虎屋の虎屋饅頭は11月中旬から3月中旬までの製造。
店頭販売のみ。
可愛らしい。美しい。
そもそも饅頭のルーツは中国。
13世紀、仏教をはじめ当時の文化の最先端は中国でした。
禅宗の僧円爾(えんに)は、仏教留学を終え博多に帰国した折、
世話になった茶屋の主人、
粟波吉右衛門に中国で知った饅頭のレシピを伝授しました。
これは
うるち米を米麹で発酵させて作った皮に餡を包んで蒸し上げる
酒饅頭の原型です。
吉右衛門の屋号が「虎屋」だったので
その饅頭は「虎屋饅頭」としてヒットしました。
イースト菌がない時代、発酵に使った麹菌
日本古来の菌で、
お酒も、醤油も、納豆もこの菌がなかったら
作れません。
独特の旨味を出す麹ですが
これで作った生地は、加熱してから時間が経つと
皮が硬くなってしまう特性があります。
そこで先人たちの知恵。
蒸直せば出来立ての風味が、
じっくりとお炙れば
香ばしい香りと一味違う食感が
蘇って再び美味しくいただけます。
個人的には蒸し直すのが好き。
美味しいものを美味しくいただくのに手間ひまかけるのは
なかなか楽しいですよ。食いしん坊にとって、ふふふ
蒸し上がるまでにもうひとうんちく。
博多で円爾聖人から饅頭のレシピを伝授された「虎屋」と
現代に続く室町時代の京都で創業の京都「虎屋」は同名異人。
両者に関係は全くありませんでした。
しかし昭和13年、
博多の吉右衛門虎屋の掲げていたと伝わる『御饅頭所』という看板を
京都『虎屋』が
譲り受けることになったのです。
虎屋文庫によると、毎年創業記念日には江戸時代の虎屋の看板と共に
この看板も一緒にお祭りするのだといいます。
ちょっと不思議なお話ですね。
そうこうしながら、蒸し上がり
ほくほくと
美味しくいただきました、とさ。
しかし、酒饅頭一つでよくしゃべるのう…(天の声)