セレンディピティ ダイアリー

映画とアートの感想、食のあれこれ、旅とおでかけ。お探しの記事は、上の検索窓か、カテゴリーの各INDEXをご利用ください。

修学院離宮

2018年06月13日 | +京都

北山でお昼を食べたら、お店の向かいからバスに乗り、修学院離宮に向かいました。修学院離宮は比叡山の麓にあり、バス停を降りてからさらに15分ほど歩きます。ここは宮内庁の管轄となっていて、事前の申込みが必要です。前の週にサイトをのぞいたら、この日ちょうど2名の空きがあったので申し込んでおきました。

現地に着いて受付をすませ待合室に向かうと、既に30名ほどが待っていて、私たちが最後だったようです。職員の方に先導されて、ぞろぞろと出発しました。一番後ろには皇宮警察の人がついていて、なにやらものものしい雰囲気です。^^

修学院離宮は、1655年後水尾上皇(ごみずのおじょうこう)の指揮によって造営された山荘です。比叡山の山裾の傾斜地を利用して、上離宮・中離宮・下離宮の3つの庭園から構成されていますが、その間に田畑が広がっているのがユニークです。この地ならではの鄙(ひな)の風景を再現しているのだそうです。

写真は下離宮の入口、御幸門です。職員の方に鍵を開けてもらい、中に入りました。職員の方は、毎日広大な敷地を歩いて見学者に付き添わなければならず、各離宮の鍵の開け閉めをするのが大仕事だそうで、一般公開にして欲しいと終始ぼやいていらっしゃいました。^^;

下離宮の庭園です。小さいながらも苔と緑が鬱蒼とした趣のある庭園でした。池の横から階段を上ったところに、上皇の御座所である数寄屋造りの寿月観が建っています。

下離宮を出たら、のどかに広がる田畑の間を通って中離宮に向かいました。田畑は地元農家と契約して耕作してもらっているのだそうです。写真は、中離宮の中にある客殿です。中離宮は、後水尾上皇の第8皇女・光子内親王の御所だったところで、建物内部の調度や装飾に優美な華やかさがありました。

最後はいよいよ上離宮。3つの中で一番壮大な庭園です。高台にある隣雲亭に上ると、眼下に浴龍池を中心とした庭園、その向こうには借景の山々が連なり、遠く京都の市街地まで見渡せました。しばし絶景を楽しんでから、浴龍池のまわりを一周しました。

楓橋を渡って、中島へ。

趣のある船着き場をパチリ。

2つの島の間に架かる千歳橋。中国風の屋根付きの石橋が目を引きます。日本庭園にエキゾチックな趣を添えていました。比叡に続く雄大な森が、庭園の借景となっています。

右に見えるのが、最初に上った隣雲亭です。上から見ると高く感じられましたが、こうして見るとそうでもないですね。池との標高差は10mだそうです。紅葉の名所で知られる修学院離宮ですが、青もみじもすばらしく、深呼吸したくなる風景でした。

コメント (4)

IN THE GREEN

2018年06月11日 | +京都

先月、家族の用事にあわせて京都に行き、その後、私だけ残って息子に会ってきました。お昼前に京都に着き、この日は午後から修学院離宮見学の予約を入れていたので、その前に北山の IN THE GREEN というカフェでお昼をいただくことにしました。京都府立植物園に隣接する緑あふれるカフェです。

お店に着くと、既に何組か待っていたので、先の予定もあることだし他に行こうか...と迷っているうちに、すぐに順番が回ってきてほっとしました。初夏を感じる気持ちのよい陽気だったので、テラスの席で食事にしました。お昼のメニューは日替わりランチのほか、パスタやピッツァなどがありました。

まずは冷たいアイスティでのどを潤し、セットのスープやサラダをいただいているうちに、メインのお料理が運ばれてきました。

こちらは本日のランチで、この日は ”豚肩肉のロースト 生姜風味の和風ソース” でした。いわゆる豚肉の生姜焼きなのですが、お肉が分厚くてしかもほろほろに柔らかい。圧力鍋で作っているのかな?と想像しました。

私はピッツァの気分でしたが、時間がかかるかも...と本日のパスタにしました。ところがそれが裏目に出て、なかなか来なくてあせりました。^^; この日のパスタは ”奥丹羽どりのラグー、しめじ、ほうれん草のパスタ” 。しょうがが効いて、和を感じさせるお味でした。

外の緑と一体感のあるテラス席は、まるでグランピングしているみたい。ここでバーベキューも楽しめるようです。緑の敷地は植物園と隣接していて、下草は伸びていましたが、桜の木がたくさんありました。花の季節もきっときれいでしょうね。

