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できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

今後は教育委員の発言や動き方にも注意が必要

2012-02-03 16:44:52 | ニュース

3日間ほど更新が途切れました。再び、大阪府・市の教育基本条例案をめぐる諸問題について、情報発信を続けたいと思います。ちなみに、最近はツイッターでここに掲載している記事を紹介してくださっている方もいらっしゃるようです。たいへんありがたいことです。

さて、今週は月曜日の府市統合本部の会合で、大阪府教委が出した修正案を一応肯定的に受け止め、その方向性で議会に出す形で、松井府知事も橋下市長も方針を決めました。

それはそうなると思います。前にもこのブログで書いたようにかねてから問題視されてきた維新の会提出の教育基本条例案の文言を整理し、府教委がうまく現行法令の趣旨に沿う形で修正して出してきたわけですから。

また、ある意味で、維新の会が自分たちでは手をつけることができなかった教育基本条例案の問題点を、府教委の力で整理して、クリアにしてくれた、ともいえるわけです。ですから、今後はこの修正案を前提にして、そこに潜む問題点を浮上させて、批判や抗議活動を展開していく必要があると思います。

ちなみに、大阪府教育委員の陰山英男氏の動き方や発言には、今後、注意が必要ではないかと私は感じています。というのも、たとえば今朝の時点で、ツイッター上で、陰山氏は次のように述べます。これを見ていると、彼が必ずしも橋下市長や松井知事、大阪維新の会の教育改革の動きに対して、すべて反対というわけではないことがわかります。前々から「そうではないか?」と個人的には思っていましたが、案の定、以下の内容を読むとそう思いました。以下、色を変えて表記をします。

ついでに学区に関係ないけど大切なことをひとつ。それは府の来年度の教育予算についてです。あまり報道されないし、市長も意外とシャイなのか語られないので私が言います。それはしっかりと学校を財政的に支援してもらっていることです。

苦悩している中学に非常勤講師を派遣するために十億円、特に指導が困難な学校のために三千万、特別支援学校の校舎新設や中学給食の全面実施など、決して弱肉強食の競争を求めているわけではないことははっきりさせておかないといけないと思うのです。橋下市長や松井知事からは言いにくいのでしょう。

議論の前提として多くの人に知っておいてほしいのは、国から送られている教育予算は市や町によって別の使われ方をしていることが多く、そうならないよう、自治体に自覚を持ってもらおうというのが、教育振興計画なのです。つまり教育に口を出さないが金も出さないという自治体もあるのです。

それに対して橋下市長は、金も出すけど口も出す。そう考えれば、今の条例は理解できるものです。ただそれを口を出したいから金を出すとか、口を出すために金を出すとか見るのは、それは評価する人の価値観によるのでしょう。ただ私としては、この予算はもっと評価されるべきと思います。

「おいおい、考えていること大丈夫か、この人?」と正直、このつぶやきを見て、私は思ってしまいました。具体的に言いましょう。

まず、特別支援学校の校舎新築予算が教育における競争原理の適用とまったく無関係だと、よく言えるなあ、と思います。先日、このブログでは、大阪府や大阪市でインクルーシブ教育の拡充や、障害のある子どもたちが地域の学校で学べるように願って運動を続けてきた人々の抗議声明を紹介しました。こうした人たちの考え、願いを聴き届けないところですすめられる特別支援学校の校舎新築、これって、普通学校での競争原理と無関係なものなのでしょうか?

次に、苦悩している中学校に非常勤講師を派遣するために十億円、指導困難な学校のために三千万と簡単にいいますが、そもそも、なぜ正規(常勤)の教員は増やさないのでしょうか。また、この人数、予算額で、それぞれの学校現場は本当に足りているのでしょうか? そういうことへの配慮、考慮が、このつぶやきにはまるで見られません。

しかも、これから大阪市内では学校統廃合を促進するために学校選択制を導入するというわけですし、そもそも教育基本条例を提出しようと大阪維新の会が当初動いたときには、教員評価を相対評価で行って、2年連続D評価だとクビにする方向で動こうとしたわけですよね。これって正規(常勤)雇用の教員をどんどん減らす方向で動いているわけですが。

せめて今までの枠組みを変えずに、こうした予算増額をするのならまだしも、ですが、たかだか十億円の非常勤講師配置、三千万円での困難校支援の予算の見返りに、こういう教育基本条例のような案や、学校統廃合計画、学校選択制などを受け入れるというのは、学校現場サイドとしては割に合わないのではないでしょうか。

中学校給食の導入のことについても、大阪市内については、まだ「導入する」といっているだけで、なにか具体案が出て、それに向けて動き出しているという印象が私にはありません。大阪府についても、府教委としてとりあえず市町村が実施する中学校給食の事業に補助を出すという方針だけ出して、細部はこれから詰めるという段階ではないのでしょうか。

だから、大阪市内だと、今までのような学校での昼食デリバリーのような事業でいくのかもしれませんし、本格的に各学校に給食室を整備するとか、あるいは、給食センターの設置のような方法なのかもしれません。また、そのいずれの方法についても、まだ動き出している印象が私にはありません。そういうことから考えると、なぜ今、中学校給食の実施について、陰山氏がこんな風に言って好意的なのが、私にはよく理解できないところです。

ちなみに、大阪市内だとかつていわゆる旧・同和教育推進校では、中学校での給食を実施していたはずです。それを一連の施策の見直しのプロセスで全部廃止したという経過もありますし、そもそも今は大阪維新の会にいる大阪市議のある方が、かつて、「弁当持参は家庭の愛情」というような趣旨での発言をしていたのではないか、という記憶が私にはあります。そういう経過も、陰山氏はご存じなのでしょうか。本来であればもっと早く大阪市全域、大阪府内全域に、中学校給食が展開されていてもおかしくなかったのではないか、とすら思えるのですが。

そして、教育基本条例の問題について、橋下市長が「金も出すけど口を出す」というのを陰山氏は肯定していますが、お金の出し方にもいろいろ問題はあるだろうし、口の出し方にもいろんな問題があるのではないでしょうか。そういうところには、なぜ黙っているのでしょうか。わずかな学校支援予算さえつけていれば、学校の教職員に恫喝を加えたり、教育委員会をまるで首長の一部局のように扱うような「口の出し方」でも、陰山氏は容認するのでしょうかね?

府の教育委員として陰山氏のこのような認識が広く知れわたれば、おそらく学校現場の人々のなかには、「どこが学校に予算かけて支援してもらってるっていえるねん?」「ほんまに支援してくれてたら、もっとうちの学校、よくなってるわ!」と思うのではないでしょうか。

大阪府内の公立学校のなかには、日々の子どもたちや学校の課題への対応に追われ、多忙を極める中で、毎年、教員の誰かが疲れ果て、病気で休むことになっているような、そんな条件の悪い学校もあります。そういう学校の教職員にしてみると、陰山氏のこういう発言は、「どこがやねん?」と思ってしまうものかと。私は少なくとも、そのように思います。

以上のような次第で、今後は首長や府市統合本部、大阪維新の会だけでなく、教育委員会、特に教育委員たちの発言や動き方についても、引き続き、注意深く見守って、批判的に意見を述べていく必要がありそうです。


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