ティファニーで朝食を(トルーマン・カポーティ 新潮文庫)
先日映画を見たので、原作を再読してみようと思いついた。村上春樹訳版を読むのは初めて。
訳者のあとがきにも書かれているように、映画と原作では、筋立てもそうだが、全体のムードがかなり異なる。特に映画で(整いすぎているくらいの美女で清楚なイメージの)ヘップバーンがホリーを演じたことが、原作との懸隔を大きくしてしまったようだ。
ただ、映画ではホリーがゴライトリーになった経緯とか、兄のフレッドをなぜそこまで慕っていたのかがよくわからなかった。ここがストーリーのキーとなっている箇所で原作を再読してやっと納得できた。
実は、表題作よりもおまけのように収録されている3つの短編の方が面白かった。
「クリスマスの思い出」は、子供時代に同居していた親戚の老女とクリスマス用のケーキを作るというだけの数十ページの掌編なのだが、詳細に描写される昔の田舎暮らしの様子がとてもいいし、泣けるラストになっていて、特によかった。
労働キャンプ?に収容されている老いた男を描いた「ダイアモンドのギター」もいい。
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