「LOGAN ローガン」を見る前に、この作品に影響を与えたという「シェーン」(Shane・1953)を見ておきたくなりました。西部開拓時代のワイオミングの大地を舞台に、流れ者のシェーンと開拓民家族の交流、悪徳牧場主との戦いを描いた西部劇の傑作です。
南北戦争後のワイオミング州グランドティトン。ある日、開拓民のジョーの家に、シェーンという流れ者が立ち寄ります。開拓民たちは、もともとこの地に住んでいた牧場主ライカ―たちの横暴に苦しんでいました。ジョーはシェーンの人柄に惚込み、しばらくこの家に留まるよう勧めます。
その後、ライカ―の嫌がらせはますますエスカレートし、やがてジョーの仲間のひとりが、ライカ―が雇った殺し屋に殺されてしまいます。開拓民たちの間に動揺が広まる中、ライカ―に呼び出され、決死の覚悟で話をつけに行こうとするジョー。それをシェーンは力づくで止め、ひとり立ち向かいます...。
西部劇はあまりなじみがないのですが、本作を見てマフィア映画に通じるものを感じました。そして、これほど広い大地に住んでいても、人々は土地や水をめぐって争い、人間の性(さが)というのは古今東西、どんな環境においても、あまり変わらないのだと暗澹たる気持ちになりました。
ただ、開拓民vs悪徳牧場主というメインのストーリー以上に私の心をとらえたのは、シェーン、ジョー、そしてジョーの妻マリアンの間に生まれる、ほのかな恋愛感情と、それを越えた男の友情のドラマです。
夫を愛しながらも、どうしようもなくシェーンに惹かれてしまうマリアン。マリアンをシェーンに託して、仲間たちのために命を懸けることを決意するジョー。そしてそんなジョーに代わって、大切な人たちのためにただひとり立ち向かい、去っていくシェーンの男気に泣けました。
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舞台となるワイオミング州グランドティトンの雄大な自然も、本作の魅力です。グランドティトン国立公園は、イエローストーン国立公園のすぐ南にあり、私も10年前に訪れたことがあります。
東海岸の穏やかな山々とはまったく様子の異なる、高く険しい青い山々。その谷間には緑の森と湖、蛇行するスネイクリバーと平原が広がっています。畏れを抱くほどの荘厳な美しさと、生命の源を感じさせる優しさと...初めて訪れたのに、なぜか包まれるような懐かしさも感じる場所でした。
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