蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

銀色のステイヤー

2024年12月04日 | 本の感想
銀色のステイヤー(河崎秋子 角川書店)

菊地俊二は、北海道静内の競走馬生産牧場の社長。後にシルバーファーンと名付けられる期待の仔馬を二本松調教師に預ける。シルバーファーンは扱いづらい性格で時に騎手(俊二の弟:俊基)を振り落としたりしながらも勝ち上がり、クラシック戦に挑むことになるが・・・という話。

菊地牧場の従業員で馬あしらいはうまいものの自己中心的なアヤ、
二本松厩舎の厩務員の鉄子、
目立った戦績はないが手堅い俊基、
元銀行員で冷徹な経営手腕の二本松、
愛人宅で腹上死した夫に意趣返ししよう?とシルバーファーンの馬主になった広瀬裕子
といったシルバーファーンを巡る関係者たちを描くのだが、それぞれキャラが立っていて(特に鉄子。鉄子はニックネームで本名は大橋姫奈、ヘビースモーカーで趣味はパチンコ)、かつ、テンポよくストーリーが進むので、筋としてはありふれているものの、とても楽しく読めた。

「ホースマン」という言葉が頻出する。競馬関係者くらいの意味だと思うが、本書はシルバーファーンの成功物語が軸ではあるものの、テーマは「ホースマン」の気質や心意気を描くことにあったのかな、と思う。

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