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猿留山道沼見峠
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猿留(さるる)山道とは、寛政11年(1799年)江戸幕府が資金を直接出して、最上徳内・中村小市郎らの指揮により、切り開かれた北海道最初の山道で、様似山道も同じ年に作られた。幌泉~オタベツ川(歌別川)~トヨニヌプリ(豊似岳)の中腹~サルル川(猿留川)の中流~現在の目黒地区の海岸に至る道路を開削したとのことである。
この道路は、伊能忠敬、松浦武四郎、厚岸国泰寺の住職、根室・千島の警備する諸藩の兵など、多くの旅人が通り、紀行文や絵図がたくさん残されている。その後、明治時代に新道が開削されて使用されなくなった。
この猿留山道がえりも町山中に一部残っているのが確認されたのが1996年のことで、町民有志の調査により、2003年春に残存している区間を確定することができた。全長約27kmと言われるこの山道は、現在、国道、町道、林道、作業道などに姿を変え、江戸時代の様子を窺うことができるのは、わずか9.3kmとのことである。
実は、2005年10月5~6日にわたって、整備される前のこの猿留山道を歩いている。5日は、三枚岳~豊似岳~観音岳~沼見峠~猿留山道(沼見峠以南)を循環縦走し、6日には、その反対側の目黒地区から入り、沼見峠以北の山道部分を歩き、全コース踏破している。
ただし、沼見峠以北の山道は、まだ笹刈りがされてなく、4日後の笹刈りボランティア作業のために取り付けてあるというピンクテープと山道状の痕跡だけを頼りに歩いている。(この時点で、町内でも通して歩いた人は稀で、町外者では多分私が初めてだろう言われた)
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2005年10月6日のGPSトラックログ
(今回も同じコースを歩いた。ただし、豊似湖畔は反対側の道)
そこで、今回は、整備された後の沼見峠以北の猿留山道を再訪し、前回同様、その後「白い恋人」のCM で有名になり、観光地になった豊似湖へ下りて周回することにした。ルートは、上掲のGPSトラックログと同じである。
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上空からの豊似湖。左側の尾根に猿留山道が通っている。右上が沼見峠。
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東入口のある目黒地区へ向かう途中の黄金道路。これが開通するまで、猿留山道が利用されていた。
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7:45、ワラビタイ川林道入口ゲート前の猿留山道登山口を出発。
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林道を1kmほど歩くと、右手に標識がある。そこが東入口で、その右手の小川を渡渉する先に案内板が立ち、山道へと続く。
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沢沿いの踏み跡状態の道を進むと、左手に梯子が設置されている。(これを見落として先へ進み、踏み跡がはっきりしなくなったので戻ったら、この梯子を見つけた。)
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このような「猿留山道」と番号が刻まれた標識が10~30m間隔で、頻繁に設置されている。
沢から尾根に向かって、ジグを切って、道は続く。
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やがて尾根に絡む道となり、いかにも昔の山道といった感じの掘れた道もある。
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右手に豊似岳が見える所もある。
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右手下に豊似湖が見える。
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9:10、豊似湖へ下りる分岐を通過。沼見峠からの帰りは、ここから下りる。
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分岐の先の快適な猿留山道。
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9:20、スタートして1時間25分で沼見峠(488m)に到着。
左の祠は安政年間、右の馬頭観世音菩薩の石碑は文久年間のものである。
北海道では、この時代のものは珍しい。それだけ、この猿留山道の古さを知ることができる貴重な史跡である。
ガスが懸かり、残念ながら豊似湖は見えなかった。
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〈前回(2005年)のときにこの峠から見えた豊似湖〉
9:30、下山開始。
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9:45、豊似湖へ下りる道(右)を進む。こちらの方が、多くの人に歩かれているようだ。車で入れる豊似湖から沼見峠まで登る人が多いらしい。
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ハート形の頭の出っ張り部分となっている尾根の末端に白龍神が祀られた祠や石碑が立っている。
ここから湖畔に下りる道が3本ある。今回は左の道を下った。
湖畔に下り立ち左回りで周回路を進む。
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前回と反対側を回り、ハート型の下の尖り部分から、出っ張り部分の方を眺める。
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前回はなかった標識が設置されていた。ここから駐車場までの道では、ナキウサギの鳴き声が響き渡っていた。
標高250mしかないが、ここの岩塊地帯は氷河期に押し出されたものだそうだ。
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10:20、沼見峠から50分で、観光地化して整備されていた豊似湖駐車場に到着。
ここからあとは、庶野沼の沢林道と咲梅越林道を繋いで、約3kmの林道歩き。
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林道ぞいには、エゾトリカブトが非常に多かった。
11:00、スタート地点へ戻り、3時間15分の周回登山はゴール。
このあと、えりも町のコンビニで昼食を摂り、アポイ岳ジオパークビジターセンターへ寄り、アポイ山荘へ。風呂で汗を流し、休憩所でブログアップをし、まったり過ごす。
登山口までの林道ルートや詳しい記録は、帰宅後、HPの方へアップ予定。