野沢菜の収穫作業も今日で6日目。
総勢11名。
今日から新しく来たおばさんがふたり。
農場主のℍさんから簡単な説明を受けて、収穫の作業を始める。
みんなで並んで収穫作業をするのだが、そのおばさんたちが僕の隣になった。
収穫作業は禅の修行にも似て、誰もが寡黙で、目の前の野沢菜と向き合う。暑さなど感じないほどだ。
ただ、初めて来た人が、その雰囲気をどのように感じるのだろう。
その空気になじめないということもあるのではないだろうか。
自分が疎外されていると感じる人もいるかも知れない。
多分一日で来なくなった若い女の子たちも、仕事そのものの大変さもさることながら、そんなこともあったのかもしれない。
『どこからきたんですか?』
僕は作業しながら声をかけた。
『小布施町からです』
そうしたやり取りを少しした。
たった一言でいい。
声をかけることでその場に居場所を作ることができる。
農園主のℍさんは、まことに気のいい素朴な農夫然とした人だが、その辺の呼吸が今一つ。
僕はおばさんたちに『お茶をどうぞ』と声をかける。
そんな風にさりげなく仲間であることを感じてもらう。
僕は至って寡黙な人間だが、誰もその役割を果たさないとき、やむを得ずそうしてしまう。
若い女の子たちにもそうしてあげればよかったのかな。
でも、こちらにも声をかけてもいいのか気おくれがあるし、離れた場所で作業していたので仕方がなかったのかも。
多分、おばさんたちは明日も来てくれるだろう。
午後、自分の畑に行った。
最初に撒いた枝豆は草の中で草とともに育てる。隣のもろこしも同じ。
こちらはあとから播いた枝豆。
ネットを被っているのはナカセンナリという品種の大豆。これは味噌作りに使う。
色々な方のブログによると、野菜の収穫記事があるが、こちらはひと月くらい遅れている。
今の主な収穫はエンドウと春大根、カブなどだが、庭先菜園ではサラダ菜やサニーレタスが毎日採れる。
サラダ菜とサニーレタスは氷水で締めて、ドレッシングやマヨネーズで食べる。
これが家族に大好評で、株を知り合いにも分けてあげて喜ばれている。
レストランの前菜より新鮮な分こちらに軍配が上がる。
夕方になり、太陽が西の山に沈む。
雲がかかる高妻山、乙妻山。双耳峰の飯綱山とそれに続く霊仙寺山。
太陽の北限は高妻山の辺り。あと2週間ほどで太陽は南に帰り始める。
今年も半分終わってしまうのだなあ、としみじみ思う。