日本の路上音楽の1つの「原点」が、1990年4月に出た
『奈良和雄・路上ライブ』。このアルバムを雑誌、『宝島』
が紹介する事で、「路上ライブ」という言葉が日本全国に広
がった。
ゆずも私達も、このアルバム、彼の活動によって蒔かれた種
子を受け取って生まれたと言っていい。奈良さんは、その後に、
音楽的に色々なアプローチに挑戦しているけれど、音楽もよい。
簡単に手に入るのは、コロムビアからリリースした『東京ラ
ブソング』。現在も音楽活動に意欲的で、「気がつくとインド
にいっている」ような生活をしているけれど、エスニックとい
うよりも、骨格のあるメロディーのあるポップな歌をたくさん
つくっている。『トースター』『翼が生えた男』『太陽のブロ
ーチ』『愛のテーマ』『ユメイロの花』『君に会いたくて』(書
籍、『路上音楽』の付録DVDで演奏してもらった曲)・・・。
みんな素晴らしい。
レコード会社の制作担当の方は、どんどん彼にアプローチを
かけて、作品を形にして欲しいし、音楽雑誌の編集者の方々は、
訳のわからないバンドの写真を「いくらやっても格好のいい写真
がとれない。でも、仕事だかんなぁ」なんて、トホホとなって
いないで、彼を取材にして記事にするべきだと思うよ。もう、
発想自体を変えてしまった方がいい。よいものは、誰が見てもい
いし、一生懸命、工夫をしても努力不足のものは努力不足なのだ。
私達は、彼の新しい音源、フルアルバムの到着を待っている。
路上音楽情報紙「ダダ」編集発行人・青柳文信