電車内である週刊誌の吊り広告を見た。その中に次のような見出しがあった。
殺人餃子より怖い!ひそかに上陸、国産に偽装して体内に侵入 「産地表示ナシ」中国産〝猛毒〟食品全リスト
最近大きな問題になっている中国産餃子による薬物中毒事件に関連させた記事のようだが、何とも仰々しい表現だ。この事件では中毒者はあるが死者は出ていない。それなのにどうして殺人餃子などと表現するのか。それに「産地表示ナシ」と言うのにどうして中国産と断定できるのか。また「ひそかに上陸」し、「国産に偽装」したことがどうして確認できたのか。もしこれが事実なら、こういうことをしているのは日本の業者ということになり、天に唾することではないか。見出しを読むだけでいくらでも疑問が起こる。それは本文を読めば分かると言うのだろうが、何かひどくいかがわしい感じがして、わざわざ書店に寄って立ち読みする気も起こらないし、まして買おうとも思わなかった。もちろん「自信を持って取材した」と言うのだろうが、いったいどこまで信用できる内容の記事なのだろうか。
今朝の新聞には他の2種類の週刊誌の広告もあって、両誌とも中国産食品の危険性をこれでもかと言うくらいにどぎつい見出しで特集を組んでいる。どちらも反中国的な記事が多い雑誌だから当然とも言えるが、「『日中戦争』に発展した『毒入り餃子』」などという穏やかならぬ表現もあり、これでますます一部の国民は中国嫌いになるだろうから、それが狙いなのだろうと勘繰りたくもなる。
これが、今の日本の一部のジャーナリズムの実態だと思う。私は中国迷爺爺(中国好き爺さん)を自称していても、闇雲に中国が好きで何が何でも中国の肩を持つつもりはない。それでは贔屓の引き倒しになってしまう。焦点になっている餃子は確かに中国産だし、毒物で汚染されていたことも事実だ。原因は徹底的に究明されなければならない。だが、これを書いている現在ではまだはっきりしたことは判明せず調査中で、素人が勝手な憶測で物を言うことではない。このような段階では、マスコミも慎重な報道をするべきで、これらの週刊誌のような煽り方はジャーナリズムとして程度も品位も低い。何にでも便乗して売り上げ部数が増えればよいと言うものではあるまい。ましてやその底に反中国感情を植えつけようとする狙いがあるのなら論外だろう。
この問題は決して軽視できるものではない。しかし一般の反応は少し過敏だと思うこともある。事件が報じられると厚生労働省や各地の保健所には、全国の消費者から体調不良を訴える電話が相次いでいるそうで、その数は46都道府県2117人(被害が確定した10人を含む)に上ったという。だが、被害が確定した10人以外には、今回知られた「メタミドホス」という毒物の中毒が疑われるケースは出ていないので、厚生労働省は「食べ物による体調不良について、多くの人が敏感になっているようだ」とみているとのことだ。同省によると、入院したのは9人、入院はしないが医療機関の診断を受けたのは379人だったそうで、体調不良の相談の中で比較的多いのが「下痢をした」との訴えだったらしいが、この有機リン系の中毒の場合の症状とは違うと言う。中には「日本産ギョーザを食べて体調を崩した」とか、「何を食べたか分からないが、1ケ月ほど前に体調不良になった」という訴えも相当件数あるようだ。入院した人の中には、医師が「必要はない」と判断しても「心配だ」と自ら入院をしたケースもあったということで、こうなると当事者には悪いが、何かしらばかばかしくもなるし、大げさなようだがこのような国民性だったのかと思ったりもする。
いずれにしても、確たることが分かっていない時期ではあっても、不安になって浮き足立つような状態になっていることは事実だから、マスコミはやたらに騒ぎ立て、不安を煽りたてるのではなく、むしろ冷静な判断ができるように記事や番組の作り方に配慮するべきではないだろうか。また中国産の食品の危険性を大きく取り上げることのほかに、今回私は初めて知ったことなのだが、日本の商社が莫大な量の食品を中国の企業に製造させていることの問題をもっと深く掘り下げて国民に知らせることも必要だと思う。毒餃子とか殺人餃子などと言って、あたかも劣悪な環境で製造をしているようなイメージを持ち、中国産のものがすべて危険だと言うようなことになれば、中国としても一言も二言も言いたくなり、またぞろ両国間の誤解にもとづく険悪な空気を生み出すことにならないだろうか。
