白樺小舎便り(しらかばごやだより)

北信濃の田舎暮らしの日々

たった一言でいい

2018年06月07日 21時13分25秒 | 日記

野沢菜の収穫作業も今日で6日目。

総勢11名。

今日から新しく来たおばさんがふたり。

農場主のℍさんから簡単な説明を受けて、収穫の作業を始める。

みんなで並んで収穫作業をするのだが、そのおばさんたちが僕の隣になった。

収穫作業は禅の修行にも似て、誰もが寡黙で、目の前の野沢菜と向き合う。暑さなど感じないほどだ。

ただ、初めて来た人が、その雰囲気をどのように感じるのだろう。

その空気になじめないということもあるのではないだろうか。

自分が疎外されていると感じる人もいるかも知れない。

多分一日で来なくなった若い女の子たちも、仕事そのものの大変さもさることながら、そんなこともあったのかもしれない。

『どこからきたんですか?』

僕は作業しながら声をかけた。

『小布施町からです』

そうしたやり取りを少しした。

たった一言でいい。

声をかけることでその場に居場所を作ることができる。

農園主のℍさんは、まことに気のいい素朴な農夫然とした人だが、その辺の呼吸が今一つ。

僕はおばさんたちに『お茶をどうぞ』と声をかける。

そんな風にさりげなく仲間であることを感じてもらう。

僕は至って寡黙な人間だが、誰もその役割を果たさないとき、やむを得ずそうしてしまう。

若い女の子たちにもそうしてあげればよかったのかな。

でも、こちらにも声をかけてもいいのか気おくれがあるし、離れた場所で作業していたので仕方がなかったのかも。

多分、おばさんたちは明日も来てくれるだろう。

 

午後、自分の畑に行った。

最初に撒いた枝豆は草の中で草とともに育てる。隣のもろこしも同じ。

こちらはあとから播いた枝豆。

ネットを被っているのはナカセンナリという品種の大豆。これは味噌作りに使う。

色々な方のブログによると、野菜の収穫記事があるが、こちらはひと月くらい遅れている。

今の主な収穫はエンドウと春大根、カブなどだが、庭先菜園ではサラダ菜やサニーレタスが毎日採れる。

サラダ菜とサニーレタスは氷水で締めて、ドレッシングやマヨネーズで食べる。

これが家族に大好評で、株を知り合いにも分けてあげて喜ばれている。

レストランの前菜より新鮮な分こちらに軍配が上がる。

夕方になり、太陽が西の山に沈む。

雲がかかる高妻山、乙妻山。双耳峰の飯綱山とそれに続く霊仙寺山。

太陽の北限は高妻山の辺り。あと2週間ほどで太陽は南に帰り始める。

今年も半分終わってしまうのだなあ、としみじみ思う。


雨の季節がもうそこまで

2018年06月05日 21時04分28秒 | 日記

野沢菜の収穫作業の仕事の4日目、ハローワーク紹介で昨日やってきた二人の若い女の子たちは、今日はもう来ない。

若い女の子にはつらい仕事なのだろうか。

天気予報では明日から雨が続く。

雨の中の作業はどんな具合なのだろうか。

長雨の季節を前に緑が一層濃くなっている。

緑の中で鮮やかな黄色が映える。

一株だけあるニッコウキスゲ。

   

隣にはアンネのバラ。

『アンネの日記』のアンネ フランクに因んだ貴重なバラ。

黄色から次第にピンクに色が変わる。

庭先の菜園で育てたキャベツ。

無農薬の安心野菜。外葉は穴だらけだが、中身はきれい味噌味の野菜炒めにした。

僕の作る野菜炒めは炒めすぎないので、「シャキシャキして美味しい」と家族に好評。

畑では色々な野菜が育っている。

ジャガイモの花。

トマトの花。

脇芽が出ていたので、葉を少し残して土に挿しておいた。明日からの雨で根付いてくれるだろう。

ナスの一番花は摘み取れというのが定石。

写真に撮った後摘み取った。

家で種蒔きした ナカセンナリという大豆が沢山芽を出した。

これは枝豆として収穫するつもり。

味噌作り用には同じものを畑に直播してある。

出来る限り自給自足をしたいと思っている。

庭先菜園にはサニーレタスがあって毎日サラダにして食べている。

外葉から積めば何回も収穫可能で、レストランの前菜なんかより新鮮な分はるかに旨い。

自然と関わり土をいじっていれば、気持ちは落ち着く。

半面、政治の世界を見ればイライラすることばかり。

安倍さん、麻生さん、ご苦労様でした。

を洗って出直して来い、ではなくもう来なくていいから。

柏崎原発はここから直線距離で80キロほど。

原発のない新潟、は新潟だけの問題ではない。

原発のない日本、核兵器のない世界、これが俺たちが目指す未来だ。

池田さん頑張れ!

そして基地のない沖縄。これも沖縄だけの問題ではない。

翁長さん頑張れ!

政治の話と野球の話はしないというのが他人とうまく付き合う方法だとか。

構うものか。

俺はふがいないタイガースの半世紀以上のファンだ。ジャイアンツなんか大嫌いだ。

と、まあ興奮するのはやめにしよう。

明日もまた雨の中で野沢菜取りが待っている。

 

 

 


日雇い

2018年06月02日 21時24分12秒 | 日記

僕の手の中には渡されたばかりの4,000円が乗っていた。

そして僕はいいようのない喜びを感じていた。

目の前には田植えの済んだ田んぼが広がり、その先には残雪の後立山連峰が見えた。

 

ひょんなことから野沢菜の収穫作業の手伝いに行く羽目になった。

その作業をしていた知人が行かれなくなり、代わりに行くことに何故かなってしまった。

朝6時から作業しているというが、初めてのこととて8時から12時までの4時間。

野沢菜を引き抜きカブの部分を包丁で切り落とし、傷んだ葉を取り除く作業。

7~8人が作業していた。

タイの人も来ていたらしいが、今は他のブドウ農家に行ってしまって手が足りないらしい。

ひたすらしゃがんでの作業なので、腰痛持ちの身には少なからず辛い。

膝を突いたり、立ったり座ったり頻繁に体制を変えながら、なんとか作業を終えた。

そして、時給1,000円の4時間分、4,000円の現金払い。

この感覚は何年ぶりだろうか。

学生の時の土方のバイト以来だろうか。

まさしく日雇いだ。

仕事が終わり、その場で現金でもらう時の喜び。

これは金額ではない。

電気工事の時のバイト代は16,000円だが、これは後日の振込だ。

それほどの感激はない。

自分が働き、その場で報酬をもらう。

その単純な喜びを久しく忘れていた。

今日が2日目。

報酬の4,000円は、昨日の4,000円と合わせて、大事に袋に入れてしまいこんだ。

簡単には使えない気がする。

野沢菜がどんどん育っていて、手が足りない中、簡単にやめるわけにはいきそうにない。

『慣れて来たので、6時からどうかな』という農家のHさんの言葉には『滅相もない』と返しておいた。

しばらくは野沢菜収穫人になることになってしまった。

目論んでいた信州百名山は少し先延ばしせざるを得ない。

 

区の役員の仕事も忙しく、保育園の柵作りの仕事も頼まれたが、まだ手付かず。菜園の作業も最低限のことしかできていない。

楽隠居や隠遁生活を夢見ていたこの身に、どうしてこんなに仕事が舞い込むのだろうか。

楽はできないようになっているのだな。