但馬國一宮・出石(いずし)神社

2009年09月19日 | ふるさとの話
           (御祭神・天日槍命「アメノヒボコ」を祭る、
                        但馬の国第一の霊社・出石神社)

私は子供の頃、大人からよく「出石のいっきゅうさん、いっきゅうさん」と聞き、何を勘違いしたのか、あの「一休さん」が出石に居ると信じていました。
実は出石神社のことを、但馬の一の宮であることから、「一宮(いっきゅう)さん」と大人は呼んでいたのです。
全国どこにも「一の宮」はあります。
但馬國の「一の宮」が、豊岡市出石町にある出石(いずし)神社なのです。
この神社の祭神が、新羅の国から渡来したと云われる、天日槍命(アメノヒボコ)と云う王子なのです。
出石神社に掲示されてる由来の文には、伊豆志八前大神と称される、八種の神宝が祀られていると書かれています。

古事記の記述にも、日本書紀の垂仁天皇3年の条にも、この由来が載っています。
垂仁天皇は11代天皇、在位が紀元前後を挟んだ頃と云われますから、今から2000年ほど昔、日本の神話の世界の最後の頃になりますね。
その日本書紀の記述では、
「昔有一人 乘艇而泊于但馬國 因問曰 汝何國人也 對曰 新羅王子 名曰 天日槍 則留于但馬 娶其國前津耳女 一云 前津見 一云 太耳 麻拖能烏 生 但馬諸助 是清彥之祖父也」なんて書いてあるそうで、

新羅の王子・天日槍(アメノヒボコ)が、播磨の国、近江の国、若狭の国を経由して但馬の国・出石に着いたこと、神宝の数々を持参したことが書かれています。
その当時としては高度な土木技術で、瀬戸の水戸を切り開き、現在の豊岡盆地や出石盆地の干拓に成功し、優れた鉄器による農耕をもたらしたといわれています。
出石にある文化ホールは、「ひぼこホール」と云いますが、ステージのどん帳に天日槍を中心とする渡来集団が、瀬戸の水戸を切り開く様子が描かれています。
そんな由緒ある神社が出石神社、出石の「いっきゅうさん」なのです。

今の小さい子供を前に、「出石のいっきゅうさん、いっきゅうさん」と話すると、「一休さん」と勘違いするでしょうか、一度ためして聞いてみたいものですね。