今日、日蓮宗山梨県第四部聲明師会主催の聲明研修会がありました。
聲明師だけでなく、一般の教師も対象の研修会です。
今年度は外部から講師を迎えての研修です。
と言っても、聲明の研修会ですから、まず、声の出し方、聲明のとなえ方の確認とか、基本的なことのおさらいです。
上級者には物足りない内容ですが、初心者も多く参加されていましたので、簡単な内容になっていました。
しかし、何事も基本が大事。侮ってはいけません。
どんなに有名なバレリーナでも、毎日、基本の練習を欠かさないという話を聞いたことがあります。
それと同じことです。
基本と言えば、日蓮宗の基本となる聲明7曲のうち、法要の初めに唱えられる道場偈というのがあります。
日蓮宗の僧侶ならだれでも唱えられるもので、曲もかなり単純です。
しかし、これがなかなか曲者です。
一見単純に見えても、日蓮宗の聲明の基本的な技術が満載ですから、この道場偈の唱え方を見れば、その人のレベルがはっきりわかってしまうという恐ろしい曲です。
それも、法要の最初に唱えられますから、喉もまだ温まっておらず、調子が出にくい中で唱えなくてはなりません。
ただ、さらっと普通に唱えるだけなら、それほどでもないのですが、なまじ、うまくやろうとすると、恐ろしくプレッシャーがかかります。
たとえて言うならば、オペラ「アイーダ」の始まってすぐに歌われる「清きアイーダ」のアリアのようです。
このアリアはまだ、喉が温まっていない時に、かなり高音を出さなければならないので、テノール歌手にとっては失敗するリスクが大きい難曲なのです。
現に数年前、イタリアのスカラ座で、テノール歌手がこの歌をうまく歌えず、観客のブーイングを浴びて、そのまま退場してしまい、そのあとを控えの歌手が普段着のまま歌い続けることになったという事件が起こったくらいです。
プレッシャーに耐え、しかも満足のいくように唱えるためには、日々の練習が必要です。
練習は決して裏切らないですからね。
本当に毎日の練習、精進が大切だと、改めて感じた研修でした。