ブクログより
手にしたきっかけは忘れたが、どこかで書評を読んだのだと思う。
舞台はドイツ、主人公の私は弁護士。
あらゆる案件が持ち上がり、真摯に向き合うがいわゆるただ勝利、結果主義というのではなく、深部に迫り理解しようと、被疑者に寄り添う弁護士。そういう訳で法廷のシーンは無く、もっぱら犯罪者の事情に焦点を当てている。
11編からなる短編集だが、11篇とも全く違う話で本当に短いのに、読み終わるとずっしり心に残る話ばかりで、内容が濃い。
簡単に起承転結、と無理やりこじつけるのではなく、でもいつの間にかちゃんと結ばれている。
特に最後の1篇は壮大な一人の人生を読み終えたような読後の満足感に浸れた。
作者自身、ベルリンで刑事事件弁護士として活躍していた。その体験に基づくものは大きいと思う。
犯罪 / フェルディナント・フォン・シーラッハ
★★★★☆