中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

携帯事故

2008-02-18 08:40:02 | 身辺雑記
 最寄りの私鉄の駅に入る所に階段がある。そこを降りようとしたら階段の際に背の高い男性が立っていたが、その後姿の様子から携帯電話を覗き込んでいるようだった。

 じっと佇んでいるその男性を避けて階段を降りていくと、ドスドスというただならぬ音がして私のそばを人が転がり落ちていき、一番下でうつ伏せになって動かなくなった。後には携帯電話とそのカバー、それに持っていたらしい何かが入ったビニール袋が落ちていた。どうやら先ほど階段の際に立っていた男性のようだった。下にいた人達が助け起こして仰向けにしたが、ちょっと意識を失っているように見えた。近づいて見ると、すぐにぼんやりと目を開けた。額の右端に大きな瘤ができていて、血も少し流れている。応急処置の心得のあるらしい中年の男性が自分のハンカチを頭の下にあてがい、話をしないように注意し、学生らしい男の子が携帯電話で救急車を呼び、1人が駅員に知らせに行くなど、皆てきぱきと行動したのには感心した。男性は60代のようだったが、顔には赤みが差していたので心配はないだろうと思っているうちに救急車が来た。

 おそらく、携帯の画面を見ながら階段を降りかけて、足を滑らせたのだろう。10メートルくらいの短い階段だからよかったが、おそらく頭から転落したのだろうから、長い階段だったらもっとひどい、場合によっては致命的な結果になっていたかも知れない。そうでなくとも、もし私自身が後から直撃されていたらと思うと、体格のいい男性であっただけにぞっとした。

 近頃の携帯電話は聞き話すよりも、メールを見る機能のほうがよく利用されているようだ。私はこういう点では保守的だから、メール機能は契約していないので想像する他はないが、携帯の画面には魅入られるような何かがあるのだろう。電車の中などでは老いも若きも夢中になって見入っているし、歩きながら見入っているのにぶつかられそうになったこともある。周囲のことは目にも耳にも入らないような、中毒症状のようになるのか。階段を転げ落ちた男性もそのような状態だったのだろうと思う。何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」だ。その男性には「携帯を見ながら歩くのは止めなさいよ」と声をかけ彼もうなずいていたが、これに懲りて慎むようになってほしいと思った。