
佐藤和歌子/(株)リトル・モア社/2003.4
マドリスト、というらしい。窓のリストではありません。間取り図のコレクター。
これに、間取り図をみるのが好きな人もくわえていいんじゃないでしょうかね。
遠い昔、誰もが一度はシート一枚でおままごとをしたり、地面に書いた四角い枠を秘密基地に仕立てたりしたのではないかしら。限られた空館を仕切るというDNAは人間の記憶の何処かに紛れ込んでいるに違いない、と思う。だって、自分ん家以外の間取り、気になりませんか?
私は気になる、ものすごーく。例えば歴史の授業中。資料に描かれている「寝殿造り」とか、「パルテノン宮殿」とかの平面図を眺めながら、「寝殿造り」なのに、寝室が見あたらないとか、宮殿なのに柱ばかりで人は何処に暮らしているのかとか考えていたくらいですもん。
鉄道の時刻表を眺めるだけで旅行した気分になれる人がいるくらいだから、間取りを図を眺めているだけでその家に住んだ気分になれる人もいるはず。間取り図は空想への扉。
さて、この本には普通の間取りはありません。風変わりな間取り(それも実在している)ばかりをたっぷり収納。
本のカバーがまた凝っていて、外して広げると裏には…

何処をどうひねると、この限られた空間をこんな風に仕切れるのか不思議不思議。一つ一つの小さな間取りを眺めながら、一時その部屋の住人になってみるのもまた、楽しいですよ。

余談ですが、この本の初版が2003年。巻末の著者プロフィールに宅建資格取得に向けて勉強中、とありました。当時何の事かさっぱりわからなかったのだけれど、この5年後にまさか自分が挑戦するハメになるとは思いもよらなんだ。