北山は郊外の閑静なエリアで、近くには老舗の洋食屋さんや、人気のケーキ屋さんなどありました。大学や文化施設も多く、環境がよさそうな場所でした。

コメント (4)

エルダーフラワーとレモンのケーキ

2018年06月10日 | 料理

イギリスのヘンリー王子とメーガンさんのロイヤルウェディングで話題になった、エルダーフラワーとレモンのケーキを作ってみました。エルダーフラワーはヨーロッパ原産のハーブで、5~6月に白く可憐な房状の花を咲かせます。この花を使ってシロップを作り、飲みものにして楽しむのだそうです。

シロップは市販もされています。私は酒屋さんで見つけました。優しい手描き風のラベルがとてもすてきです。ふたを開けると、ふわ~っと芳醇なマスカットのような香りがしました。

BBCなどのサイトでは、早速ロイヤルウェディングのケーキのレシピが出ていましたが、バターをたくさん使っていたので、私はいつものスポンジケーキのレシピをアレンジして作りました。

スポンジケーキの生地に、すりおろしたレモンの皮を入れて焼きます。

冷めたら横半分にカットして下の段と上の段、両方にエルダーフラワーのシロップを希釈せずにたっぷりぬり、砂糖を入れて泡立てた生クリームをぬって仕上げました。

クリーム色のスプレーバラをアイビーといっしょに束ね、水で濡らしてしぼったペーパータオルを巻き、アルミホイルで包みます。花がケーキに触れないように、間にレースペーパーをはさみました。

ケーキの上に挿して、できあがり♪

花を挿したところが凹んでいますが...^^ シンプルすぎるケーキなので、最初は桃をはさもうかと思っていましたが、食べてみると、このシンプルなところがすごくいいと思いました。エルダーフラワーの華やかな香りが存分に楽しめて、とっても気に入りました♪

エルダーフラワーのシロップをトニックウォーターで割ったら、ノンアルコールのカクテルになりました。香り豊かでさっぱりとしておいしい。これからの季節にぴったりです。

コメント (4)

あなたの存在に対する形容詞 ミルチャ・カントル展

2018年06月08日 | アート

映画の後に、銀座のメゾンエルメス フォーラムで開催中の「あなたの存在に対する形容詞 ミルチャ・カントル展」(Adjective to your resence by Mircea Cantor) を見に行きました。

ミルチャ・カントルは1977年ルーマニアに生まれ、現在はパリを拠点に活動している現代美術のアーティストです。私は以前、現代アートの祭典「ヨコハマトリエンナーレ2011」で氏の作品を鑑賞する機会があり、2つの会場で見たどちらの作品も強く印象に残っていました。(リンク先から当時の記事に飛びます)

Tracking Happiness (幸せを追い求めて) @横浜美術館
白装束の女性たちが白い空間をひたすら掃き清めるスピリチュアルな映像作品

Holy Flowers (聖なる花) @日本郵船海岸通倉庫
無骨な釘やビスを、鏡を用いて万華鏡風に表現した写真作品

***

今回はカントル氏の日本における初個展。氏の作品がもつ透明感のある無機質的な世界は、レンゾ・ピアノ設計のガラスブロックの空間にぴたりとマッチしていると思いました。作品は全部で3点ありました。

上からぶら下がっているのは「風はあなた?」という作品です。この展示室には、左奥に見えている身長より低い小さな引き戸から入りますが、中に入るとカランコロンと金属が織りなす涼やかな音色に迎えられます。上から下がっている何十もの風鈴と、小さな引き戸がワイヤーでつながっていて、引き戸が開くたびに音がなる仕組みとなっていました。

下から見上げたところです。金属管でできたシンプルなウィンドベルですが、整然と並びなかなかの迫力でした。そういえば昔の個人商店には、お客さんが引き戸を開けて入るとチャリンと鳴って奥に知らせるベルがあったっけ...と思い出し、このアナログな仕掛けがなんとも懐かしく感じられました。

手前にあるのは「呼吸を分かつもの」という作品です。アクリルグラスでできた屏風に、何本もの白い直線が交わっています。最初は蟻の行列?と思いましたが、よく見ると有刺鉄線を表しているようです。

近づくと、線は指紋で描かれていました。指紋の連なりが、こんなクールなアートになるなんて!と新鮮でした。これならインテリアやクラフトなど、身近なところに取り入れられそう...なんて言ったら失礼ですが、思いがけない発想に驚きました。

この他、もう一点「あなたの存在に対する形容詞」という映像作品がありました。透明なプラカードを持つ人たちが、桜咲く東京の町を練り歩いているところを延々撮影した40分の作品です。一見カルトな感じで不気味でしたが、無言のまま、何も書かれていないプラカードを持つ人々は何を表しているのでしょうか...。

