おじいちゃんのお金だ

2011年03月25日 | お客さん宅で

(雪どけ水がザーザーと、堰を下って流れゆく、春の訪れ間近です)

日高町の三方地区は、5本の指を広げた手のひらのように谷が深く伸びてます。そのいちばん深い阿瀬渓谷に通じる集落にも、春の気配を感じます。                                                                 集落中央の駐車場はつい先日テレビの配達に来た時など、うず高く雪が積もって山のよう、それが今日はすっかり影ひそめ、谷川沿いの隅っこにほんのひと塊りになってます。                                            川を流れる雪どけ水は、階段状の堰を下って流れゆく、水しぶきは真っ白に泡立て逆巻き春の訪れ告げようと、ザーザーザー辺り一面に響きます。                                                          

「テレビ代を用意しましたので集金に来て下さいな」とWさんから電話です。『こんにちわ~、おばあちゃんおられますかえ~』と入り口ドア開け挨拶します。                                                              『お電話いただきまして、集金に寄せてもらいましたよ~』と声掛けますと、「まあ、上がっておくれんしゃあ~な、お支払いしますんで」と、90近いおばあちゃんは上に上がれと催促します。                                             『出石の初午もすんだのに今日はなかなか冷えますね、今年は雪も多かったし遅くまで寒いことです』、『でも、駐車場の雪も消えましたね、裏の川はきれいな雪どけ水が勢いよく流れてますよ』なんて話ししながら、掘りごたつに入ってお話しします。                                                                                                                                         「〇〇万円用意しときましたえ、テレビ代を払わせてもらいます」、『ありがとうございます。娘さんと、どれにしようかこれにしようか話していた時、おばあちゃんにテレビ代を出して貰うんだと云っておられましたね、テレビ代はおばあちゃんのおごりですか?』、                                                                                                                                  「なあ~に云っとんさるんだ~にゃ~な、この金はな、おじいちゃんが残しておいておくれんさった分だがな、ありがてゃ~あですや~な」と、袋に入ったテレビ代をそっと差し出すおばあちゃん、もう何年も前に亡くなったおじいさんの残したお金とおっしゃいますね。                                                                                                                                 「新しいテレビは本当にきれいでしょうが、家中きれいに映るようになって気持ち良くなりましたね、よかったですね」と云いながら、もうすぐ4月というのにストーブもコタツもガンガンつけて、家の中は冬ですね。                              ふるさと但馬の山の中、裏の谷川ザーザーとうるさいほどに春の水音聞こえます。Wさんちの地デジ化も3台まとめていっぺんに、春が来ました完了します。

《じいちゃんの 残したお金 地デジ化へ》