陸前高田市矢作町の南部、沢沿いの林道を上がって行くと、杉林の手前に細い
枝沢があって、その上手が岩場になっています。枝沢の石を確認すると、ありふれた
黒色頁岩と砂岩が殆どですが、このあたりの岩石には石灰分が含まれていることが
多いので、岩場があればチェックしなければなりません。
枝沢沿いに作業道が開削されていて、これを上がって岩場を巡ってみると、西~北向
の岩肌に、非常に珍しいヒメノキシノブが着生していました。
私の場合、山野で観察するのは20年ぶりです。
初めは貧相なノキシノブかと思ったのですが、葉表に殆ど光沢がないこと、葉先が丸み
を帯びていることなどから、ヒメノキシノブと同定しました。
二枚とも2018.4.13撮影
野生生物調査協会と環境保全事務所が作成した「日本のレッドデータ 検索システム」に
よれば、北海道、岩手県、秋田県、山形県の4道県では、絶滅危惧種に指定しているようです。
分布域は北海道南西部~九州奄美諸島となっていますが、暖地系の羊歯植物なのでしょう。
神奈川県や宮崎県など暖地で撮影されたヒメノキシノブの写真を見ると、崖地や樹木の幹を這う
根茎に葉がビッシリと密生していますからね。
二枚とも2018.4.13撮影
ウラボシ科ノキシノブ属の常緑性羊歯植物で、北海道南西部~九州奄美諸島に分布する。
山地のやや明るい岩上や、樹幹などに着生する。
根茎は細く直径1~1.5mm、長く横走する。鱗片は線状披針形~披針形で長さ2~3mm、暗褐色。
葉は単葉で線形~線状へら形。長さは3~10cmで、幅は上端近くが最も広く、2~5mm。
先は鈍頭~円頭、全縁、革質で無毛、脈ははっきりとは見えない。葉柄はごく短い。
葉の表面を縦に2分する1本の脈の左右に、小さな窪みが基部から先端まである。
裏面の胞子嚢群(ソーラス)は円形で、葉の上部半分の、中肋と辺縁の間に数個並んでつき、
多くても10個程度。若いソーラスを被う微細な楯状鱗片はほぼ円形で、長さ0.2~0.3mm。
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