15日(日)、日本共産党山形県委会主催の「日本の農業と食料問題を考えるシンポジウム」に参加しました。会場となった三川町公民館にはホール一杯の220人が詰めかけていました。
シンポジストとして、JA営農部次長今野氏、三川町農業委員芳賀氏、共立社生協理事長松本氏、農民センター理事長渡部氏、日本共産党中央委員会農漁民局長有坂氏の5氏がそれぞれの立場から、農業の現状と再生の展望を語りました。
印象に残った発言を紹介します。
①が最初の発言、②が会場からの発言・質問を受けての発言です。
農業委員 ①水稲・枝豆の特別栽培・有機栽培、菜種生産の復活に取り組み、産直で販売。今の国の政策では自給率は向上できない。共産党の言う「不足払い制度」が本当にできるならすばらしい。しかしいろんな意味の抵抗があり、むしろこれからは、環境を守っていく産業として位置づけること、消費者との連携なども必要。
②生産者としてできることは自分の農産物を届けること。今のままでは再生産できないことを伝える。協同組合運動は農家が豊かになることがなければ意味がない。それが農協にとってもいいこと。個人販売をバックアップしてくれたらいいのでは。
JA
①「豊かな農(みのり)・生活(くらし)・大地(つち)」を基本目標に以下の点に留意している。
1)環境保全型農業ー特に有機栽培
2)こだわり農畜産物ー消費者ニーズ
3)広域集出荷体制・施設
4)担い手育成のために、集落での話し合いに努力。
5)低コスト農業
6)行政との協力
②相当ご意見・ご質問頂いた。生産費を償える価格保障方式・不足払いということだが、国の流れは所得保障で水田経営安定対策。JAは国への請願等もおこなっている。
政策的な部分を含めて、今日出されたご意見は、組織に報告していきたい。
農民センター
①農民連の行動綱領(紹介)。販売要求にもとづいて産直センター活動。主に関東圏の消費者、保育園、学校給食とのつながり。東京・神奈川の無認可保育園は10年目。子どもの「保育園でたべてるご飯と同じだ」の声で作りつづける勇気をもらった。今の農政のもとで現場は本当に厳しいが、「明日の天気は変えられないが、暮らしや政治は変えられる」
②世の中を動かしていくのは国民世論。運動で変える。
松本
①農業は本来「命と暮らしを守る産業」。生産者との提携は、できることから無理をせず、仲良くなることを目的として、地域作りとして、お互いに協力。20年続けてきた。
②「酒田の農家野菜の産直、生協に箱で持ってくるだけで一人年間700万円手取り収入。消費者はキャベツ百円」こういうものを広げていきたい。
有坂
①「提言」を発表した時は、マスコミは「今更自給率向上?」「ミニマムアクセス米中止は非現実的」などと言っていたが、その後「自給率向上」が当たり前とする事態が急速に展開。福田首相も「自給率向上を通じて、世界の食糧の安定化に貢献する」
「提言」は、日本の農業を立て直していくことを第一の柱にしている。自給率をまず50%に、さらに前進させていく。そのために、持続可能な農業経営。94年WTO協定で輸入自由化。これをやめる。
国がやるべきことはまず最低限のコストを保障すること。
環境保全の位置づけも価格保障があってこそ。
ミニマムアクセス米を日本が70万t買い続けることは世界的にも問題。
これらの政策に必要な財源は9千億円。現在の5500億円に3500億円で済む。
「担い手」は、家族経営を始め色々な人を育てる。
②農業・漁業・タクシーも、コストを価格に反映させる仕組みが無い。それぞれの分野から声を上げると同時に、国の政治を変える。
選挙で変えていく。今すぐ政権を取らなくても、共産党が大きく増えれば変わる。
全体を通して、生産者・消費者それぞれが、大変な苦労を強いられていること、その原因である自民党農政の転換が痛切に求められていることが実感されました。
自給率向上が国民世論となって広がりつつある今、関係者がこのようなシンポジウムも含めて対話し、一致点での共同を広げる中から、きっと展望が開けていくに違いないと思いました。