できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

2179冊目:塩見鮮一郎『戦後の貧民』

2015-10-04 20:10:29 | 本と雑誌

2179冊目はこの本。

塩見鮮一郎『戦後の貧民』(文春新書、2015年)

敗戦直後の混乱期の東京を主な舞台として、闇市、孤児、赤線など、貧しさのなかを日本人がどのように生きぬいたのかをまとめた一冊。来年度、もしも人文学部で「子どもの社会史」を担当することがあれば、これは参考文献の一冊に入れておきたい。

戦後の貧民 (文春新書)


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2178冊目:内山節『半市場経済 成長だけでない「共創社会」の時代』

2015-10-04 19:53:54 | 本と雑誌

2178冊目はこの本。

内山節『半市場経済 成長だけでない「共創社会」の時代』(角川新書、2015年)

これからの経済のあり方を考える上で重要なのは、競争原理にもとづく従来の市場経済を前提とするのではなく、「なんのために、誰とともに、何を実現するのか?」「人としての豊かな暮らしとは何か?」といった志、価値観、思想のようなものの共有、交流なども含めての経済のあり方を構想すること。そういう視点から、市場経済と折り合いながらも人々の充足感、幸福感の実現を目指す取り組みをいくつか紹介している。この本で提案されている内容は、先ほど2177冊目で紹介した「里海」の話とも、どこか相通じるものがあるように思う。

半市場経済 成長だけでない「共創社会」の時代 (角川新書)


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2177冊目:井上恭介・NHK「里海」取材班『里海資本論』

2015-10-04 19:42:49 | 本と雑誌

2177冊目はこの本。

井上恭介・NHK「里海」取材班『里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く』(角川新書、2015年)

広島湾や来島海峡、岡山県の日生など、瀬戸内海の「里海」の再生に取り組む人々の取材を通して、NHKの取材班がまとめた1冊。赤潮に代表されるような海洋汚染に対して、貝類や海藻類の水の浄化能力を高めるように人間が少し自然環境に手を加える(それが「里海」。山でいう「里山」のようなもの)。そのことを通じて海水が浄化され、貝類や海藻類を食べるプランクトン、小魚類が復活し、そのプランクトンや小魚を食べる大きな魚も集まってくる・・・・。このようにして海の生態系が豊かさを取り戻せば、魚介類や海藻類を扱う漁業が活性化し、漁業の活性化は漁港での水産加工業、小さな船舶に関する造船や船の修理業等の活性化、さらにはその魚介類や海藻類を活かした飲食業、農業などの活性化へとつながる。人々の生活に身近な環境の整備は、結果的に諸産業の発展、人びとの暮らしの豊かさへとつながる・・・・ということがわかる1冊。こういう発想を、大阪府・市の(経済)再生、都市活性化にも取り入れてほしいよなあ。たとえば大阪湾の環境の浄化とか・・・。

里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く (角川新書)


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2176冊目:山本智之『「聖断」の終戦史』

2015-10-04 19:34:15 | 本と雑誌

2176冊目はこの本。

山本智之『「聖断」の終戦史』(NHK出版新書、2015年)

先ほど2175冊目で紹介した本が、近代日本の歴史がいかに戦争に次ぐ戦争の歴史だったかを語った本とすれば、こちらの2176冊目の本は、その何年も続いた近代日本の戦争を終わらせることがいかに難しかったか・・・ということを、アジア太平洋戦争期の帝国陸軍の終戦工作に関する実証的な研究を通して明らかにした本。要するに「負ける」ということを陸軍上層部が受け入れ、その準備をしていくプロセスに時間がかかった・・・ということであろう。なまじっか、帝国陸軍は中国大陸や満州に大軍をはりつけていただけに、東南アジア・太平洋戦線で米英豪などの各国軍に陸海軍が大敗していても、「ここでなお一戦を挑んで、有利な条件で講和を」という発想がなかなか捨てきれなかったようだ。

「聖断」の終戦史 (NHK出版新書 465)