殺人餃子より怖い!ひそかに上陸、国産に偽装して体内に侵入 「産地表示ナシ」中国産〝猛毒〟食品全リスト
最近大きな問題になっている中国産餃子による薬物中毒事件に関連させた記事のようだが、何とも仰々しい表現だ。この事件では中毒者はあるが死者は出ていない。それなのにどうして殺人餃子などと表現するのか。それに「産地表示ナシ」と言うのにどうして中国産と断定できるのか。また「ひそかに上陸」し、「国産に偽装」したことがどうして確認できたのか。もしこれが事実なら、こういうことをしているのは日本の業者ということになり、天に唾することではないか。見出しを読むだけでいくらでも疑問が起こる。それは本文を読めば分かると言うのだろうが、何かひどくいかがわしい感じがして、わざわざ書店に寄って立ち読みする気も起こらないし、まして買おうとも思わなかった。もちろん「自信を持って取材した」と言うのだろうが、いったいどこまで信用できる内容の記事なのだろうか。
今朝の新聞には他の2種類の週刊誌の広告もあって、両誌とも中国産食品の危険性をこれでもかと言うくらいにどぎつい見出しで特集を組んでいる。どちらも反中国的な記事が多い雑誌だから当然とも言えるが、「『日中戦争』に発展した『毒入り餃子』」などという穏やかならぬ表現もあり、これでますます一部の国民は中国嫌いになるだろうから、それが狙いなのだろうと勘繰りたくもなる。
これが、今の日本の一部のジャーナリズムの実態だと思う。私は中国迷爺爺(中国好き爺さん)を自称していても、闇雲に中国が好きで何が何でも中国の肩を持つつもりはない。それでは贔屓の引き倒しになってしまう。焦点になっている餃子は確かに中国産だし、毒物で汚染されていたことも事実だ。原因は徹底的に究明されなければならない。だが、これを書いている現在ではまだはっきりしたことは判明せず調査中で、素人が勝手な憶測で物を言うことではない。このような段階では、マスコミも慎重な報道をするべきで、これらの週刊誌のような煽り方はジャーナリズムとして程度も品位も低い。何にでも便乗して売り上げ部数が増えればよいと言うものではあるまい。ましてやその底に反中国感情を植えつけようとする狙いがあるのなら論外だろう。
この問題は決して軽視できるものではない。しかし一般の反応は少し過敏だと思うこともある。事件が報じられると厚生労働省や各地の保健所には、全国の消費者から体調不良を訴える電話が相次いでいるそうで、その数は46都道府県2117人(被害が確定した10人を含む)に上ったという。だが、被害が確定した10人以外には、今回知られた「メタミドホス」という毒物の中毒が疑われるケースは出ていないので、厚生労働省は「食べ物による体調不良について、多くの人が敏感になっているようだ」とみているとのことだ。同省によると、入院したのは9人、入院はしないが医療機関の診断を受けたのは379人だったそうで、体調不良の相談の中で比較的多いのが「下痢をした」との訴えだったらしいが、この有機リン系の中毒の場合の症状とは違うと言う。中には「日本産ギョーザを食べて体調を崩した」とか、「何を食べたか分からないが、1ケ月ほど前に体調不良になった」という訴えも相当件数あるようだ。入院した人の中には、医師が「必要はない」と判断しても「心配だ」と自ら入院をしたケースもあったということで、こうなると当事者には悪いが、何かしらばかばかしくもなるし、大げさなようだがこのような国民性だったのかと思ったりもする。
いずれにしても、確たることが分かっていない時期ではあっても、不安になって浮き足立つような状態になっていることは事実だから、マスコミはやたらに騒ぎ立て、不安を煽りたてるのではなく、むしろ冷静な判断ができるように記事や番組の作り方に配慮するべきではないだろうか。また中国産の食品の危険性を大きく取り上げることのほかに、今回私は初めて知ったことなのだが、日本の商社が莫大な量の食品を中国の企業に製造させていることの問題をもっと深く掘り下げて国民に知らせることも必要だと思う。毒餃子とか殺人餃子などと言って、あたかも劣悪な環境で製造をしているようなイメージを持ち、中国産のものがすべて危険だと言うようなことになれば、中国としても一言も二言も言いたくなり、またぞろ両国間の誤解にもとづく険悪な空気を生み出すことにならないだろうか。