本日で12月議会は終了。
気が付けば、「よいお年を!」という挨拶が、似合う時期になってきました。
ええかげん、年賀状にも手をつけねば!ですね。
で、そんな中、本日の本会議に上がってきた意見書の一つが
↓こちら(クリックで拡大します)↓。
要するに、「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加するな!」
ということを国に主張したい!!!という内容の意見書ですな。
この問題、基本的に国の政策に関することなので、
私の職責を超えてはいるのですが、ここで書かれている内容には、
個人的に、色々と異議がありまして。
そもそもの話で言いますと。
日本経済は年度によって異なりますが、
概ね、輸出が80兆円程度、輸入が70兆円程度という、
大幅な輸出超過状態にあります。
だからこそ、輸出大国と言われたりもするわけで。
そういうわが国の現状を考えると、TPPからの離脱は長期的には、
この輸出の大幅な削減につながりかねません。
当然、日本経済に与える影響は甚大です。
一方で、農業の生産規模は年間・約5兆円、GDPに占める比率は約1%。
正直なところ、農業を守るためだけに、「TPPには不参加!」という
選択をすることは、経済振興的な見地から見ると、
非常にナンセンスだと思うのですよ。
とは言うものの、↑このような意見↑に対しては、
○「地球的規模での食糧不足が大問題になっている(意見書より引用)」中、
○国内農業の保護・食糧自給という重要な問題を、
経済規模だけで語るとはけしからん!
という反論が、多くの場合、返ってくるわけで。
でもね、議論の前提となっている、
「地球的規模での食料不足が大問題になっている」という部分に、
そもそも、誤りがあるとすると、
「なんとしても、食料自給率を上げていかねばならん!!!」
という、いわゆる食糧安保論的な話自体が、
非常に眉唾なものになってくるはずなのですよ。
で、私は、「地球的規模での食料不足が大問題になっている」
という話自体、非常に疑わしいものだと思っていまして。
例えば、↓こんな指摘↓があります。
『世界の食料供給量は、人口増加ペースよりも高い水準で増えている。
過去40年の人口増加率は189%だが、穀物の増産率は215%。
その結果、2009年末時点で、世界の穀物在庫は
消費量の約20%に当たる4億5000万トン。
足りないどころか、むしろ過剰な生産と在庫に苦しんでいる』
『先進国間での貿易交渉では「うちの穀物を買え!」「やだ!」
と押し付けあっているのが現状』
(↑上の記述↑は
「日本は世界5位の農業大国 ~大嘘だらけの食料自給率~」
より引用・抜粋しました。
これ、目から鱗の一冊です。
この分野に興味おありの方は、是非、どうぞ。)
(↑このジャンルについては、↓この本↓も面白かったです。
『「食糧危機」をあおってはいけない』
こちらも、よろしければ、どうぞ。)
大きな世界的レベルの話は置くとしても。
足元の日本国のことだけを考えてみても、
ほんまに、そんなに食料不足が心配なら、
さっさと減反を止めるべきですよね???
でも、そういう話には、ついぞ、出会うこともなく。
なんだか、奇妙な話だと思うのですよ。
また、下の方に、
「経済産業省は、TPPに参加しない場合の雇用減を81万人としているが、
農水省は、参加した場合の雇用減を、
農業やその関連産業などを合わせて340万人と、
不参加の4倍以上にもなるとしている。」
とありますが、これも、甚だ???です。
2005年に行われた農業センサスによると、
日本の農家数は、約284万戸。
ところが、そのうち、農業を専業とする農家は一割にも足りません。
農業所得が50%以上あり、一年のうち60日以上農作業を行う
「主業農家」ですら、全体の15%に留まっています。
「なら、残りは???」と言うと、
○65歳未満で一年に60日以上農作業をしない
「副業的農家」が全体の38.3%
○耕作面積が30アール未満で、農産物の販売額が50万円に満たない
「自給的農家」が約31.1%
と、「副業的農家」「自給的農家」の合計が約70%を占めています。
数字から見ても、「副業的農家」「自給的農家」の多くは、
○他にメインとなる収入を持っているか、
○そもそも趣味的に農業を営んでいる
ということになるはずなわけで。
となると、どう考えても、
「農水省は、参加した場合の雇用減を、~中略~
340万人と、不参加の4倍以上にもなるとしている。」
という話自体、甚だ、怪しい話だとしか思えません。
というわけで、この意見書には、当然、反対しました、
というご報告でした。
しかし、いろいろと謎だわ。。。
ということで、今日は、このへんで。
それでは失礼いたします。