昔、母がよく言っていたこと。
いってらっしゃい、
いってきます、
ただいま、
おかえり
どんなに不機嫌でも
どんなに喧嘩をしていても
必ず声に出して言いなさい。
いってきます、
ただいま、
おかえり
どんなに不機嫌でも
どんなに喧嘩をしていても
必ず声に出して言いなさい。
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ひと回りしちゃいましたね。
決して忘れられないあの日
<2011/3/11横浜駅東口周辺>
2011年3月11日午後2時46分
東北地方宮城県沖を震源とするマグニチュード9、
最大震度7強の強い揺れが
東北地方から関東地方を襲いました。
のちに東日本大震災と呼ばれる地震。
その日
私は娘と買い物に出ていました。
修理品を受け取り、新年度に必要なものを買い揃えていたところ
突然体験したことのない揺れ。
ちょうど会計中で、ショップスタッフの指示でレジカウンターに身を隠しました。
いつもの地震とは全く違う音
その後何度か大小の揺れがあり、駅ビル警備員の誘導でなんとか無事に建物の外へ。
しかし駅前の広場はごった返していて人は行き場を失い始めています。
既に止まり始めていた路線バスは諦め、大勢並んでいるタクシー乗り場も避け、
徒歩で帰路に着きました。
その途中見たのは
線路幅が新幹線と同じだから余程の強風でもなければ止まることはないと言われた
京浜急行が、
横浜駅ホームを出てすぐある帷子川の手前で急停止している異様な風景。
<2011/3/11高島町帷子川付近>
その後の混乱と長い不安な日々は報道の通り。
そして12年目。
この時生まれたこどもたちは小学6年生。
自分もその分歳を重ねてきたわけですが、
折に触れ
何ができて何をしたのかと自分に問い返しています。
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昔、母がよく言っていたこと。
いってらっしゃい、
いってきます、
ただいま、
おかえり
どんなに不機嫌でも
どんなに喧嘩をしていても
必ず言いなさい。
年頃になれば親の言葉はただの雑音で取るに足らないと感じるでしょう。
いちいち口答えする子に何を言ったも無駄だと
沈黙することが当たり前になったしまうこともあります。
どうせ返事はかえってこないし、と諦めてしまう時もあります。
そもそも一人暮らしだからいうだけ虚しい
と感じる人もいるでしょう。
それでも
母は、必ず言いなさい
と珍しく強い口調で言いました。
その言葉の重みを肌で感じたのが
この日です。
私は「たまたま」その時家族と一緒にいて、
「たまたま」近くに住む両親や妹とすぐに連絡が取れました。
いまだに「ただいま」の一言を待つ人がいます。
「おかえりなさい」と言えないままの人もいます。
「いってらしゃい」と送り出せなかったこと
「いってきます」と出かけられなかったこと
を悔やんでも悔やみきれない人もいるでしょう。
あれから12年。
世の中がなんだか不安な方向に進んでいます。
甘ちゃんのたわごとかもしれませんが、
この世の全ての人に
いってきます
いってらっしゃい
ただいま
おかえり
と言える日がふつうにあって欲しいのです。
黙祷。