような黄色い粉を水に溶いて薄く焼いたもの。ぱりぱりしていて甘く、なかなかうまい。


 龍須糖と言う飴。出きたては綿菓子のようにふわふわしているがそれを固める。




 商店街の向こうには運河があり、所々に石造りの橋がある。橋から見た水郷風景。






 ひときわ大きい橋があり、放生橋と言う。橋のたもとでは小さい魚を売っていて、これを買って橋の上から運河に放生する。


 放生橋から。




 放生橋を渡って対岸に行くと土産物屋などはあまりなく民家が並んでいる。新鮮な野菜などを売っている小さな市場もある。


 そこを通り抜けるとそこにも運河があり、観光客を乗せた船が行き来している。






 商店街の雑踏とは違った静かな雰囲気である。


 朱家角は上海の都心部に近いと思われないような古鎮の風情がある。日本人の観光客の姿もよく見られた。上海を観光したついでに訪れるにはちょうどよいのだろう。

 

蕎麦の食べ方

2008-02-01 10:55:37 | 身辺雑記
 先日、プロ野球の監督の娘が記者会見して、婚約者の医師との婚約を無期延期したことを発表したが、今度はその医師が著書の出版記念会場で記者会見した。

 会場には蕎麦が準備されていて、医師は「音をたてずに蕎麦を食べる姿」を披露して、復縁をアピールする予定だったとある。何のことやら分からなかったので、記事をさかのぼってみると、監督の娘は婚約延期の理由が「小さなことの積み重ねが原因」としたようで、それについて医師は「習慣の違いとか、例えば、おそばを食べる時に音をたてないようにするとか、直します」と話していたそうだ。それで今回は音をたてずに蕎麦を食べるところを見せようとしたとかだが、結局は食べなかったようで、年金がどうの、ガソリン税がどうのと騒いでいる中で、いい年をした大人が能天気なことだと思った。

 蕎麦の食べ方が嫌で婚約延期というのも大人気ないと言われるかも知れないが、これはありうることだと思う。茶道か華道か梨園かは忘れたが、とにかく名家の御曹司がある女性と見合いし、食事になった時に、付き添っていた女性の母親が醤油にわさびを溶かして刺身を食べたのを嫌悪し、このような母親に育てられた娘とは結婚できないと思い、取り止めたそうだ。その話を読んで、へえ、格式のある家で育つと、こんなことにも我慢ができないものかと思ったことがあった。これは極端だろうが、食事のマナーが気になると言うことはよくあるようだ。ある者がそれほどには感じないことでも我慢できないことはある。私の妻は食べ物をぴちゃぴちゃと音を立てて食べることを嫌っていたので、もし私にその癖があったら結婚できなかったかも知れないなと笑ったことがあった。

 蕎麦はその香りや喉越しを楽しむために、食べる時に音を立てることが許されてきたようで、蕎麦の香りを味わうには、蕎麦を空気と一緒に啜りこみ、その空気を鼻腔から抜くようにして食べるのが最良で、その結果として音をたてることになるのだそうだ。その点では世界でも稀な食品らしいし、日本人特有の感覚でもあるのだろう。しかし、熱い汁蕎麦などは香りや咽喉越しを楽しみにくいから、ざる蕎麦の話ではないか。それが時がたつにつれて(私がそうだが)、そのような微妙な味わい方を知らない者が増え、ただ蕎麦は音をたてて食べるものだということになったのだろう。ずっと前に青少年の方言詩を集めた本があって、なかなか面白かったのだが、その中に蕎麦を音をたてずにぐちゃぐちゃと噛みながら食べたのを、祖母に何だまずそうに食べてと咎められたという詩があった。だが、この食べ方は欧米人は嫌がるようだ。前に長男が米国に出張する時に、成田かどこかの空港でカウンターで音をたてて蕎麦を食べたら、隣にいた白人が嫌な顔をしたので、ああ、そうだったと気づいたそうだ。欧米人はスープにしても音をたてて啜ることは下品とみなすようだ。だから日本人の蕎麦の食べ方も下品だと思うだろうし、日本が好きで、日本の習慣が身についた者でも、おそらく蕎麦は音をたてずに食べるのではないだろうか。日本では音をたてて食べるのが豪快なことのように思われているのか、テレビのCMにも若い男が茶漬けをがさがさと一気にかき込むのがあるが、飢えた犬が唸りながら餌を食べている様子を連想させるようで、確かに品のよいものではない。

 私は蕎麦好は好きだが、音をたてることはせず「まずそうに」食べる。いつからそうなのか記憶にない。日本人でも近頃は音をたてないで食べる者が多くなってきているのではないだろうか。婚約云々までになるのだから、たかが蕎麦の食べ方くらいとも言っておられないのかも知れない。