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2175冊目:原朗『日清・日露戦争をどう見るか』

2015-10-04 19:26:07 | 本と雑誌

2175冊目はこの本。

原朗『日清・日露戦争をどう見るか 近代日本と朝鮮半島・中国』(NHK出版新書、2014年)

こちらは日本近代史の本。戊辰戦争・西南戦争といった日本国内での統一戦争のあと、日清戦争・日露戦争という朝鮮半島の支配権を争う戦争があり、その先にさらに第一次世界大戦での中国出兵、シベリア出兵、満州事変、日中戦争と、今度は中国の領土を日本の支配権のもとにおくための戦争が続く。まさに日本の近代史は「戦争の歴史」である。そして、「戦争の歴史」は戦費をいかに工面し、戦争遂行に必要な産業を発展させるかという歴史でもある(=著者は近代日本経済史専攻)・・・・という観点から綴られた1冊。これは社会科地歴科教育法、社会科公民科教育法を受講する学生たちに読ませておきたい1冊。

日清・日露戦争をどう見るか―近代日本と朝鮮半島・中国 (NHK出版新書 444)


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2174冊目:笠井潔『8.15と3.11』

2015-10-04 19:15:45 | 本と雑誌

2174冊目はこの本。

笠井潔『8.15と3.11 戦後史の死角』(NHK出版新書、2012年)

日本の「潜在的核保有」の問題など、随所に重要と思われる指摘はあるのだけど・・・。

しかし、「空気」による政策的な意思決定の問題等々について、これを「ニッポン・イデオロギー」と著者は名づけているのだが、「それってはたして日本だけのこと??」という気がした。

たとえばあのアジア太平洋戦争期の日本のように、一度「開戦」の決定をしたあと、状況が悪くなってもなかなか停戦、撤退の決断ができないような意識形態が、なぜ「ニッポン・イデオロギー」なのか。(それを言うなら、たとえば今のアメリカ合衆国はどうなのか? アフガンやイラクでの戦争からなかなか撤退できていないし、ベトナムの敗北の総括もなかなかできていないのでは? あるいは、かつてアフガンに侵攻した旧・ソ連はどうなのか? こんな感じで、次々に疑問がでてくるのだけど・・・)

だから本書で著者が言いたいことについて、ここで私が引っ掛かった以上、あまり積極的に読み進める気が起きなかった。

8・15と3・11―戦後史の死角 (NHK出版新書 388)


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2173冊目:大庭健『民を殺す国・日本 足尾鉱毒事件からフクシマへ』

2015-10-04 18:44:50 | 本と雑誌

2173冊目はこの本。

大庭健『民を殺す国・日本 足尾鉱毒事件からフクシマへ』(筑摩選書、2015年)

こちらの本は、文部科学省の「学校事故対応に関する調査研究」有識者会議に出る前に、家で、あるいは電車(新幹線)のなかで読んだ本。近代日本社会における政府(官僚、政治家)と財界、専門家の関係や、そこで用いられる「ことば」のあり方を問うなかから、国家と個人の関係、国策に「奉仕」する人々の意識のありようなどを、倫理学の立場から批判的に検討したもの。大庭さんとは道徳教育の研究会でご一緒したことあるが、自分の出ている有識者会議での専門家や官僚の様子を見ていて、この本の内容はとても参考になった。

民を殺す国・日本: 足尾鉱毒事件からフクシマへ (筑摩選書)


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2172冊目:内田樹『困難な成熟』

2015-10-04 18:33:41 | 本と雑誌

2172冊目はこの本。

内田樹『困難な成熟』(夜間飛行、2015年)

この本は例の安保関連法案の参院審議の渦中、それも集会やデモに行く道中の電車の中で読んでいて、いろんな意味で参考になりました。特に「執着と矜持を分かつもの」(148ページ~)のあたりは、自分の身体感覚に照らしても納得できましたね。

困難な成熟


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2171冊目:松本聰美(作)渡邊智子(絵)『声の出ないぼくとマリさんの一週間』

2015-10-04 18:12:42 | 本と雑誌

2171冊目はこの本。

松本聰美(作)・渡邊智子(絵)『声の出ないぼくとマリさんの一週間』(汐文社、2014年)

