@著者の豊富な知識(現地と歴史)は読者の想像を超える様々な場面とその背景、登場人物を混乱させる、特にこの「裏切りの塔」。「高慢の樹」でも御伽の国の話(伝説)と現場との違いを混乱させ、犯人が最後まで特定できない。巻末での謎解きでなるほどと思わせる術もあるミステリー小説だ。
『裏切りの塔』G・K・チェスタトン
人を食う樹として怖れられる三股(みつまた)の怪樹。この樹に登る賭けをした大地主の失踪事件から始まる怪異の連続を綴る傑作中編「高慢の樹」、名探偵としての才に恵まれたスティーヴン神父が不可能犯罪に挑む表題作、夢見がちな姪を案じた公爵が取った奇策が思わぬ騒動へと発展する。
「高慢の樹」
村に森の上に突き出ている「孔雀の樹」があり、不気味で恐怖心を煽る伝説と住民に不安をもたらせていた。その地主は人を騙すのが好きで「人喰いの樹」とか「毒を持った病魔」を振りかざす樹とか言われたことを覆すために芝居をする。ところが実際にその樹からは毒素が出ており病気がちな人に移すことが判明すると言う事実も作ってしまった。
「煙の庭」
瓶の中にあったのは麻薬。中毒症となった詩人の妻が、麻薬を是が非と入手しようと口論の末、摂取した。そのことが一旦麻薬摂取が自滅を招いたということがなくなった原因とされた。ところが庭の薔薇に噴霧器で毒を振り撒いたことで妻は殺された、ことが証明される。
「剣の五」
トランプでイカサマをやったことでフランス式剣で決闘、若者が殺されたとされた。が、実は相手は全くの剣の持ち方も解らない輩だと分かると、周りにいた合併で富を築いていた数人が反対した若者を殺害したことが分かった。アリバイ作りにフランス式剣の決闘で反対者を揉み消そうをしたのだ。
「裏切りの塔」
1度読んだだけではこの短編小説は理解できない、想像力が著者に追いつけない、空想もできない次元だ。
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