今年も10日ほど前から百貨店にチョコレート売り場が特設されて、たくさんのメーカーが競って製品を売っている。もちろん女性対象で、どの売り場の前も女性が群がっている。チョコレートは好きだから、この機会に便乗しようと思うのだが、何しろ客はほとんどが若い女性で、その中に割り込んでいくのはかなり勇気がいるし、それに普段はあまり売られていない高級品もあってかなり高いのにも気後れがして、結局はチョコレートくらいいつでも食べられるさと諦める。
バレンタインデーの起源は古くローマ時代に遡るという。調べてみると、それはおおよそ次のようなものである。
当時、ローマでは、2月14日は最高神ジュピターの妻で、最高の女神、女性と結婚生活の保護者であるジュノーの祝日で、翌日の15日は豊年を祈願するルペルカリア祭の始まる日であった。当時の若い男たちと娘たちは生活が別で、祭りの前日に娘たちは紙に名前を入れた札を桶の中に入れることになっていた。翌日、男たちは桶から札を1枚引き、引いた男と札の名の娘は、祭りの間パートナーとして一緒にいることと定められていた。そして多くのパートナーたちはそのまま恋に落ち、そして結婚した。
ローマ帝国皇帝クラウディウス2世は、愛する者を故郷に残した兵士がいると士気が下がるという理由で、ローマでの兵士の婚姻を禁止した。キリスト教司祭だったウァレンティヌス(バレンタイン)は秘密に兵士を結婚させたが、捕らえられ、ルペルカリア祭の生贄にするために2月14日に処刑された。このためキリスト教徒にとっても、この日は祭日となり、恋人たちの日となった。
このようなことで、欧米ではこの日は恋人達が愛を誓う日となり、互いに花や宝石やチョコレートなどを送り合うようになったと言う。それが日本ではなぜ女性が男性に愛を告白し、プレゼントをするようになったのかは知らない。チョコレートを贈ることは戦前に神戸の著名な洋菓子店が始め、戦後には東京のある百貨店がキャンペーンしたようだがたほとんど関心を惹かなかったようだ。それがどういう契機で、現在のような盛況になってきたのかこれも知らないが、おそらくは生活が豊かになってきたことと、それに伴うコマーシャリズムの発達によるものだろう。
中国でも最近はバレンタインデーは定着しつつあるようだ。中国語では情人節(チンレンチエ)と言う。情人は恋人のことだが、欧米風に男女互いに贈り物をし合い、また恋人に限らず夫婦どうしでも贈物をし合うようだ。女性から男性にはチョコレートやキャンディーなど甘いものを贈ることが多く、男性からは花、それもバラを贈ると喜ばれると言う。西安の李真は夫にはチョコレート、夫からピアス、袁毅は夫にはやはりチョコレート、夫からはブランドものの腕時計だそうだ。「女は得ですね」と袁毅は言った。2人とも今夜はデートのようで、若い夫婦が仲がいいのは良いことだ。
外国にはおそらくないだろういわゆる「義理チョコ」、日本の女性がチョコレートを贈る対象は1人ではなく、店でいくつも買っていく。だが、今年は東京のあるデパートが、「本命」でも「義理」でもなく、「義理チョコ」よりは格上の「世話チョコ」に的を絞ってキャンペーンをしたそうだ。女性来店者にアンケートした結果、贈る相手は「会社の上司や同僚など」が最も多かったようで、世話になった人への感謝の気持ちを贈るチョコと言うことらしい。いかにもタテ社会らしいことだ。
これも日本独特のものだが、バレンタインデーに贈物をされた男性がその女性に返礼の贈物をするホワイトデーと言うのが3月14日にある。確か初期の頃はマシュマロデーと言ったと思うが、どういう意味かは知らないがマシュマロを贈ることになった。今ではキャンディーやホワイトチョコレートも贈るようだが、いずれにしても菓子製造業者の発案だろう。前に何かで「情人節」についての中国語の文を読んだことがあるが、日本のようにホワイトデーがないから、中国の男性は二重の負担にならなくていいとあった。他にも柑橘類生産農家などが4月14日をオレンジデーとすることを提案しているようだが、これはまったく市民権を得ていない。
バレンタインデーは今や「国民的行事」とかで、この日に消費されるチョコレートは年間消費量の4分の1と言うからすごいものだ。もっとも僻みっぽく言うわけではないが、私にはどうにも縁が薄いようで、かつては「義理チョコ」や「ぎりぎりチョコ」をいくつかもらったことはあるが、その程度である・・・のは当然のことか。妻がくれたことがあったかは忘れてしまった。もっとも結婚前の若い頃には、バレンタインデーなどはなかった。
2月6日朝日新聞夕刊
そのような私も今年はチョコレートをもらった。1つは東京にいる施路敏からで、「義理チョコだよ」と言ったが、わざわざ東京から贈ってくれたから、義理チョコよりも格上の「じいちゃん好きチョコ」と勝手に解釈した。路敏はそれでいいよと言った。彼女は今年は「本命チョコ」を贈る相手ができ幸せそうだ。もう1つはよく一緒に中国に行くH君の奥さんからで、これも義理チョコより格が上の友情チョコと解釈した。さらに中国への教育援助の会の事務局で一緒に事務当番をしている女性からも。これはどういうチョコ?と尋ねたら、愛情チョコですよと笑って言ったから、有難く頂戴した。こんなことで、無論本命チョコはなかったが、何とかこの甘ったるい国民的行事に参加させてもらえたようだ。
