泣いた青鬼

節分でした。パチパチ！
我が家には赤鬼と青鬼がやってきました。青鬼は村人に悪さを始めます。それを見た赤鬼が青鬼をやっつけました。ポカリポカリ。
実はこれは村人と仲良くなりたい赤鬼の為に初めから計画されていたことだったのです。
青鬼は自分がいると赤鬼が村人に疑われると、人知れず村を出てゆくのでした。

外は大雪でした。青鬼はお寺の参道をえっほえっほと雪掻きをしました。もの凄く疲れましたが結局かまくらも雪だるまもできず、いつも報われない青鬼でした。

夕方、子供たちにひとしきり豆をぶつけられた後は、一人で本堂と客間をくまなく豆拾いしました。ここでも報われない青鬼でした。

夜は恵方巻きとかいうのも食べさせられました。
「全くこんなのくだらないじぇ。ぶちぶち」と言ったら
奥ちゃまに怒られました。
「あんたねえ。普段散々人を巻き込んだり自分の土俵にばかり乗せているんだから、こういう罪のない行事にくらい乗っかりなよ！」
「むぎゅう…」
我が家では泣くのは赤鬼ではなくいつも青鬼なのでした。