二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

(社)全日本鍼灸学会 第60回学術大会 参加

2011年07月12日 | 鍼灸
6月19日(日)、(社)全日本鍼灸学会 第60回学術大会(2011鍼灸学術大会in東京)が開催されましたので参加しました。

当初、予定では茨城県のつくば市で開催される予定でしたが、東日本大震災の影響で会場の国際会議場が避難所になっているため、急遽、規模を縮小し、1日でけの開催で、「日本鍼灸に関する東京宣言」に関する内容のみの発表となりました。


 会場へ向かう黒野門下 中村先生と新潟の瀬沼先生の後ろ姿


 こちらも黒野門下 海沼先生 新潟大学の安保先生の研究室で鍼の研究してます

(社)全日本鍼灸学会 第60回学術大会(2011鍼灸学術大会in東京) 第39回日本伝統鍼灸学会 共催

 日 時:平成23年6月19日(日)
 テーマ:新たなる医療へ~心と身体をみつめる日本鍼灸の叡智~
 会 場:東京有明医療大学 3階 講堂





 皆川先生&甲田先生 こちらも黒野門下 勉強熱心でござる

東京へは前日の土曜日に到着。やはり東京は節電で看板の明かりや不必要な照明が消されていたので暗い感じを受けた。しかし、こんな東京もいいと感じたし、人々の元気さは全く変化がなかったと思います。やはり東京は活気がありましたね。

あまりにも電気を使いすぎていたかな~と反省し節電するのはいいことですが、電力会社や政府が行っているメディアを使っての節電キャンペーンにはいささか腑に落ちない点が多々あるのですが…この辺りはまた別の機会にたっぷり書こうかな~なんて思います。

内容としては、「鍼灸を取り巻く国内外の状況」「日本鍼灸の特質(戦後の歴史と教育、制度)」「日本鍼灸の研究と発展」「日本鍼灸の特質(臨床面)」「将来と課題」など「心と身体をみつめる日本鍼灸の叡智」と題したシンポジウムが行われました。その後、「治未病の過去・現在・そしてこれから」ということで、日本伝統鍼灸学会のシンポジウムがありました。

そして、会頭講演として「日本の伝統医学を世界に発信しよう」ということで、昭和大学医学部 教授の久光 正 先生から講演がありました。




 久光 正 先生

その流れに沿い、最後に「日本鍼灸に関する東京宣言」―21世紀における日本及び世界のより良い医療に貢献するために―へと移りました。

さて、今回の学会は、この東京宣言なるものの内容がどのようなものか、ということが学会の内容のすべてと言ってもいいのでしょう。その内容をすべてを書くわけにはいきませんので、私の感想を書かせて頂きたいな~と思います。

鍼灸医学・医療がどのような歴史背景のもと日本に伝わり、日本の中で発展し、どんな歴史を辿ってきたか。また、現状の臨床面、研究面の分析、などを踏まえて今後の課題、提案へと繋がっていきました。

日本鍼灸とは何なのか?

『中国あるいは朝鮮半島を経由して日本に伝わった鍼灸医学は、日本の風土、文化、日本人の特性、思想などに適合させながら、工夫、改良がなされ、漢方とともに日本の文化遺産として今日に伝えられている。特に、東洋医学的思想、理論と西洋医学的理論を折衷的に取り入れた鍼灸医学を体系的に整理し、多様性を特質とする独自の鍼灸医学を発展させてきたものと考えられる。
このように多様性に富んだ鍼灸医学は、日本鍼灸の本質であり、特質でもある。それは、人体の複雑性に応じて様々な理論を用いて施術に当たろうとする日本人の積極的な姿勢があったからこそ可能となったものである。実地臨床においては、東洋医学的診察法と現代西洋医学的診察法の両面を生かした、いわば東西医学を補完した診察法を駆使し、人体の自己治癒力向上をベースに個体差に配慮した治療を施すことができる医療として機能している』

上記は、宣言からの抜粋ですが、ようは日本鍼灸というのは、東洋医学と西洋医学の診察法を併せ持ち、浅い鍼から深い鍼、お灸のやり方もバリエーション豊かな、個人個人に合わせた治療方法を模索して行いる、と、私の要約はそんなところなのですが、いろんな診察、治療方法の長所を認めながら、これから鍼灸医学・医療を作っていきましょう!そんな感じを受けましたね。



外国から入ってきたものをまず受け入れ、日本の文化や気候、風土に合わせたものに熟成させていくのは鍼灸医学に限らず、日本人が昔から得意としてきたところです。さらに良いものにするといういか…。それを無批判に受け入れてきたのが、太平洋戦争後のアメリカの植民地支配を受けている現在がそうなんですね。新聞やテレビなどメディア通じて、何も考えずに受け入れる(コントロールされている)下地を60年かけてやってきたわけです…話が逸れたのでもとに戻して

そう簡単に「日本鍼灸」なんて皆さんの賛同は得られないと思いましたので、まあまあ、日本政府お得意の玉虫色のなんやら、という感じも歪めないかなと私は感じましたね。

要は、世界を見ると鍼灸医療・医学というのは多くの疾患に利用されてきつつあるのです。これは中国、韓国などアジアだけでなく、アメリカ、ドイツなどでも盛んになってきてますし、欧米でも関心が高まっています。そこに目をつけ、鍼灸医学も私の国が標準なんだぞと戦略を練って打ち出してきたのが中国なんですね。それに危機感を覚え、対決の構えをとっている韓国、世界情勢は理解しているが、強く発言できない日本、そんな図式の中で「日本鍼灸」というものを世界に発信していかなければ…という危機感のもと今回の東京宣言になったのだろうと私は捉えているわけです。

しかし、今回の宣言に関しては、具体案や明確な目標などがまったく示されないものでした。
ここで最重要課題は、中国や韓国と対等に世界の場で渡り合うためには、同じ強さを持っていなければなりません。私の師匠である東洋医学研究所 黒野先生は、鍼灸や漢方など東洋医学の研究や調査を統合して行う国家組織、東洋医学センターのようなものを作る必要があると言われています。これが聞けると思って行ったのですが、私の聞き洩らしでなければ、そんな話は全く出てきませんでした。東洋医学の研究や調査を行う国家機関で鍼灸師がどう関っていくかということですよね。そんな夢のある話も聞きたかったものです。

中国、韓国は国家が後ろ盾となって鍼灸医療や医学に関しても交渉してきます。いわば外交ですよね。国家の後ろ盾がないところが太刀打ちできるはずがないと私は思うのです。話は違いますが、竹島などは日本の領土であるにも関わらず軍を置いて実効支配しています。中国は潜水艦や漁船という名目の何の目的か理解できない船が我が物顔で日本のお庭を領海侵犯して航行しています。腹立たしいことですが、むこうにとってみれば外交力なんですよね。それが正しい正しくないは別にして。

今回は、何か消化不良的な学会だったというのが私の感想です。

いや、でも鍼灸医療や医学を取り巻く状況は、世界から大きく変化してきているな~という自覚にはなりましたね。
そんな意味でも、世界から地域から、大きな視点から、身近な視点まで、視野を広く、思考を広く持って、鍼灸医学を勉強して、臨床に励んでいきたいですよね。最終的には患者さまの喜びのためになるんですから、きばって、楽しく勉強していかないとね

二葉鍼灸療院 田中良和

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