
芝浜は、古典落語の名作のひとつ。
落語を知らない人も、噺をきくと『ああ、これ、しばはまっていうのか。」というくらい、モチーフは色々アレンジされています。
暮れも押し迫って、借金の取り立てにビクビクしながらも一向に働く気のない亭主と、
亭主のやる気を彼の面子を潰さずにどうやったら起こす事ができるかと心を砕く女房の
やりとりで話ははじまります。
小三治師匠は江戸の下町の世話女房を実にきりりとそれでいて女っぽく語ります。
話の前半と後半で、みえっぱりで努力も苦労も大嫌い、困ったら誰かがなんとかしてくれると女房にも世間にも甘えていた亭主が
女房の機転でどんどん変わっていくさまを丁寧に丁寧に談じていく、まさに話芸の妙。
しずかな語り口ですが、余韻のある深い言葉選びと、それについては直接語らずに情景を連想させる演出はやっぱりすごい、としかいえません。
急に冷え込みが厳しくなった暮れの横浜でトリを飾るに相応しい噺でした。
凄いな、と思ったのは講座に上がって、そのまま噺に突入したこと。
実は中入り前の高座は枕が本題になりそうなくらい長くてびっくりしたのでした。
(柳家●太郎師匠にはよくあることですが、小三治師匠までも?と、おのろいた。それはそれで楽しいんです。いわゆるライブの醍醐味。)
柳家小三治独演会@横浜関内ホール

大入りでした。ここ最近、お客層の年齢の幅がぐっと広くなりました。
この日の演目
■元犬(もといぬ)…柳家禽大夫:人間になったワンコの噺.ワンコ好きにはたまらない。
■金明竹(きんめいちく)…柳家小三治:枕で師匠の歌った昭和歌謡がディ-プインパクト。フランク永井の「公園の手品師」でした。
アカペラでフルコーラスしていただきました。you tube で本家フランク永井さんのバージョンを見つけたんですが、小三治師匠のテンポとちょっと違う…ような気も…
いや、ある意味貴重な体験でした。師匠はさすがにいいお声です。
公園の手品師 フランク永井
■お中入り=15分=
■芝浜(しばはま)

*名作だけに実に多くの噺家さんが演じています。DVDなども出ていますから、聞き比べもたのしいですよ。