日本では主張する、デモに参加するというのは少し勇気がいりますが、海外では市民の権利として認知され、わりとよく見る光景です。まずはアクションを起こしてみたら?というカントル氏からのメッセージのようにも受け取れました。

コメント (2)

半熟卵の朝食 @君の名前で僕を呼んで

2018年06月06日 | +映画のひとさら

映画「君の名前で僕を呼んで」(Call Me By Your Name)では、毎朝の屋外での朝食のシーンも印象的でした。

すぐそこでもぎ取ってきたばかりの桃や、しぼりたてのジュース。キッシュか何かが出ていた記憶もありますが、一番印象に残っているのはとろりとした半熟卵。アーミー・ハマー演じるオリヴァーが、スプーンの背でとんとんたたいて殻を割っていました。

そんなシーンを思い出しながら作った朝食です。厚切りの食パンは量が多いので半分にして、ココナツオイルとはちみつをぬってトーストします。ベビーリーフはフレンチドレッシングであえ、プチトマトをあしらいました。コーヒーと野菜ジュース、半熟卵、そして映画で重要な役割を果たしていた桃。

卵は5分ほどゆでて冷水に取り、とろとろに仕上げました。殻はむかずにスプーンですくっていただきます。

オリヴァーはスプーンの背で殻を割っていましたが、私は神戸の北野ホテルで見つけたエッグカッターを使いました。下のカップを卵にかぶせ、ボールをスライドして上から落とすと殻が割れます。

家に咲いている紫陽花をカットしてきて飾りました。映画では夏の北イタリアらしい赤や黄色の食卓でしたが、こちらは梅雨の東京らしいブルーの食卓になりました。今日は朝からしとしと雨で、いよいよ梅雨入りとなりそうです。

【関連記事】君の名前で僕を呼んで (2018-06-05)

コメント (8)

君の名前で僕を呼んで

2018年06月05日 | 映画

ティモシー・シャラメ&アーミー・ハマー主演、1980年代の北イタリアを舞台にひと夏の恋を描いた青春ラブストーリーです。アンドレ・アシマンの同名小説を、イタリアのルカ・グァダニーノ監督が映画化。ジェームズ・アイヴォリーが脚本を手掛けています。

君の名前で僕を呼んで (Call Me By Your Name)

1983年夏、17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、今年も家族と北イタリアの別荘で避暑をすごしていました。アメリカの大学で考古学を教える父は、毎夏教え子をひとり別荘にアシスタントとして招待するのが習わしで、今年は24歳の大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)がやってきました。

非の打ちどころなく自信にあふれたオリヴァーを最初のうちは敬遠しつつも、気になってしかたがないエリオ。一方、そんなエリオの気持ちを知ってか知らずか、オリヴァーも彼を何かと気に掛けるようになります。毎日をいっしょにすごしていく中で、2人は少しずつ互いの距離を縮めていきますが...。

スチールやトレイラーを何度も見て楽しみにしていた作品です。美しい風景、美しい人々、美しい音楽。夏の北イタリアは楽園のようで、本を読み、音楽を奏で、水を浴び、戯れる人々、知的な会話や木陰のブランチ、それらすべてがまぶしく感じられました。一方、きらめく夏の光の陰で、それらは時に残酷に心にひりひりとした痛みを感じさせました。

ふと気がついたのですが、エリオくんは私とちょうど同世代なのですよね。野外パーティで流れる80年代の懐かしい音楽を聴きながら、私が窮屈な日本でくすぶっていた頃、彼らはこんな風に青春を謳歌していたんだなーと、憧れと嫉妬がない交ぜになったような気持ちを味わいました。

同じ気持ちを以前どこかで味わったことがある...と思い出したのが、サガンの「悲しみよこんにちは」。あの洗練された早熟な才能に当時の私は衝撃を受けたのでした。日本だと昔読んだ倉橋由美子さんの小説に、こういう世界が描かれていた記憶があります。

男性同士の初恋を描いた青春映画としては、先日見たブラジル映画の「彼の見つめる先に」(The Way He Looks)が記憶に新しい。あの作品では、彼らのときめきと戸惑いがとても自然に受け止められましたが、本作ではなぜか私の中にひっかかるものを感じました。

それはこのアートのような美しい恋愛に対して、作為的なものを感じてしまったかもしれません。思えばオリヴァーは最初からエリオにボディタッチしていたし、両親はすべてを知った上で2人を旅行に行かせたのでした。

そして終盤、父親のエリオへの告白を聞いた時に、なるほどと腑に落ちるものがありました。ひょっとして、だから父はアシスタントにオリヴァーを選んだのでは?とちょっと勘繰ってしまいました。

