できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

まずは医療関係者の間で「子どもへのCOVID-19感染防止策」に関する議論を詰めてほしい

2020-05-23 20:16:15 | 受験・学校

今から書くことは昨日あたりにツイッターでつぶやいたことですし、今日もフェイスブックで書きこみました。それをこちらに転載して、一部、手直しするかたちで書きますね。

まあ、こういうことを書くきっかけになったのは、うちの大学の教職課程科目でいま「学校安全論」という科目を担当していて、その授業準備のなかでのこと。

昨日から授業準備をするなかで「今年はやっぱり、学校での感染症対策の話をしておかなきゃな~」と思って、いろんな資料に目を通してみて、「あれ?」と気付いたことがありました。

そのことを、以下のとおり書き記しておきます。ちょっと「関西弁(というか、神戸・阪神間で暮らしてる人のことばづかい)まるだし」ですけど、お許しください。

<以下、先ほどフェイスブックに書きこんだこと(一部手を加えてます>

う~ん。「まずは医療関係者のあいだで、子どものCOVID-19の感染拡大傾向に関する知見を整理してくれ~。医療関係者どうしでしっかり議論して、見解を整理してくれ~」と、いまは声を大にして言いたい。

でないと「限りなくゼロリスクを」という路線(=「よそから『対策』とってないとツッコまれないための自己防衛も含めて)で首長や教育行政が突っ走りかねない。そうすると、どこかの首長の提案みたいに、たとえば子どもと教職員の全員に「フェイスシールドつけさせる」みたいな話がどんどんすすみ、結果的に学校現場の子どもも教職員も、それとつきあっている保護者や地域の人々も疲弊するように思うんですよ。

それこそ、たとえば「COVID-19 患者の中で小児が占める割合は少なく、その殆どは家族内感染である」という一文が、日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会「小児の新型コロナウイルス感染症に関する医学的知見の現状」(2020年5月20日)という文書の最初に出てきます。

※なお、この日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会「小児の新型コロナウイルス感染症に関する医学的知見の現状」(2020年5月20日)という文書は、次のページで閲覧できます(PDFファイルでダウンロード可能です)。

http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=342

この小児科学会の文書を前提にしたら、「ほな、学校での対策よりも、家族内感染への対策のほうが重要やんか」とか、「いま、文科省がマニュアルつくって各地の学校にすすめているレベルの感染拡大防止策まで、ほんまにいるんやろうか?」という疑問もわいてきますよね。

しかし例の「3密を避ける」ことを前提とした政府の感染症対策の会議などの方向性からすると、やっぱり一定、文科省のマニュアルの求めている内容にも「一理あり」という側面もあったりするんですよねぇ。

※文部科学省が現在「学校再開」に向けて、各地の学校や教育行政当局にすすめている「マニュアル」は、こちらで閲覧可能です。

文部科学省「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~」 https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00029.htm

まあ「未知のウイルス」で、わからないことだらけでしかたがない部分もあるし、また、「限りなくゼロリスクを」という路線もわからなくもないんですが…。

でも「やらなくてもいいような過剰な対策で、子どもも教職員も、保護者も地域の人々も、みんなが疲弊する」ということは、やっぱり「回避できるなら、それに越したことはない」とも思うんですよね。

ということで、まずは「子どものCOVID-19の感染拡大防止策について、医療関係者の間での一致点というか、合意形成をまずははかってくれ~」と、私としては声を大きくして言いたくなっております。

<以上で、フェイスブックに書きこんだ内容の転載と加筆修正は終了>

その上で、こちらの画像を見てください。こちらの画像は、先ほどの日本小児科学会の「小児の新型コロナウイルス感染症に関する医学的知見の現状」という文書の6ページにある画像を、このブログに合うサイズに加工して転載したものです。

この文書自体を読めばわかりますが、日本小児科学会の委員会としてこれまでにわかっている情報を整理したところ、「学校や保育施設の閉鎖には流行阻止効果に乏しい」ことや、「教育・保育・療育・医療福祉施設等の閉鎖が子どもの心身を脅かしている」恐れが高いそうです。また、下記の図表は、そのことをふまえて作成したものです。こちらの図表については、今後、学校や保育、福祉その他の学校外の子どもの活動の関係者(現場の人や研究者、行政関係者なども含む)は、よく意識しておいたほうがいいように思いました。ということで、下記の図表を、私のブログでも紹介しておきます。

 


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