バレンタインデーの起源は古くローマ時代に遡るという。調べてみると、それはおおよそ次のようなものである。
当時、ローマでは、2月14日は最高神ジュピターの妻で、最高の女神、女性と結婚生活の保護者であるジュノーの祝日で、翌日の15日は豊年を祈願するルペルカリア祭の始まる日であった。当時の若い男たちと娘たちは生活が別で、祭りの前日に娘たちは紙に名前を入れた札を桶の中に入れることになっていた。翌日、男たちは桶から札を1枚引き、引いた男と札の名の娘は、祭りの間パートナーとして一緒にいることと定められていた。そして多くのパートナーたちはそのまま恋に落ち、そして結婚した。
ローマ帝国皇帝クラウディウス2世は、愛する者を故郷に残した兵士がいると士気が下がるという理由で、ローマでの兵士の婚姻を禁止した。キリスト教司祭だったウァレンティヌス(バレンタイン)は秘密に兵士を結婚させたが、捕らえられ、ルペルカリア祭の生贄にするために2月14日に処刑された。このためキリスト教徒にとっても、この日は祭日となり、恋人たちの日となった。
このようなことで、欧米ではこの日は恋人達が愛を誓う日となり、互いに花や宝石やチョコレートなどを送り合うようになったと言う。それが日本ではなぜ女性が男性に愛を告白し、プレゼントをするようになったのかは知らない。チョコレートを贈ることは戦前に神戸の著名な洋菓子店が始め、戦後には東京のある百貨店がキャンペーンしたようだがたほとんど関心を惹かなかったようだ。それがどういう契機で、現在のような盛況になってきたのかこれも知らないが、おそらくは生活が豊かになってきたことと、それに伴うコマーシャリズムの発達によるものだろう。
中国でも最近はバレンタインデーは定着しつつあるようだ。中国語では情人節(チンレンチエ)と言う。情人は恋人のことだが、欧米風に男女互いに贈り物をし合い、また恋人に限らず夫婦どうしでも贈物をし合うようだ。女性から男性にはチョコレートやキャンディーなど甘いものを贈ることが多く、男性からは花、それもバラを贈ると喜ばれると言う。西安の李真は夫にはチョコレート、夫からピアス、袁毅は夫にはやはりチョコレート、夫からはブランドものの腕時計だそうだ。「女は得ですね」と袁毅は言った。2人とも今夜はデートのようで、若い夫婦が仲がいいのは良いことだ。
外国にはおそらくないだろういわゆる「義理チョコ」、日本の女性がチョコレートを贈る対象は1人ではなく、店でいくつも買っていく。だが、今年は東京のあるデパートが、「本命」でも「義理」でもなく、「義理チョコ」よりは格上の「世話チョコ」に的を絞ってキャンペーンをしたそうだ。女性来店者にアンケートした結果、贈る相手は「会社の上司や同僚など」が最も多かったようで、世話になった人への感謝の気持ちを贈るチョコと言うことらしい。いかにもタテ社会らしいことだ。
これも日本独特のものだが、バレンタインデーに贈物をされた男性がその女性に返礼の贈物をするホワイトデーと言うのが3月14日にある。確か初期の頃はマシュマロデーと言ったと思うが、どういう意味かは知らないがマシュマロを贈ることになった。今ではキャンディーやホワイトチョコレートも贈るようだが、いずれにしても菓子製造業者の発案だろう。前に何かで「情人節」についての中国語の文を読んだことがあるが、日本のようにホワイトデーがないから、中国の男性は二重の負担にならなくていいとあった。他にも柑橘類生産農家などが4月14日をオレンジデーとすることを提案しているようだが、これはまったく市民権を得ていない。
バレンタインデーは今や「国民的行事」とかで、この日に消費されるチョコレートは年間消費量の4分の1と言うからすごいものだ。もっとも僻みっぽく言うわけではないが、私にはどうにも縁が薄いようで、かつては「義理チョコ」や「ぎりぎりチョコ」をいくつかもらったことはあるが、その程度である・・・のは当然のことか。妻がくれたことがあったかは忘れてしまった。もっとも結婚前の若い頃には、バレンタインデーなどはなかった。
2月6日朝日新聞夕刊
そのような私も今年はチョコレートをもらった。1つは東京にいる施路敏からで、「義理チョコだよ」と言ったが、わざわざ東京から贈ってくれたから、義理チョコよりも格上の「じいちゃん好きチョコ」と勝手に解釈した。路敏はそれでいいよと言った。彼女は今年は「本命チョコ」を贈る相手ができ幸せそうだ。もう1つはよく一緒に中国に行くH君の奥さんからで、これも義理チョコより格が上の友情チョコと解釈した。さらに中国への教育援助の会の事務局で一緒に事務当番をしている女性からも。これはどういうチョコ?と尋ねたら、愛情チョコですよと笑って言ったから、有難く頂戴した。こんなことで、無論本命チョコはなかったが、何とかこの甘ったるい国民的行事に参加させてもらえたようだ。