とちょっと厳しめに書いていますが、全体的にはとても好きな作品です。何より、知的で繊細なティモシー・シャラメくんが魅力的でした。いつもはエンドロールをくまなくチェックするのですが、今回ばかりはエリオくんから目が離せなかった...。きゅ~っと胸が締め付けられました。

音楽もとっても好み。ラヴェルやサティのピアノ曲と、坂本龍一さんの(BTTB風の)ピアノ曲がよく調和していますが、80年代のナンバーとスフィアン・スティーヴンスのセンチメンタルなメロディも不思議とマッチしています。今一番お気に入りのBGMです。

【関連記事】半熟卵の朝食 @君の名前で僕を呼んで (2018-06-06)

コメント (10)

権八 浅草吾妻橋と、アンヂェラス

2018年06月02日 | グルメ

毎度のことながら、浅草・吾妻橋のたもとからの一枚。

この日は、伝法院に行く前に「権八 浅草吾妻橋」でお昼をいただきました。西麻布のお店が小泉首相・ブッシュ大統領の居酒屋会談や、タランティーノ監督の「キル・ビル」の舞台になったことで知られる権八さんの新店舗。こちらは西麻布店よりはずっと小さく、おしゃれな居酒屋さんといった雰囲気で、お昼は定食がリーズナブルにいただけます。

場所は吾妻橋のたもとで、窓側の席からは隅田川が見渡せます。この日はジェットスキーを楽しむ人たちが目の前をびゅ~んと通り過ぎました。行列のできるお店も多い浅草ですが、早めの時間だったからか、場所が盲点なのか、意外とすいていてすぐに入れました。

お昼の定食は4種類くらいあったでしょうか。こちらは海老天丼とおそばのセットですが、大きな海老が5本も入っていてびっくりしました。私は野菜天も入った天丼とおそばのセットにしました。暑い日だったのでビールも一口いただいて、のどを潤しました。

***

伝法院を訪れたあとは、全国の名産が集まっている”まるごとにっぽん”や、七味の”やげん堀”でお買いものして、最後に「アンヂェラス」でひと休みしました。

*** 閉店しました ***

昭和21年創業の老舗喫茶店です。お店の前に出ている古めかしい字体のサイン、食品サンプルの並ぶショーウィンドウ、木彫細工の凝った装飾。すべてが懐かしく愛おしい。お店の前に2組ほど並んでいましたが、それほど待たずに1階の席に落ち着きました。手前がケーキ販売コーナー、その奥に喫茶室が続いています。

お店の看板商品になっている”アンヂェラス”は、ミニサイズのロールケーキ。写真のチョコレートのほか、白いホワイトチョコレートがあります。濃厚な甘さのケーキはコーヒーによく合います。

私はレトロなケーキが食べたくて、プリンアラモードをコーヒーとともにいただきました。最近のトレンドのふわとろプリンでなく、しっかり硬めのプリンが昔懐かしい味わいで、かえって新鮮に感じられました。

ちょうど隣の席が空いたところをパチリ。創業したご夫婦の奥様がクリスチャンだったことから、店名をカトリック教会のお祈りを意味するアンジェラスと名付けたそうです。店内は十字架や鳩のモチーフが取り入れられ、礼拝堂をイメージした造りとなっています。重厚な木のぬくもりにほっと心が落ち着きました。

***

帰りは吾妻橋から水上バスに乗って日の出桟橋まで、小旅行気分を楽しみました。

コメント (4)

浅草寺 伝法院庭園特別拝観

2018年06月01日 | おでかけ

浅草・浅草寺の一画にある、伝法院の特別拝観(5月7日で終了)に行ってきました。

伝法院は浅草寺の本坊で、伝法院通りに入口がありますが、ふだんは公開されていません。GWで混んでいるかと思いきや、まわりの喧騒がうそのように、ここだけひっそりと穏やかな時間が流れていました。中には客殿をはじめとする歴史的建造物と、寛永年間(1624-1644)に茶人の小堀遠州によって作られたといわれる庭園があります。

庭園には細い流れでつながった大小2つの池があり、その周りをぐるりと歩いて回れるようになっています。歩き進むごとに変化に富む風景を楽しむことができました。この角度からは、ちょうど後ろに浅草寺の五重塔が見え、伝統的な日本を感じる眺めでした。

園内には藤棚や枝垂れ桜の大木があり、花の頃もきっとみごとでしょうが、青葉の鬱蒼と茂る初夏の風景も、清々しく美しかったです。

この角度からは、後ろにスカイツリーが見えます。五重塔とスカイツリー、古今の2つの塔の競演が楽しめるのも、こちらの庭園ならではです。

この日は和服姿の女性が何人もいらして、美しい庭園に華を添えていました。

池の端に、キショウブが咲いていました。

キタテハがひらひらと飛んできたところをパチリ。平和な光景でした。

コメント (2)