できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

しっかりと市議選候補者を見つめよう。

2007-04-01 08:04:14 | ニュース

次の日経新聞のネット配信記事から。http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/39190-frame.html

「政策争点になりそうな話をさけ、なんとなくこんな人なら改革してくれるであろうというイメージをだけ売る」というのは、選挙戦術として比較的「よくある話」。この日経新聞のネット配信記事から察すると、今回の大阪市議選もきっと、今の市政改革に「反対」という姿勢を明確にした陣営を含め、各候補の陣営はそういう戦略をとっているのでしょう。

ついでにいうと私は、今の市政改革に「反対」の立場の陣営は、まず「反対」という姿勢を明確にすること自体はいいと思ってます。ほんねは今の市政改革に「賛成」なのに、それをあいまいにして、イメージ戦略でしのごうとしているよりも、よっぽど「正直」だと思います。でも、今の改革に「反対」したあと、「では、具体的に大阪市政をどうするのか?」ということを語らないのであれば、今度は「ほんね賛成派」とは別の立場で、「とにかく反対」という立場を売り出すイメージ戦略でしのごうとしている、という印象を私は持ちます。それでは、選挙で一定数の反対票は集めるでしょうが、市政改革の流れをひっくり返す力にまではならないのではないでしょうか。

と同時に、上に書きましたとおり、ほんねは今の市政改革に「賛成」なのに、それをあいまいにして、ひとまずここはイメージ戦略でしのごうとしているような候補者かどうか。そこを大阪市の有権者は、今回の選挙できっちりと見抜かなければいけません。でないと、選挙のときに言っていたこととちがうことを、この手の候補者は「情勢が変わった」とかいって、市会議員になってからやりかねません。この手の「ほんね賛成派」候補者にとって、今、あくまでも言っていることは、市議選に通るための「作戦」でしかないんですから。

そうなってくると、新人候補は別として、現職・元職の場合、大阪市議会ホームページにある会議録システムを駆使して、「この人、過去にどんなことを市議会で発言してきたのか?」ということを一度、みておくというのは大事でしょうね。それでだいたい、今の大阪市の市政改革に対して、その現職・元職候補者が「ほんね賛成派」なのか、「とにかく反対派」かが、ある程度見えてきます。また、新人候補の場合、手がかりになるのは選挙用にその候補者がつくった資料(いわゆる「マニフェスト」など)が手がかりになりますが、同時に、どういう会派に属しているのか、どういう議員(国政・府政・市政の3レベル)と親しい関係にあるのか、支持母体はなにか、といったことを手がかりに見ていく方法でしょうか。

いずれにせよ、市会議員などの地方議会議員は、大阪市に限らず、どの地方自治体においても、選挙の段階で厳しくチェックをかけたほうがいいでしょう。特に大阪市の場合、財政危機状況に対して今まで歯止めになるような手が打てなかった責任というのは、大阪市役所側だけでなく、市議会側にもあるように思います。市長側が提案してくる予算案や決算報告をチェックするのは、市議会の仕事なんですよね。

と同時に、この程度の「有権者として地方議会の候補者を見る目を養う」ことが、本来、中学校、あるいは高校段階までのいわゆる「公民」教育あるいは「市民性」教育と呼ばれるもののなかで、若い人たちの間で、きちっととりくまれてこないといけない。また、たとえおとなであったとしても、その「有権者として地方議会の候補者を見る目を養う」ということを、社会教育・生涯学習の場において、きちっととりくまれる必要があると思います。

ついでにいうと、こんな文脈から昨今の大阪市政改革、特に青少年会館条例「廃止」などの社会教育・生涯学習に対する施策をみていくと、「どれだけこの街は、有権者として地方議会の候補者を見る目を養おうという気があるのか?」と思ってしまいますね。また、「地方議会の候補者」というところに「大阪市長の候補者」を入れても、同じ話になります。


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