毎日小学生新聞に連載された小説を単行本化したもの。うちの娘が面白がって読んでいたので、私も読んでみた。

ひとり親家庭で暮らし、場面緘黙で不登校の小学生の「ぼく」が、ママの長期出張中、女装で暮らすママの友だち・マリさんの家に預けられて過ごすうちに、自分のことばを取り戻していく。そういうプロセスがていねいに描かれています。

声の出ないぼくとマリさんの一週間


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2170冊目:木村泰子『「みんなの学校」が教えてくれたこと』

2015-10-04 18:00:50 | 本と雑誌

2170冊目はこの本。

木村泰子『「みんなの学校」が教えてくれたこと 学び合いと育ち合いを見届けた3290日』(小学館、2015年)

こちらの本は、先月(9月23日)に大手前大学さくら夙川キャンパスで、映画「みんなの学校」上映会&これからの大阪の教育を考える集いがあって、そこにこの本の著者の木村泰子さんと、映画監督の真鍋さん、そして私と、保護者の「いちゃもん」研究で有名な大阪大学の小野田さんとで登壇したので、それに関連して読んだ本。また、この本の企画・構成をされたフリーライターの島沢優子さんとも、この本のイベントで仲良くなりました。映画を見たあとに読むと、この本の内容への理解、さらには木村校長が数年間取り組んだ大空小学校の実践の持つ意味への理解がさらに深まりますね。

「みんなの学校」が教えてくれたこと: 学び合いと育ち合いを見届けた3290日 (教育単行本)


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2169冊目:児玉勇二『性教育裁判 七生養護学校事件が残したもの』

2015-10-04 17:48:52 | 本と雑誌

2169冊目はこの本。

児玉勇二『性教育裁判 七生養護学校事件が残したもの』(岩波ブックレット、2009年)

こちらのブックレットも、ゼミ生のなかに学校での性教育の問題を卒論で扱いたい人がいるので、その参考文献になればと思って読んだ。著者の児玉勇二さんは弁護士で、子どもの人権関連の訴訟等で面識もある方。七生養護学校での性教育の実践と、これに対する東京都教委や都議会議員、マスコミの介入の問題を取り上げながら、学校現場で子どもたちの様子を見ながら、必要な取り組みを創造していく「教育実践の自由」を、不当な「政治的介入」からいかにして守るか・・・という議論が展開されている。

性教育裁判―七生養護学校事件が残したもの (岩波ブックレット)


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2168冊目:下村健一『10代からの情報キャッチボール入門』

2015-10-04 17:42:21 | 本と雑誌

2168冊目はこの本。

下村健一『10代からの情報キャッチボール入門 使えるメディア・リテラシー』(岩波書店、2015年)

ゼミ生に中高生のSNS利用や情報モラルについて卒論を書く学生が居るので、その参考文献につかえたらと思って読んだ。読者層として、この本は小学校高学年~中学生くらいが読むことを想定されているのだろう。でも、実際にはインターネットやマスメディア経由で伝わる話とどのようにつきあえばいいのか、おとなでもよくわかっていないことが多いので、きっとおとなでも参考になると思う1冊。特にメディアで華々しく自己アピールをしたり、敵をつくって攻撃したり・・・というような、そんな劇場型政治をやりたがる橋下おおさか維新の政治に対抗していくには、こういうメディア・リテラシーの力って大事だと思う。

10代からの情報キャッチボール入門――使えるメディア・リテラシー


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2167冊目:下野新聞子どもの希望取材班『貧困の中の子ども』

2015-10-04 17:38:01 | 本と雑誌

2167冊目はこの本。

下野新聞子どもの希望取材班『貧困の中の子ども 希望って何ですか』(ポプラ新書、2015年)

下野新聞の連載記事に加筆修正を行って本にまとめたもの。北関東(栃木県あたり)での子どもの貧困問題の実情がよくわかる1冊。ていねいに取材していると思う。

(055)貧困の中の子ども: 希望って何ですか (ポプラ新書)


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