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ガール・オン・ザ・トレイン

2017年06月04日 | 映画

ポーラ・ホーキンスのベストセラー・ミステリー小説を、エミリー・ブラント主演で映画化。「ヘルプ 心がつなぐストーリー」のテイト・テイラーが監督を務めています。

ガール・オン・ザ・トレイン(The Girl on the Train)

離婚したレイチェル(エミリー・ブラント)は、毎日、電車の中からかつて夫と暮した家を眺めては、失意に暮れていました。やがて、そのすぐ近くに住む仲のよい夫婦が目に留まり、理想の夫婦として憧れを抱くようになりますが、ある日その妻が夫以外の男性と仲睦まじくしているところを目撃してしまいます。

後日その女性が死体で発見されたことを知り、レイチェルは衝撃を受けます。しかし女性が行方不明になったその日に、近くでレイチェルが目撃されていたことから、殺人の疑いがかけられてしまいます。

DVDで鑑賞。なるほど、こういうのをイヤミス(嫌な気持ちになるミステリー)というんだなーと膝ポンでした。最後に事件は解決しますが、なんとなく晴れやかな気持ちになれません。ミステリーではあるけれど、犯人捜しや謎解き以上に、あれこれ考えさせられる作品でもありました。

レイチェルはアルコール依存症で、仕事をクビになり、夫からも離婚されてしまいます。彼女は夫に未練があり、彼が新しい妻(しかも元愛人)と生まれたばかりの赤ちゃんといっしょに幸せに暮らしていることが許せません。今なおストーカーのように2人につきまとっているのです。

一方その近所に住む、電車の中からたまたま見ただけの女性に、一方的に自分の理想像を重ね、彼女が不倫していることが許せません。レイチェルは真相を確かめるため、わざわざ途中下車して、彼女に近づこうとしますが、事件はまさにその日に起こったのでした。

明らかにふだんの行動が常軌を逸しているうえ、アルコール依存症で時々記憶を失ってしまうレイチェル。この日も自分が何をしたのかまったく憶えていない空白の時間があり、恐怖におののきます。彼女を殺したのは私なの??

映画はおもしろかったですが、なんとなく暗澹たる気持ちになるのは、人間の嫌な部分ばかりを見せつけられるからかもしれません。互いに信頼し、尊重し合う関係のはずなのに、腕力でねじ伏せられてしまう女性たち。外からは幸せそうに見える家庭のほんとうの姿。そして裏切り。

本作に登場する主要人物たちは困ったことに、男性にしても女性にしても、誰ひとり共感できないのです。あんなダメ男のいいなりになってはダメ。もっとしっかりしようよ。と歯がゆく思う時もありました。男女によっても、受け止め方が違う作品かもしれません。

(映画のシーンではありません)

舞台はニューヨーク郊外のアーズリー・オン・ハドソン(Ardsley-on-Hudson)。マンハッタンから電車で45分の通勤圏ですが、電車はハドソン川に沿って北上し、川と緑の景観がすばらしい。この辺りを通って、リンゴ狩りや紅葉狩りに行ったことを懐かしく思い出しました。

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