二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

妊活は夫婦の共同作業~精子の生育から放出までの巻~

2017年12月20日 | 不妊症

 毎日、HPを更新するのは難しいですが、ブログの神様が降臨している時にできるだけ更新しておきたいと思います

 前回は『妊活は夫婦の共同作業~鍼灸院臨床現場の巻~』ということでお話させていただきました。まだ見られてない方は、上記クリックされてご覧いただきたく思います。

 

 まずご存じの方が多いかと思いますが、精子は毎日作られます ここが女性とは違う部分です。ここは覚えておいていただきたいと思います。

 思春期、第二次性徴が起こりホルモンの働きが活発になる頃(異性のいろんなことに対して興味が湧いてきた覚えはありませんか)、精子も生成が始まります。思春期、私もビックリしましたが精通(はじめての射精)が起こる頃から、男性は生涯、精子をつくることになります。

 ホルモン(性)的に考えると「男は死ぬまで働け」ということなのかもしれません。笑

 まず大きな精子生成のプロセスについてみていきます。ホルモンの働きです。

 身体の中では血液の中の男性ホルモンの状況をつぶさに感知して、脳がその調整を行います。

 男性ホルモン(テストステロン)が必要な場合、脳の視床下部の性周期をコントロールする部分が働き、上図には書いてありませんが、GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)や CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)下垂体へ放出します。
 下垂体からは、前者が働くとFSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体形成ホルモン女性)・ICSH(間質細胞刺激ホルモン男性)が放出されます。
 FSHは卵胞と銘打ってありますが、精巣精細管に働きかけると精子の生育を始めます。ICSHは、精細管にあるライデュッヒ細胞(間質細胞)に働きかけテストステロンの生成を促し、精子の成熟に貢献します。

 一方、ストレス反応など内外のストレスに対応するシステムが主な仕事となりますが、そこでも男性ホルモンをつくるシステムがあります。
 同じく視床下部よりCRHが放出されます。CRHが下垂体に働きかけるとACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を放出します。
 男性ホルモンという部分だけをみると、ACTHが副腎皮質へ働きかけると副腎性アンドロゲン(DHEAなどの男性ホルモン)が分泌されます。 

 95%の男性ホルモンは精細管で分泌され、残りの5%は副腎皮質から分泌されます。また精巣の働きが悪くなると、副腎皮質の男性ホルモンの働きが強まることが分かってしますので、少ないとは言えど、副腎皮質の働きも重要なのでしょう。
 先ほども申し上げたように副腎は内外のストレスにホルモンをもって対応する場所です。ステロイドホルモンなどもここで作られます。ですから、この働きだけみても、ストレスと精子の状態は関連があるのだと推測されます。

 身体全体の精子をつくるシステムをみてきたところで、次に精子が放出されるまでを見ていきたいと思います。

 精子が作られ始め、放出されるまでの日数は、74日ほどです。

  先ほども書きましたように、精子は精巣の中の精細管という場所でつくられます。

 精細管の中にある精祖細胞がホルモン等の刺激により精子をつくるために変化し始めます。そこから、精母細胞 → 精娘細胞 → 精子細胞 → 精子 へと成長していきます。

 成長したとは言え、この段階では未成熟な状態です。精細管でつくられた精子は、副睾丸とも言われている精巣上体へ入ります。
 精巣上体へ入ると(頭部)、精管近く(尾部)まで移動します。その期間は20日間です。この20日間の間に受精のための運動能力を身につけます精子として成熟するわけです。

 私の推測ではありますが、「精子の運動率が良くなる」ということは、精子自体もさることながら、この精巣上体の機能が改善するのではと思ってみたりしています。

 ここまで来れば精子はいつでも発進できる状態となります。

 ただ機会を逸した精子はどうなるのでしょうか
 人間の身体はうまいことできていて、この精巣上体で、使用されなかった精子は食細胞(免疫細胞による消化作用)により貪食され分解されていきます。
 免疫作用は体全体にあるので、免疫機能が低下した状態であると・・・予測はつくかと思います。

 ここで性的興奮がやってきました 体外へ旅立つ時がやってきました

 興奮すると、まず、交感神経の作用で精管の平滑筋収縮が起こり、精巣上体尾部から精管を伝って精管膨大部へ移動を始めます。この部分が男性の皆様は理解できるかもしれませんが、我慢できるかできないかという所で、交感神経のコントロールがポイントとなる部分ですね

 精巣上体や精管の分泌液とともに精子が精管膨大部に達すると、交感神経の作用で、内尿道括約筋が収縮して膀胱から尿が出ないように働きます。また、尿道球腺からアルカリ性の液カウパ-腺液=別名 がまん汁)が尿道に出て、精子が死なないように酸性の尿道内を中和します。

 ここで外尿道括約筋がまだ締まっているので内圧が高まってきています。

 これで発射準備オッケーです。

 そこに、さらに性的興奮が高まと、精嚢という部分から精嚢液が分泌されます。また、前立腺からも前立腺液が分泌され、さらに後部尿道の圧力が高まります。
 そして、性的興奮が頂点に達すると、脊髄内にある射精中枢が働き、脊髄反射が起こり、体性運動神経の働きで、外尿道括約筋が弛緩し、後部尿道に溜まっていた精子を含んだ精液が一気に放出されます

 射精には、尿道の球海綿体筋精嚢括約筋肛門括約筋なども働き、律動的に収縮を繰り返します。

 これが精子の生産開始から精液放出までの流れです。

 ポイントをまとめると・・・

  精子は毎日作られる

  精子をつくるためにホルモンや脳が働いている

  男性ホルモンは、精巣と副腎皮質でつくられる

  精子が放出可能になるまでは74日間かかる

  精子は精巣上体で20日間かけて成熟する

  射精の全段階には自律神経(交感神経)が関っている

  射精には、交感神経と脊髄反射からの体性運動神経とが連携プレーする

 このようなことでしょうか。

 少し長くなりましたので、次回は、この放出された「精液」について、また放出された後の物語を少しだけご紹介したいと思います。

 自分の身体の仕組みを知っておくと、自分の身体の視方が変わってきますし、その仕組みの絶妙さに自分の体が愛おしくなってきませんか そうすると自分の身体をいたわり、大切にするようになる=養生なのですね

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

    二葉鍼灸療院 田中良和

コメント
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