信州の北部のこの地方では、『まみくとい』と呼びならわされる山々がある。
北から斑尾(まだらお)、妙高(みょうこう)、黒姫(くろひめ)、戸隠(とがくし)、飯縄(いいづな)という五つの山を北信五岳と呼ぶ。標高千数百メートル~二千数百メートルまである。個性豊かな山々で、とりわけ雪の季節には崇高な神々しさがある。

この位置からは右の斑尾山は見えない。

妙高山。


戸隠連山の最高峰高妻山と乙妻山。

例年元日に登る飯綱山(飯縄山とも書く)。
少し緩んだ午後の日差しの中で、僕はぼーっとそれらの山々を眺めていた。
昨年は妙高以外の山は登った。コロナ騒ぎで遠くの山に行きにくい事情があったから自宅から一時間くらいで行ける山を選んだ。今年は妙高山に行こう。
本当は北アルプスの裏銀座コース、烏帽子から槍への縦走をやりたい。南アルプスの赤石岳にも行きたい。そして信州南部の数座を完登すれば信州百名山を卒業できる。
そんなことをぼんやりと思っていた。どこか遠いことのようにも思えて、現実感が希薄。
こんな風に山を眺めていられるだけで幸せな気分。
昨年中止になった五月のカチューシャふるさとマラソン。今年は開催されるのだろうか。古希になるこの年、再びハーフで二時間切りを目指してゆるーく練習している。ガーミンデバイスの予想タイムは1時間55分25秒。
安静時の脈拍は60前後だったが、最近は50前後まで下がった。心肺機能が良くなったのだろう。
ただ、サボっているとテキメンに数値が悪くなる。
まさに継続は力なり、なのだ。
リタイアした身には代わり映えしない毎日だが、若い人たちにとっては大変なことが多いのだろう。
社会の中で出会い恋をして、というようなかつて当たり前だったことができなくなっている。
不要不急の外出は控えろ、だもんな。
マスクをしないとどこにも入れない。
入院を拒めば懲役刑。
社会の在り様が根底から問われているのだろう。
貧富の差が極限まで広がり、特に女性の自殺が増えているという。
人類は長い時間をかけてほとんどの国で普通選挙権を実現してきた。
富裕層も貧困層も一人一票。これはすごいことだ。
貧困層の方が圧倒的多数だ。貧困層がこんな制度は嫌だといえば、数の力で富裕層だけがますます富を独占する制度を変えることができる。
日本中の貧困層よ、団結せよ。そんな風にいつも思っている。
コロナが落ち着き、もうけありきの今の社会制度が見直されるとき、僕も安心して山へ出かけられる。それまで体力を鍛えておこう。