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ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語

2020年07月12日 | 映画

オルコットの名作小説「若草物語」を、「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグが新たな視点で映画化。シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、ティモシー・シャラメらが出演しています。

ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 (Little Women)

「若草物語」は小学生の時に読みましたが、ストーリーはだいぶ忘れてしまいました。ただ四姉妹のうち、自分はどのタイプ?とかどのキャラクターが好き?という話で友だちとよく盛り上がったのを覚えています。

私は長女なので本来はメグのはずですが、意外とわがままで子どもっぽいところがあるので、どちらかというと四女のメアリーかな~?と思ったり。そして当時の女子たちの間で一番人気はなんといっても次女のジョーでした。

本作は、その次女ジョー(シアーシャ・ローナン)の視点で描かれています。ニューヨークの出版社に”友達”の書いた小説を売り込みにきたジョーが、ダメ出しされながらもようやく掲載にこぎつけ、颯爽と街を走り抜けるオープニングが印象的。

これだけで新しい作品だという予感を感じて、わくわくしました。19世紀のマサチューセッツ州コンコードが舞台で、衣装も美術もクラシックですが、四姉妹がこの時代の慣習にとらわれず、自分で考え、悩みながら生き方を決断していく姿は

現代を生きる私たちにとって共感でき、勇気づけられるメッセージとなっていました。4人がそれぞれ自分の考えをストレートにぶつけ合い、時に取っ組み合いのけんかをするところも新鮮な描写でした。

そして、ローラ・ダーン演じる、慈愛あふれる母親がまたすばらしい。牧師として戦地に赴いている夫に代わって女手ひとつで家族を守る彼女は、きっと神に仕える身であることを常に心に留めて娘たちを育てていたのでしょう。

一方メリル・ストリープ演じる叔母は、母とはまったく違う、どちらかというと現実的なタイプですが、姉妹たちにとってはまだ見ぬ広い世界を示してくれる、きらきらした存在だったのだろうと思います。

オルコットは自身をモデルにジョーというキャラクターを作りましたが、自身が作家という道を選び、生涯独身を貫いたのに対し、ジョーには当時の社会を反映させて、結婚というハッピーエンディングを用意しました。

ところが本作でガーウィグ監督は、ジョーに結婚と仕事と、どちらかをあきらめさせるということはさせなかった。ジョーが作家として認められることはうれしいけれど、それによって何かを失うようなことがあったらきっと物足りなさを感じたと思うので

この結末には大、大満足でした。

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