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嵐山 大悲閣 千光寺と、宝厳院

2018年06月28日 | +京都

翌朝、イノダコーヒで朝食を楽しんでから、息子の希望で嵐山を訪れました。四条大宮までぶらぶらと歩き、嵐電に乗って終点の嵐山へ。嵐電は東京でいうところの世田谷線のような路面電車です。車両は新しくなっていましたが、レトロ感は健在。街中を縫うように進んでいきます。

終点の嵐山は観光客で大賑わいでした。人波をかき分けて、まずは渡月橋へ。日本画に描かれるような長い長い木造の橋が絵になります。現在橋脚部分はコンクリートとなっていますが、欄干はヒノキでできていて味わいがありました。下を流れるのは大堰川(おおいがわ)。渡月橋を境に下流は桂川、上流は保津川とよばれています。

渡月橋を渡り、保津川に沿って川上方面に歩きます。渡月橋から歩いて20分ほどの山の中腹に大悲閣 千光寺という絶景のお寺があるというので、行ってみることにしました。山の緑色に染まった保津川は美しく、屋形船がゆっくりと進んでいます。昔、保津川下りの舟に乗ったことを思い出しましたが、どうやらここよりもっと川上のようです。

右手に保津川を眺めつつ、こんな感じの山道を歩いていきます。”Great View"と書かれたお寺の手書きの看板を何度か見ましたが、歩く人は少なくひっそりとしていて、嵐山の喧騒がウソのようです。時々対岸を走るトロッコ列車の音が聞こえました。

最後に急な山道をのぼり、大悲閣 千光寺に着きました。こじんまりとした本堂では住職さんがお勤めの最中でした。お参りしたあと、眺めがすばらしいという、こちらの観音堂を案内されました。遠く比叡山から京都の市街地、小さく清水寺も望めました。

眼下には、先ほど歩いてきた保津川の流れが見えます。ここは”水運の父”として知られる角倉了以が、河川開墾工事に従事した人々の菩提を弔うために創建したお寺だそうです。了以自身もこの地で晩年をすごしたそうで、石割斧を手に持つ了以の像が、川の安全を見守るように安置されていました。

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このあと再び渡月橋にもどり、天龍寺の塔頭寺院である宝厳院(ほうごんいん)を訪れました。こちらには春と秋だけ公開される「獅子吼(ししく)の庭」があり、6月30日まで春の特別拝観が開催されています。どうも期間限定や特別拝観ということばに弱いです。^^;

こちらの獅子吼の庭は、室町時代に中国に渡った禅僧によって作庭され、嵐山を取り入れた借景回遊式庭園となっています。獅子吼とは”仏の説法”のことで、ここでは庭園を散策し、鳥の声、風の音を聴くことで、人生の真理、正道を感じる”無言の説法”を意味しているそうです。

庭のあちらこちらに、大小さまざまな形の岩や、白砂、岩浜が配されていますが、それぞれに意味があり、景観を表しているようです。

ど~んと通路にまではみ出している碧岩や、ライオンの形をした獅子岩は、2億年前に海底に堆積した微生物やプランクトンが圧縮してできた石です。パワーストーンとして人気があり、毎年拝観する方もいるそうです。

岩の美しさもさることながら、青もみじの美しさ、苔の美しさにも目を奪われました。秋の紅葉もさぞかしみごとだろうな...と想像しながらの鑑賞となりました。

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