妊活は夫婦の共同作業の第3弾を書いていきたいと思います
第2弾 : 「妊活は夫婦の共同作業~精子の生成から放出までの巻」
をまだ見られていない方は、こちらもご参考ください。
さて、今回は精液と精子をもう少し詳しくみていきたいと思います。
この図をもう一度ご覧ください。
精巣でつくられた精子は上記のような経路を通り、体外へ放出されます。
精液についての内容をみていきます。
精 液 ※個人差があります
1回放出量 : 3~3.5ml
含まれる精子の量 : 1億5000万~3億個(現在は、5000万~1億個ほど)
精液(精漿)の構成 : 精嚢液…約60% 前立腺液…約30%、
精巣上体・精管などの分泌液&精子…約10%
精嚢液 フルクトースなど精子の栄養となる物質
プロスタグランディンなど子宮を収縮させる物質が存在
前立腺液などを含めた精液成分は精子の栄養や生存を保護する存在なのです
精液所見(基準値;日本産婦人科学会)
精液量:2.0ml以上 pH:7.2以上 精子濃度:2000万/ml
総精子数:4000万以上 精子運動率:50% 精子正常形態率:15%
精子生存率:75%以上 白血球数:100万/ml
※これ以下になると不妊の可能性が出てきて、総精子数は2000万をきると
不妊の確率が非常に高くなります。
精 子
こちら、オタマジャクシのような精子です。
形体…頭部;染色体(DNA)が詰まっている場所
先体部分には卵子に到達したときに膜を破る酵素が詰まっている。
中片部;ミトコンドリアが豊富にあり、いわゆる精子を推進するエネルギーをつくる。
いわゆるエンジン部分です
尾部;鞭毛があり、これを上手く使いながら子宮や卵管のなかを進んでいく。
いわゆる車でいうとタイヤ、飛行機でゆうとプロペラでしょうか。
長さ;約50マイクロメートル
寿命;射精後数日(2~3日) ※目安です。
射精後5~6時間で受精する能力を獲得します。
最近、精液の中の成分が受精能力獲得のために働くことが分かってきました。
老化;35歳を境に受精能力低下 ※個体・個人差があります
奇形率も上昇、DNA損傷(フラグメーション)も増加する。
貯蔵;精巣上体
※1日3・4回放出すると枯渇すると言われているが、
3日で満タンに補充されるようです。
精子と精液にまつわるお話
精鋭の戦士が卵子に挑む
放出時、億単位(最近は少ないようですが)存在した精子の戦士たちは、受精が行われる卵管膨大部へたどり着く頃には、60~200になっています。その精鋭たちが受精に向け卵子に向け突撃を開始します。
最後の戦士が遺伝子を残す役目を果たす
頭部の先体から酵素(ミサイル)を出しながら卵子のガラス膜を破ろうと努力します。最初にその役目を果たした戦士が、卵子の中に入ります。そうすると卵子は、残りの精子を中に入れないように防御します。そして受精が完了します。その時、精子の頭部以外は消化されます。
DNA損傷
精子DNA断片化率(DNA損傷を持った精子がどれだけあるか調べる検査)が増加するほど、流産との関連が出てくるという報告がある。
精液所見で大切なのは・・・
運動精子濃度=精子濃度×運動率 が重要。
職業や健康状態と精液所見の関係(2015 米国の報告)
シフト制勤務、夜勤、振動、騒音、高温環境での作業、長時間座位と精液所見の間に相関は見られず、あまり関係はありませんでした。
・重労働では、精子濃度、総精子数ともに減少。
・高血圧では、奇形精子が増加。
・処方薬剤数が多いと、精子数が減少、少ないと精子数は増加。
という結果でした。
35歳以下のドナー卵子を使ってのICSI(顕微授精)の大規模研究(2014 スペイン)
男性、5089名、女性5047名が参加。
精液所見は加齢により、精液量と精子運動率は減少し、精子濃度は上昇したが、35歳以下の卵子を使ったこの研究では、妊娠率、生産率(出産)、流産率はとくに精子の加齢と関連がありませんでした。
陰のう(精巣)はラジエター(付録)
精巣で精子をつくる時の最適温度は32度と言われています。体温より低めです。陰のう表面はシワシワになっています。寒い時は収縮し体に近づけ、暑い時は、伸長し、体から離し、表面積を大きくし熱を発散するようにします。うまく出来てます。
体の機能面からも男性は温めすぎてはいけないということです
男性不妊や精液、精子などについてもいろんなことが研究され、分かってきています。
こう見てくると、いくら毎日精子がつくられるとしても、男性側も早めに妊活(結婚)したほうが、負担なく自然に妊娠~出産に至ることができると言えるのではないでしょうか。
そんなことも含めながら、では、生活の中でどのようなことに気をつけていった方が、より良い精子ができてくるのかということを、次の第4弾でみていきたいと思います
最後までお読みいただき、ありがとうございました~