新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が5月6日以降も継続された石川県です。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
不要不急の外出以外を自粛する生活が続き、皆さん生活様式も変わらざるを得なくなっている状況です。
それぞれがこの生活に適応していこうと、様々な工夫を行い情報発信されています。
さて、このような STAY at HOMEな状況ですので、ブログを見ていただける方も多くなっており、高校野球とともに妊活や不妊症の記事のヒット数がかなり多くなっております。
当院では、妊娠しやすい身体づくりをサポートする鍼灸施術を行っております。どのツボで効果があったというよりも、鍼や灸で生体を制御し恒常性維持機能を活性化するような全体的な施術を行い、身体のバランスを調整させていただいております。
妊娠しやすい身体づくりには、鍼灸だ施術していればよいのではなく、あくまでも援護射撃であり、身体をつくっていくのは皆さま自身であることは理解されているかと思います。
当院では、施術の中で食事や運動のアドバイスをさせていただいております。
今回は食事について取り上げていき、妊娠しやすい食生活について考えていきたいと思います。
妊娠することもそうですが、病気や不調全般に、食事、運動、睡眠、心の在り方などの日常生活を振り返り、その原因の一端を探り、それを改善していくこと(養生)は大切なことだと思います。生活習慣等を見なおし、ご自身が積極的に身体づくりを実施することで、妊娠するためのベースとなる基盤が出来上がります。
健康や身体の真理はここにあり、それにプラスαの効果を及ぼすのが、不妊専門クリニックで行われる医療であり、我々が行う鍼灸を含めた東洋医学なのだと理解しております。
今回は、『妊娠しやすい食生活~ハーバード大学調査に基づく妊娠に近づく自然な方法~』(ジョージ・E・チャヴァロ、ウォルター・C・ヴィレット、パトリック・J・スケレット著 日経新聞出版社)からご紹介していきたいと思います。
まず確認しておきたいのは、食生活に関しても「これが正解」「これしか方法がない」ということはないということです。食生活も、それぞれ環境や生活状況も違いますので、「このような方法があるので、参考にしてください」というスタンスであることを念頭に読んでいただければ良いかと思います。
それぞれが正しい情報を知って、その中で自分で継続できそうなこと、「これだ!」と直感したことを日々の食生活の中で実践していただき、すこしでも「妊娠」「出産」に行きつくための方法として取り入れていただければ有難いなと思います。
この本の「ハーバード大学調査」という部分なのですが、これはハーバード大学公衆衛生大学院の研究者が約12万人の看護師(33歳~55歳 既婚女性 1976年開始)を対象に行った「看護師健康調査」の第2回目の健康調査がベースとなっています。
この2回目の健康調査では、第1回の調査では検証できなかった妊娠および、その他の健康問題を改めて調査しました(約11万6000人 1989年実施)。
この本のデータは、その中でも、食生活が妊娠にどう影響するかを正確に調べるため、隔年ごとの調査によって「妊娠を希望している」と回答した看護師の皆様 18555人を対象としています(8年間のデータ)。
【このデータで伝えることのできる事実】
・排卵障害が原因の不妊状態を改善する食生活であること
・排卵障害以外の原因に関しては十分なデータはないが、何らかの効果はある可能性
・看護師のパートナーは調査に含まれておらず男性不妊に関しては未調査
調査対象の女性からは、妊娠するまでの期間、流産の有無を含めた健康状態、食生活、運動の記録、喫煙やその他のついて情報提供してもらいました。
その莫大のデータを解析した結果、以下にあげる7つのポイント(生活習慣)が、排卵に関する不妊症を劇的に改善することを確認できたということです。
これは一つのデータの検討でありますし、多くが白人が対象であると思います。先述しましたように、国も食習慣も食材も日本とは全く違うので、全てが当てはまるわけではありません。
しかし、皆さまの食生活をみてもどうでしょうか。イタリアンやフレンチなど西洋料理だけでなく、現代はインドやタイなどのアジア料理、中華料理など各国の料理を食べることができ、伝統な和食だけで生活している方は少ないのではないでしょうか。
そんな意味では、自身の食生活を一考し振返り、自身の身体を見つめなおすことに役立つ情報である思います。特に、妊娠、出産という新しい生命を宿し、育み、誕生させるというエネルギーを使う女性には重要なことだと感じます。
ここで7つのポイントを紹介します。
1.全粒粉など、精製度の低い穀類を選ぶこと。食後の血糖値を急激にあげるような精製された炭水化物は減らすこと。
2.オリーブオイルのような不飽和脂肪酸を多く摂り、加工食品やファストフードなどに含まれるトランス脂肪酸は避けること。
3.牛乳、あるいはヨーグルトやアイスクリームは無調整のものにすること。スキムミルクやカッテージチーズ、フローズンヨーグルトなどの低脂肪(無脂肪)乳製品の摂取は回数を減らすこと。
4.植物性タンパク質を多く摂り、動物性タンパク質を減らすこと。
5.葉酸やビタミンB群を含むマルチビタミンのサプリメントを摂取すること。
6.水を十分に飲むこと。コーヒー、紅茶はひかえめに。砂糖入りの清涼飲料水は飲まないこと。
7.体重をコントロールすること。太り過ぎているようであれば、排卵障害の改善のため体重の5~10%を減量すること。1日30分~60分、身体を動かすこと。何もしていない人は運動を始めること。
なお、喫煙については、多くの研究結果から妊娠を遅らせ、流産のリスクを高めることが分かっているので、ここで取り上げる必要もないでしょう・・・と。喫煙の習慣があるなら、今すぐやめましょうと書かれています。
調査に協力いただいた看護師の喫煙率が非常に少なく、妊娠に対する影響を調べることが難しかったこともあるようです。
この7つのポイントの中から、食生活を中心に次回から話を展開していきたいと思います。
江戸時代(1712年 正徳2年)の儒学者 貝原益軒が83歳の時に書かれた『養生訓』の中にも、食に関する養生については多く出てくるが、その中に、 古代、中国に食医という官があった。食事療法によって百病を治すという。今でも食事の養生がなくてよいはずがない。特に老人は脾胃が弱いので食養生がもっとも良いことになる。薬の使用はやむをえないときだけに限るがよい と書かれています。
食物を食べることによって栄養素を取り込んで身体をつくっている限り、今も昔も、洋の東西などを問わず食生活を大切にすることは、身体づくり、健康づくり、そして、この記事の主題である、妊娠し、健康に胎児を育み、元気に出産するためには必要不可欠なことは真実でしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございます