山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

カナムグラの雌花

2008-11-09 19:09:59 | 双子葉離弁花

万葉集に八重葎と言う植物がよく出てきます。これは現在のヤエムグラ(アカネ科)ではなく、
このカナムグラの古い呼び名の様です。

         問答歌
思ふ人 来むと知りせば八重葎 おほへる庭に玉しかましを
         反歌
玉敷ける 家も何せむ八重葎 おほへる小屋も妹とし居らば


この反歌に詠まれている様に、小屋を覆う様なものであれば、現在のヤエムグラでない
ことだけは確かな様です。

このカナムグラは人里近くの荒地や河原に生い茂っているので、見る機会の多い植物です。
特に河原では蔓どうし絡み合い、大繁殖しているのをよく見かけます。

8~9月頃、白い雄花を付け、少し遅れて緑色のホップの実の様な形をした雌花が付きます。
ここまでの雄花と雌花の様子はよく紹介されていますが、成熟して種を落とす前の雌花の
暗紫紅色に色付いた姿はあまり知られていない様です。


カナムグラ <クワ科 カナハラソウ属>


この暗紫紅色の部分は苞です。種が落ちた後は黒く変色して枯れます。


ビールのホップに似ていて当然、ホップはこれの近縁種です。
但し、カナムグラの雌花は苦味が無いので、ビールには使えません


そうそう、八重葎と言えばもう一つ忘れてました。小倉百人一首です。

  八重葎 しげれる宿のさびしきに 人こそ見えね秋は来にけり (恵慶法師)

もちろん、ここにでのヤエムグラも当然、今でいうカナムグラのことです。




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2 コメント

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肥沃 (wakadori)
2008-11-10 22:41:26
私もカナムグラを何日か前にアップしましたが、
こんなに太っていませんでした。
土地のせいもあるんでしょうね。

初めて目にしたものです。
返信する
花の大きさ (やまぼうし)
2008-11-10 23:07:47
wakadori さん  今晩わ
2週間ほど前に見た時は確か、こんなに大きくなかったと思います。
種が大きくなった性かも知れません。人間でいえば臨月かなぁ?
友達から種を落とす前に色が変わると聞いたので見に行きました。この色を見たのは初めてです。
返信する

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