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大原 三千院と、宝泉院

2018年06月25日 | +京都

せっかく八瀬まで来たので、さらに山奥にある大原まで足を延ばしてみました。大原は京都の街からバスで1時間ほどかかりますが、八瀬からだとバスで15分くらいです。山間の小さな集落のまわりに、のどかな畑の風景が広がっています。三千院への小径を上っていくと竹林が続き、土田麦僊の「大原女」という作品を思い出しました。

大原には何度か訪れていますが、一度宿坊に泊まったことがあります。どこだっけ...と検索して、浄蓮華院だと思い出しました。お部屋は襖で仕切られていて、(今はわかりませんが)当時は女性だけが泊まれました。心づくしの精進料理がおいしく、親戚の家に泊まったような温かさと安らぎを感じたことを覚えています。

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さて... まずはお昼を「志野 松門」(しのしょうもん)さんでいただきました。大きな土間、太い柱と梁、高い天井。明治時代の農家をそのまま生かした、重厚で趣のある建物です。以前は大原郷土資料館として使われていたのを、2013年に大原地元野菜の食事処として開店したのだそうです。

私は一汁八菜を取り入れた”八菜ランチ”をいただきました。写真のプレートにサラダがつきます。プレートは大原の野菜を使ったおばんざいの盛合せ。和洋のお料理がバランスよく配され、鶏のから揚げにはクミンが使われていました。

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おいしい食事を楽しんだあとは、竹林の小径を上り、三千院を訪れました。

大原を代表するお寺、三千院。石垣に囲まれた風格ある御殿門を入って、客殿を通り抜けると、杉木立の気持ちのよい庭園に出ました。瑠璃光院と同じくこちらも緑の美しいお寺ですが、鬱蒼とした緑というよりは広々として明るく、例えは変ですが、高原のキャンプ場にやってきたような開放的な気分を味わいました。

木立の向うに見えるのは往生極楽院。平安時代に建立され、国宝の阿弥陀三尊像が収められています。

往生極楽院の南に位置し、かつて正門だったという朱雀門。

境内に広大なあじさい苑がありました。私が訪れた5月は紫陽花の季節には早かったですが、紫色のミヤコワスレが一面に咲いていました。写真はミヤコワスレに似ていますが、花弁が薄紫色で、オオハラギクという名前だそうです。

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このあと、三千院の参道の奥にある、宝泉院というお寺を訪れました。

池の形を鶴、築山を亀、山茶花の古木を蓬莱山と見立てた亀鶴庭園。どの角度から見ても変化に富んだ美しい庭園でした。

柱と柱の間を額に見立てて鑑賞する盤桓園(ばんかんえん)には、樹齢700年を超えるという五葉の松の大木がありました。樹医によって幹を補修され、命の限り枝を広げる姿は、鬼気迫るものがあり圧倒されました。高浜虚子はこの松を見て「大原や 無住の寺の 五葉の松」と詠んだそうです。

お庭を鑑賞していると、係の方がお茶菓を出してくださいます。旅の途中で、ほっと人心地つきました。

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